2022年9月 8日 (木)

【読】「ゴールデンカムイ」31巻通読

野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社)が、今年、2022年7月24日発行の第31巻で完結した。

私は、1巻目から17巻目までを、2019年5月2日から9日にかけて、一気に読んでいた。
ただ、内容は、もう覚えていない。

それ以降も、刊行されるたびに、おもに新刊書店で買い続けてきた。
今年、31巻が勢ぞろいしたこともあり、1巻目から通読してみようと一念発起。

ちょうど、桐野夏生作品をひと通り読み終えたところだったし。

【読】桐野夏生 萌え(続): やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2022/08/post-a64db9.html

今日までに、29巻目まで読み終えた。
残り2巻。
毎日、読み続けた足跡は、以下のとおり。
※左端の日付は読んだ日。かっこ内日付は発行日。

●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 1』 集英社 (2015/1/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 2』 集英社 (2015/2/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 3』 集英社 (2015/5/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 4』 集英社 (2015/8/24) ※再読
●8/25~8/25 野田サトル 『ゴールデンカムイ 5』 集英社 (2015/12/23) ※再読
●8/26~8/26 野田サトル 『ゴールデンカムイ 6』 集英社 (2016/2/23) ※再読
●8/26~8/26 野田サトル 『ゴールデンカムイ 7』 集英社 (2016/4/24) ※再読
●8/26~8/26 野田サトル 『ゴールデンカムイ 8』 集英社 (2016/8/24) ※再読
●8/26~8/27 野田サトル 『ゴールデンカムイ 9』 集英社 (2016/11/23) ※再読
●8/27~8/28 野田サトル 『ゴールデンカムイ 10』 集英社 (2017/3/22) ※再読
●8/28~8/28 野田サトル 『ゴールデンカムイ 11』 集英社 (2017/8/22) ※再読
●8/28~8/28 野田サトル 『ゴールデンカムイ 12』 集英社 (2017/12/24) ※再読
●8/29~8/29 野田サトル 『ゴールデンカムイ 13』 集英社 (2018/2/24) ※再読
●8/29~8/29 野田サトル 『ゴールデンカムイ 14』 集英社 (2018/6/24) ※再読
●8/29~8/29 野田サトル 『ゴールデンカムイ 15』 集英社 (2018/9/24) ※再読
●8/31~8/31 野田サトル 『ゴールデンカムイ 16』 集英社 (2018/12/24) ※再読
●8/31~8/31 野田サトル 『ゴールデンカムイ 17』 集英社 (2019/3/24) ※再読
●9/1~9/1 野田サトル 『ゴールデンカムイ 18』 集英社 (2019/6/24) ※初読
●9/4~9/4 野田サトル 『ゴールデンカムイ 19』 集英社 (2019/9/24) ※初読
●9/4~9/4 野田サトル 『ゴールデンカムイ 20』 集英社 (2019/12/24) ※初読
●9/4~9/4 野田サトル 『ゴールデンカムイ 21』 集英社 (2020/3/24) ※初読
●9/5~9/5 野田サトル 『ゴールデンカムイ 22』 集英社 (2020/6/24) ※初読
●9/5~9/5 野田サトル 『ゴールデンカムイ 23』 集英社 (2020/9/23) ※初読
●9/6~9/6 野田サトル 『ゴールデンカムイ 24』 集英社 (2020/12/23) ※初読
●9/6~9/6 野田サトル 『ゴールデンカムイ 25』 集英社 (2021/3/23) ※初読
●9/7~9/7 野田サトル 『ゴールデンカムイ 26』 集英社 (2021/6/23) ※初読
●9/7~9/7 野田サトル 『ゴールデンカムイ 27』 集英社 (2021/9/22) ※初読
●9/8~9/8 野田サトル 『ゴールデンカムイ 28』 集英社 (2021/12/22) ※初読
●9/8~9/8 野田サトル 『ゴールデンカムイ 29』 集英社 (2022/4/24) ※初読
(未読、これから読む)野田サトル 『ゴールデンカムイ 30』 集英社 (2022/6/22)
(未読、これから読む)野田サトル 『ゴールデンカムイ 31』 集英社 (2022/7/24)

『ゴールデンカムイ コミック 全31巻セット』

全巻まとめて買うと、1万円以上するんだ!
私は「ブ」で古本を買っていたが、やがて新刊書店で買うようになった。
DVD・ブルーレイのアニメ版もあるようでが、私は見ていない。

このコミックは、アイヌ文化・アイヌ語に詳しい中川裕氏(現・千葉大学名誉教授)の監修を受け、アイヌの文化や自然観が濃厚に描かれている。
なんといっても主人公のアイヌ少女 アシㇼパ が、凛々しく、魅力的だ。
もうひとりの主人公、日露戦争の帰還兵 杉元佐一もいい。

もちろん、史実からかけ離れた架空の物語ではある。
が、明治期の歴史背景を巧みに盛り込み、アイヌ民族だけでなく、北方のニヴフ、ウィルタといった少数民族(樺太・沿海州)についても、生き生きと描かれている。

公式ファンブック(2020年11月24日発行)も、なかなか参考になる。

『ゴールデンカムイ公式ファンブック 探究者たちの記録』
 (ヤングジャンプコミックス) コミック – 2020/11/19

もう一冊、これも一度読んだのだが、中川裕氏の本。

『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』
 (集英社新書) 新書 – 2019/3/15

もういちど、読み直してみたい。

ちなみに、「カムイ」は、「ムイ」と「カ」にアクセントを置くのではなく、「カイ」と「ム」にアクセントを置くのが、アイヌ語の正しい発音。――ということを、NHKEテレ「100分de名著」(知里幸恵「アイヌ神謡集」)に出演していた中川裕氏の話で知った。
私も、アクセントを間違っていたかも。
でも、北海道では「カイコタン」と、私たちも言っていたな。

名著123「アイヌ神謡集」知里幸恵 - 100分de名著 - NHK
https://www.nhk.jp/p/meicho/ts/XZGWLG117Y/blog/bl/pEwB9LAbAN/bp/pw2yRjpRjm/

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2022年9月 1日 (木)

【読】2022年8月に読んだ本(読書メーター)

桐野夏生と「ゴールデンカムイ」に嵌った月。
桐野夏生の既刊作品は、ごく一部を除いて読破した。

「ゴールデンカムイ」は、31巻まで通して読むつもり。

8月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:6068
ナイス数:288

I'm sorry, mama. (集英社文庫)I'm sorry, mama. (集英社文庫)感想
これもタイトルが謎のまま読み始めた。強烈なモンスターの主人公”アイ子”をとりまく人間たちが、次々と連鎖するように登場して、息もつかせない。よくできた小説。世間のモラルを蹴とばす女たちを描かせたら敵うものなし。そんな桐野夏生の傑作。文庫解説(島田雅彦)に<アイ子のごときモンスターにさえも憑依できる桐野夏生はテレビで人気の巫女などよりもはるかに強い霊能力を持っているのではないか?(中略)彼女は平然と、女たちの怨嗟と欲望を解き放ち続けている。>とあるが、言い得て妙。
読了日:08月02日 著者:桐野 夏生

緑の毒 (角川文庫)緑の毒 (角川文庫)感想
桐野夏生らしい、人間の内面をこれでもかとさらけ出す、気味悪さに満ちた作品。よくできている。これぞ桐野夏生の世界。ここしばらく桐野作品を読み続けているが、いよいよ残り3作品。桐野夏生は癖になる。
読了日:08月04日 著者:桐野 夏生

 

IN (集英社文庫)IN (集英社文庫)感想
メタフィクションというのだろうか、重層的な構造の物語。これまで読んだ桐野作品とは違う味わいの作品だった。主人公の女流作家"タマキ"と、その恋人だった編集者"青司"とのドロドロした関係は、じつは桐野自身の体験だったのでは?(ネット検索でそのようなゴシップ的記事を読んだ)。この物語のモデルといわれる島尾敏雄・ミホ夫妻の話や島尾の小説『死の棘』にも興味が湧く(『死の棘』は未読)。「小説とは皆の無意識を拾い集めて、物語という時間軸とリアリティを与え、さらに無意識を再編すること」という"タマキ"の独白が印象的。読了日:08月06日 著者:桐野 夏生

現代女性作家読本⑰ 桐野夏生現代女性作家読本⑰ 桐野夏生感想
図書館本。鼎書房という、私がこれまで聞いたことのない出版社から刊行されている「現代女性作家読本」シリーズの17巻目(2013年刊)。桐野夏生作品論31篇を収録。書き手は大学の研究者や学生がほとんどで、いわゆる書評を生業にしている人は少ない。作品論じたいは、さほど面白くなかったが、膨大な数の桐野作品をまとめて読んだ私には、内容を思いだせない作品も多く、あれはこんな内容だったなと思い出すのに役立った。巻末の「桐野夏生 主要参考文献」に並んだ一覧を見て、この作家を論じたくなる評者が多いことに、あらためて驚いた。
読了日:08月09日 著者:現代女性作家読本刊行会(編)

パンとサーカスパンとサーカス感想
図書館本。長い予約行列に並んでようやく順番到来。東京新聞連載時に小間切れで読んでいたが、通して読むことで作者の狙いがひしひしと伝わってくる。読みごたえあり。日本の情けない現状が戯画化されている。リアリティあふれる、この空想物語のように、”メシア”が現れなければ日本という国は救われないのかな?
読了日:08月14日 著者:島田 雅彦

 

カヨと私カヨと私感想
長く愛読してきた内澤旬子さんの新作。福音館書店の月刊誌(母の友)2016年4月号から2021年3月号まで長期連載していたもの。『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(2012年)での養豚奮戦に続き、移住先の小豆島でのヤギとの生活(格闘と呼んでいい)が、内澤さんらしい動物への優しいまなざしをもって描かれている。ヤギたちのイラストも可愛らしいし、なによりも文章がいい。上質紙を使った装幀(ハードカバーだ)も素晴らしい。ヤギの生態をこれほどまで親身になって綴り、まるで人格ならぬ”ヤギ格”が描かれていることに感銘を受けた。
読了日:08月15日 著者:内澤旬子

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)感想
中盤まで主人公マイコが七海という謎の女性(その素性は物語が進むにつれて明らかになるが、モデルらしい人物に心当たりがある)に宛てた手紙で構成されている。桐野さんの小説に多いのだが、始めは抵抗があって読みにくくても、謎が解き明かされていく展開にぐいぐい引き込まれる。終盤の急展開、最後のどんでん返し。これぞ桐野ワールド。傑作だ。解説(芥川賞作家:金原ひとみ)も必読。ずっと桐野さんの作品を後追いしてきて、読み終えた本は処分してきたが、この本だけは手元に置いておきたいと思うほど。あと一冊『デンジャラス』を残すのみ。
読了日:08月17日 著者:桐野 夏生

デンジャラス (中公文庫 (き41-2))デンジャラス (中公文庫 (き41-2))感想
谷崎潤一郎と彼をとり巻く女性たちをモデルにした、生々しい小説。谷崎の最後の妻(松子)の妹(重子)の視点からの一人称単数の語りが延々と続いて、ちょっと気怠かったが、なんとか読了。谷崎潤一郎という文豪の”怪物性”にあらためて驚く(谷崎作品を読んでいないので、イメージだが)。島尾敏雄・ミホ夫妻とモデルにした『IN』や林芙美子をモデルにした『ナニカアル』に通じる、作家桐野夏生の強い思いがひしひしと伝わってくる。この作品で、ひと通り桐野作品を読み切った。新作を待つ。
読了日:08月23日 著者:桐野 夏生

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックス)感想
再々読。既刊30巻目まで手元にあり、31巻(既刊)で完結するらしいので、あらためて通して読んでみよう。この1巻目は3度目だが、あんがい大きな流れを覚えていない(印象に残るシーンは多いが)。文字が小さいので老眼にはつらいな。最終巻、買わなくては。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 2 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 2 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。1巻目から通して読み直しているところ。明治末の小樽が思った以上に栄えていたことがわかる。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

 

ゴールデンカムイ 3 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 3 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。狼煙が文字通り狼の糞を燃やして出る煙だったとは!(硝酸分が多く含まれているため燃焼温度が高く、煙が散ることなくまっすぐ高く上がるとか/第27話)。アイヌやマタギの風習・文化を知る。勉強になるなあ。ストーリーの展開もみごと。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 4 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 4 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。鰊漁、ニシン御殿、アイヌのフンペ(鯨)漁。ニシン御殿には、小学生のときに見学に行ったことを思い出した。辺見和雄という不気味な連続殺人鬼が登場し、次巻からの物語の展開が楽しみ。コミックはすいすい読める。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 5 (ヤングジャンプコミックス)感想
三読。アシㇼパの和名と出自が明らかに。舞台は網走へ。
読了日:08月25日 著者:野田 サトル

 

 

ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 6 (ヤングジャンプコミックス)感想
この巻からは再読。舞台は札幌のホテルへ。謎の女装脱獄囚・家永登場。そして茨戸(現在の札幌市北端、河港の街)でのニシン場と賭場を巡る抗争。話が複雑になってきたが、刺青人皮の謎で読者を引っ張っていく。興味が止まらなくなってきた。
読了日:08月26日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 7 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読。苫小牧競馬場から日高へ。獰猛な羆退治。開拓期の北海道の様子が描き込まれていて、これまた勉強になる。物語は奇想天外だが、歴史背景やアイヌ風俗・アイヌ語については、よく調べられていると思う。アイヌ語については中川裕氏が監修しているし、作者・野田サトル氏のアイヌ理解も深い。
読了日:08月26日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 8 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 8 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読。夕張炭鉱が明治末期からあったことを知る。なかなか網走に向かわない一行。
読了日:08月26日 著者:野田 サトル

 

 

ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 9 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読(1巻目から最終巻31巻目まで通読チャレンジ中)。月形の樺戸監獄が出てくる。”脱獄王”白石のスパイ行為がバレて、さて、どうなる?
読了日:08月27日 著者:野田 サトル



ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 10 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読。今回は最終巻31巻目まで通読中。旭川第7師団(北鎮舞台)と大雪山超え。飛行機が普及する前に気球を軍事用に開発していたとは! 旭川にある「北鎮記念館」、また訪ねてみたいな。 参考サイト<北鎮記念館 ゴールデンカムイと第七師団 旭川 北の防衛と開拓の歴史|北海道ひとり旅@ぼっち旅ブログ> https://boccitabi.xyz/asahikawa-hokuchin/
読了日:08月28日 著者:野田 サトル

ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 11 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読。白石を奪還した杉元・アシㇼパ一行。大雪山系から十勝を経て釧路に向かう。北海道の動植物のアイヌ語名がたくさん紹介されている。アイヌがどのように食べていたかも、よくわかる。巻末の参考資料一覧から、作者はアイヌ文化をよく調べて理解していることがうかがえる。「稲妻強盗と蝮のお銀」という実在だったらしい二人も登場(映画「俺たちに明日はない」のモデル、ボニーとクライドの日本版か)。
読了日:08月28日 著者:野田 サトル

ゴールデンカムイ 12 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 12 (ヤングジャンプコミックス)感想
3年ぶりの再読。このあたりになると、以前読んだ内容も憶えていない。舞台は道東・釧路。有名な蝗害の描写も。釧路新聞社に勤務していた石川啄木も突然登場。次巻で網走に到達できるのか?アシㇼパの父親の謎は、依然として明かされず。
読了日:08月28日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 13 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 13 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読中(17巻目まで)。18巻から最終巻31巻は、初見。まだまだ先は長い。登場人物がどんどん増えてきて、その関係も複雑。一行はついに網走監獄に潜入。そして、第7師団も加わって大きな戦闘に。はたして”のっぺら坊”の招待は?
読了日:08月29日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 14 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 14 (ヤングジャンプコミックス)感想
これも3年ぶりの再読。網走監獄での攻防戦から脱出した一行は、樺太に渡る。次巻から舞台は樺太に移るのか。物語の舞台の広がりに期待。この巻で、ついに”ノッペラ坊”の正体が明かされた。
読了日:08月29日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックス)感想
再読。舞台は樺太へ。樺太・千島交換条約→日露戦争→南樺太が日本領に。こういう国家間の領土のやりとりに、樺太アイヌは翻弄される。北海道(蝦夷地と呼ばれていた頃)もそうだが、アイヌ(千島アイヌ・北海道アイヌ・樺太アイヌ)にとって、国境などなかった。そんなことを、あらためて思い起させる、この巻。
読了日:08月29日 著者:野田 サトル

 

ゴールデンカムイ 16 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 16 (ヤングジャンプコミックス)感想
17巻目までは再読(初読は3年前)。舞台は樺太。キロランケに連れられて北樺太に近い敷香(シスカ)まで北上したアシㇼパ一行。この巻で、北樺太に住むウィルタ、ニヴフという先住民族が紹介される。物語は北海道アイヌから樺太アイヌ、樺太先住民族の世界まで広がっていく。アシㇼパたちを追う杉元一行は、曲芸団一行に出会い、例によってドタバタが繰り広げられる。全31巻の中盤にさしかかって、ますます先行きの展開への期待が広がる。
読了日:08月31日 著者:野田 サトル

ゴールデンカムイ 17 (ヤングジャンプコミックス)ゴールデンカムイ 17 (ヤングジャンプコミックス)感想
この巻までは再読。樺太を舞台に物語は進む。アシㇼパ、キロランケ、尾形、白石の一行は、国境を越えて北樺太のアレキサンドロフスクサハリンスキー(亜港)へ。この地の監獄を襲撃する計画を立てる。アシㇼパの父ウイルクの過去が、少しずつ明かされてきた。杉元たちは彼らを追う。灯台守の行方不明の娘スヴェトラーナとキロランケ、ウイルクとの因縁…。次巻18巻目からは初読。この後の展開に期待。
読了日:08月31日 著者:野田 サトル

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2022年8月19日 (金)

【読】桐野夏生 萌え(続)

桐野夏生の作品を読み始めたのは、最近のこと。
昨年2021年3月だった。

『アンボス・ムンドス』という短編集(文春文庫)。
「読書メーター」に、記録がある。

https://bookmeter.com/books/14845471

<タイトルに惹かれて手に取った文庫。表題作「アンボス・ムンドス」は、以前、アンソロジー「日本文学100年の名作第10巻」(新潮文庫、池内紀・川本三郎・松田哲夫/編)に収録されていたのを読んで感銘を受けた作品だった。読後に余韻を残す7つの短・中編集。桐野夏生という作家が紡ぎ出す世界は、一作ごとに違う貌を持っていて、あらためてその才能に感心する。人間の心の闇に気づかされる。小説の醍醐味を味わった。>

そうか、そういうきっかけで読み始めたのだったか。

いや、その前に『柔らかな頬』(直木賞受賞作)を文庫(上下2巻)で読んでいたっけ。

→ 【読】桐野夏生 萌え!: やまおじさんの流されゆく日々
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2022/05/post-57c606.html

その後、おもに新古書店(ブ)で文庫本を買い集めては、断続的に読んできた。
読み終えた本は、次々と”ブ”へ売却。

新古書店で見つからなかった本は、図書館からも借りた。
なかには文庫化されていない最近の単行本もあるが、文庫を優先するのは、巻末の解説を読みたいから。

このたび、ようやく、これまで発表された桐野作品を、ほぼすべて読了しそう。
ただし、『ファイアーボール・ブルース』という、女子プロレスを扱った2作だけは、読んでいないし、本格テビュー前のロマンス小説も見たことがなく、未読。
数えてみると、40作を超える作品を読んでいる。
私にとって、それほど魅力ある作家なのだ。
(もちろん、桐野夏生は好き嫌いが大きく分かれる作家ということは承知しているが)

桐野夏生HP -BUBBLONIA-
http://www.kirino-natsuo.com/

桐野夏生 | ダ・ヴィンチWeb
https://ddnavi.com/person/2327/

最後に今読んでいるのは、これ。

以下、私がこれまでに読んだ桐野作品の記録。
たぶん、単行本の刊行順。
個人的なメモです。

***

【2022/8/19現在】 ●読了 ▲読了(図書館本) ・未読

・ファイアボール・ブルース―逃亡(1995年1月 集英社)
 【改題】ファイアボール・ブルース(1998年5月 文春文庫) ※未読
OUT(1997年7月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫【上・下】) ※第51回日本推理作家協会賞受賞作
錆びる心(1997年11月 文藝春秋 / 2000年11月 文春文庫 / 2006年1月 大活字文庫【上・下】)
 所収作品:虫卵の配列 / 羊歯の庭 / ジェイソン / 月下の楽園 / ネオン / 錆びる心
ジオラマ(1998年11月 新潮社 / 2001年10月 新潮文庫)
 所収作品:デッドガール / 六月の花嫁 / 蜘蛛の巣 / 井戸川さんについて / 捩れた天国 / 黒い犬 / 蛇つかい / ジオラマ / 夜の砂
柔らかな頬(1999年4月 講談社 / 2004年12月 文春文庫【上・下】) ※1999年第121回直木三十五賞受賞作
光源(2000年9月 文藝春秋 / 2003年10月 文春文庫)
玉蘭(2001年3月 朝日新聞出版 / 2004年2月 朝日文庫 / 2005年6月 文春文庫) ※図書館 3/26- (文春文庫)
・ファイアボール・ブルース2(2001年8月 文春文庫) ※未読
リアルワールド(2003年2月 集英社 / 2006年2月 集英社文庫) ※図書館 3/27- (文庫)
グロテスク(2003年6月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫【上・下】)
残虐記(2004年2月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)- 週刊アスキー連載。連載時タイトルは「アガルタ」。桃源郷としての「アガルタ」を全く知らないままタイトルとして採用したとのこと
I'm sorry, mama(2004年11月 集英社 / 2007年11月 集英社文庫)
魂萌え!(2005年4月 毎日新聞社 / 2006年12月 新潮文庫【上・下】) ※Amazon購入
冒険の国(2005年10月 新潮文庫) ※図書館 3/26- (文庫)
アンボス・ムンドス(2005年10月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
 所収作品:植林 / ルビー / 怪物たちの夜会 / 愛ランド / 浮島の森 / 毒童 / アンボス・ムンドス
メタボラ(2007年5月 朝日新聞社 / 2010年7月 朝日文庫【上・下】 / 2011年8月 文春文庫)
東京島(2008年5月 新潮社 / 2010年5月 新潮文庫)
女神記(2008年11月 角川書店 / 2011年11月 角川文庫)
IN(2009年5月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
ナニカアル(2010年2月 新潮社 / 2012年10月 新潮文庫)
優しいおとな(2010年9月 中央公論新社 / 2013年8月 中公文庫)
ポリティコン(2011年2月 文藝春秋【上・下】 / 2014年2月 文春文庫【上・下】) ※図書館4/23~
緑の毒(2011年8月 角川書店 / 2014年9月 角川文庫)
ハピネス(2013年2月 光文社 / 2016年2月 光文社文庫)
だから荒野(2013年10月 毎日新聞社 / 2016年11月 文春文庫)
夜また夜の深い夜(2014年10月 幻冬舎 / 2017年10月 幻冬舎文庫)
奴隷小説(2015年1月 文藝春秋 / 2017年12月 文春文庫) ※図書館 3/26- (文庫)
 所収作品:雀 / 泥 / 神様男 / REAL / ただセックスがしたいだけ / 告白 / 山羊の目は空を青く映すか Do Goats See the Sky as Blue?
抱く女(2015年6月 新潮社 / 2018年8月 新潮文庫)
バラカ(2016年3月 集英社 / 2019年2月 集英社文庫【上・下】)
猿の見る夢(2016年8月 講談社 / 2019年7月 講談社文庫)
夜の谷を行く(2017年3月 文藝春秋 / 2020年3月 文春文庫)
デンジャラス(2017年6月 中央公論新社 / 2020年6月 中公文庫)
路上のX(2018年2月 朝日新聞出版 / 2021年2月 朝日文庫)
ロンリネス(2018年6月 光文社 / 2021年8月 光文社文庫)
とめどなく囁く(2019年3月 幻冬舎) ※図書館4/23~
日没(2020年9月 岩波書店)
インドラネット(2021年5月 KADOKAWA)
砂に埋もれる犬(2021年10月 朝日新聞出版)
燕は戻ってこない(2022年3月4日 集英社)

【小説 村野ミロシリーズ】
顔に降りかかる雨(1993年9月 講談社 / 1996年7月 講談社文庫 / 2017年6月 講談社文庫【新装版】)
天使に見捨てられた夜(1994年6月 講談社 / 1997年6月 講談社文庫 / 2017年7月 講談社文庫【新装版】) ※図書館 3/26- (1997版文庫)
水の眠り灰の夢(1995年10月 文藝春秋 / 1998年10月 文春文庫 / 2016年4月 文春文庫【新装版】)
ローズガーデン(2000年6月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫 / 2017年8月 講談社文庫【新装版】))
 収録作品:ローズガーデン / 漂う魂 / 独りにしないで / 愛のトンネル
ダーク(2002年10月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫【上・下】) ※図書館

【ロマンス小説】
・愛のゆくえ(1984年12月 サンリオニューロマンス)
・熱い水のような砂(1986年2月 サンリオニューロマンス)
・真昼のレイン(1986年7月 サンリオニューロマンス)
・夏への扉(1988年1月 双葉社) ※桐野夏子名義
・夢の中のあなた(1989年3月 双葉社) ※桐野夏子名義
・ジュニア小説(野原野枝実名義)
・恋したら危機!(1989年8月 MOE文庫)
・あいつがフィアンセだ!(1989年8月 MOE文庫)
・小麦色のメモリー(1989年8月 MOE文庫)
・トパーズ色のband伝説(1989年10月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート2(1989年12月 MOE文庫)
・媚薬(1990年3月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート3(1990年5月 MOE文庫)
・急がないと夏が… プールサイドファンタジー(1990年7月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語1 セントメリーのお茶会にどうぞ(1990年10月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語2 銀の指輪は冷たく輝く(1991年1月 MOE文庫)
・ガベージハウス、ただいま5人(1991年3月 コバルト文庫)
・涙のミルフィーユボーイ(1992年1月 コバルト文庫)
・ルームメイト薫くん 1-3(1993年-94年 偕成社)

【エッセイ集】
蛇教異端審問(2005年1月 文藝春秋 / 2008年1月 文春文庫) - エッセイ集
The cool!桐野夏生スペシャル(2005年9月 小説新潮別冊 - Shincho mook)- 書き下ろし作「朋萌え!」や未発表作「プール」他、25ページにわたるカラーグラビア等、桐野夏生の基本情報が掲載

【対談集】
発火点(2009年9月 文藝春秋 / 2012年12月 文春文庫)

 

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【雑】ひとあし早い秋の空

8月も中盤。

今朝、5時前に目がさめて外を見ると、みごとな朝焼け。
スマホで写真を撮る。

今日の天気予報では、最低気温23度。
最高気温は、やや高く33度だが、湿気がなくて爽やか。
初秋を思わせる、きもちのいい天気。
まだまだ残暑は続きそうだが、こういう日は気分がいい。

20220819_weather

この季節、朝焼けは北側開放通路に出ないとよく見えない(下の写真)。

20220819-043829

南側ベランダから見た、東の空(下の写真)。

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そして、少し時間がたってからの南の空。
送電鉄塔にあたる陽射しに、陰影がついていて、きれいだ。

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2022年8月 1日 (月)

【雑】COVID-19罹患記

2022年7月第3週、新型コロナウイルス感染症に夫婦で感染。

さいわい、ごく軽症(私は発熱のみ)で、たぶん完治したと思われる。
発症日(7/12)の翌日から10日間は、健康観察期間。
毎日、病院(診察を受けたクリニック)から症状確認の電話が入った。
妻も私の次の日あたりから発熱し、検査の結果、陽性だった。

ブログ日記には、毎日の経過を書いていた。
SNS(Facebook)には、いっさい書かなかったが、記録としてここに残しておこう。

■経緯
私が外出先のどこかで感染して、妻にもうつしてしまったと思われる。

7/12(火)午前1時、37.4度の発熱(平熱は35度~36度台)
・朝、平熱
・午後から夕方にかけて37度台後半から38.2度の発熱
・解熱剤(ロキソニン)服用

7/13(水)朝、37度
・近所のクリニックに発熱外来予約の電話をかけるも、ずっと話し中。
(ここには、ふだん、健康診断ぐらいでしか行っていない)
・都の発熱相談センターに電話
 →近くのクリニックで受信するように言われた
・何回か受診したことがあり、診察券もある立川のクリニックに電話
(ここは、大きな総合病院の付属クリニック)
 →発熱外来7/14 14時の予約が取れた
・念のため、私のかかりつけの病院(成人病でお世話になっている)にも電話したが、発熱外来は近くのクリニックで、と言われてあきらめた
・午後も37度の熱、ロキソニン服用

7/14(木)発熱外来受診(立川の大きなクリニック)
・院内には入れてもらえず、インターホンで到着を知らせる
・1階の間仕切りをした発熱外来(5人分ほどのパーティション)に入る
・看護師が来て、問診票記入、検温、血中酸素飽和度測定(数値不明)
・別室に案内され、抗原検査(鼻咽頭から綿棒で採取)
・しばらく待たされた後、医師による診断→抗原検査の結果が陽性とのこと
(このクリニックでは、抗原検査で陰性の場合、さらにPCR検査という流れ)
・重症化予防薬=ロゲブリオ/モルヌピラビル処方の希望を聞かれる
 →処方してもらうことに
・近くの調剤薬局へ行く(クリニックから薬局へ処方箋FAX送付)
・薬局に到着後、電話で知らせる(中には入れない)
・表のテントでしばし待つ
・薬剤師が薬を持って来て説明
 →ロゲブリオカプセル200mg✕4錠✕3回/日✕5日分処方
・解熱剤も希望し、追加で出してもらう

7/15(金)妻、発熱外来受診
・私は外出自粛なのだが、車で送り、終わるのを待つ
・妻は、本来、濃厚接触者扱いで、クリニックにも出入り禁止なのだが
 通常診療(予約診療の予定があった)で診てもらうつもりで行く
 →看護師から笑いながら、優しく「濃厚接触者だから、来ちゃだめなのよ~」と言われたそうだ
 すぐに発熱外来へ回されて、PCR検査→陽性判定が出る
 妻にはコロナの薬の処方はなかった

7/16(土)~7/22(金)
・発症日の翌日から10日目まで、毎日、クリニックから電話で健康観察
 妻は7/23(土)まで
 私たちの場合は、保健所からではなく、診察を受けたクリニックからの電話
・体温、パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度、体調を報告

■感染経路(推測)
妻は通院以外、ほとんど外出していなかった。
私は、芝居観劇、ライブ、コンサート、他、発症日直前の外出が何度か。
芝居(野外劇)では、関係者に陽性者が出て、私が観た初日の翌日から休演になった。
ライブでは、飲食あり。
飲食と外の歩行時以外は、マスクをしていた。
たぶん、どこかでもらってきたのだろう。

■自宅待機期間中の生活
都の「うちさぽ」で食料品を配達してくれることは知っていたが、インスタント食品ばかりなので、利用せず。
何度か車で(もちろん私ひとりで)食料品の買い出しに行った。
ほんとうは家にこもっていないといけなかったのだが。
MY-HERSYSに登録するよう、ショートメールが届いたので(IDが知らされる)登録。
毎日、二人分の状態を入力した(健康観察終了日まで)。
あとは、自宅で普通の生活。
妻は、発熱、のどの痛みなどが続いたものの、血中酸素飽和度も極端に低くならなかったため、入院希望を出さなかった。
ただ、一時、味覚・嗅覚異常があった。
妻は過去に肺炎になったことがあり、心配だったので、かかりつけの(発熱外来で診てもらった)クリニックに相談したところ、希望する病院への入院はできないとのこと。保健所指定の病院になると言われて、取り下げた。

■思ったこと
いまや、いつ感染してもおかしくない、インフルエンザなみの病気になったとは思う。
私も妻も、ワクチンを3回接種済み。
ワクチンの効果も疑問(重症化防止効果はあるのかも)。
4回目接種の時期なのだが、接種しないつもり。
変異株に対応するあたらしいワクチンが出たら、考える。
ワクチンもマスクも、どうなんだろうと思うようになった。
ただ、私たちのような高齢者は、重症化には気をつけたい。
後遺症も気になるところ。
私は大丈夫そうだが、妻は持病があるので、しばらく注意が必要。

発熱外来の混雑ぶりもそうだが、中等症・重症になると、つらいだろう(当人はもちろんのこと、医療機関もたいへん)。
インフルエンザなみに扱うには、まだ、これといった特効薬がないのもつらい。
そこが、季節性インフルとは、はっきり違う。
安易にインフルなみの扱い(5類相当)とするのは、次期尚早ではないだろうか。
・・・などと、自分が体験したせいか、いろいろ考えている。

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【読】2022年7月に読んだ本(読書メーター)

7月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:6128
ナイス数:201

ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡ALONE ON THE WALL アローン・オン・ザ・ウォール 単独登攀者、アレックス・オノルドの軌跡感想
トミー・コールドウェルの『ザ・プッシュ』で知ったクライマー アレックス・オノルド(ホノルドと表記するのが正しいらしいが)とデイヴィッド・ロバーツとの共著。ロープやギヤ類をいっさい使わず、いわば裸一貫で岸壁を登る”フリーソロ”。考えてみれば、きわめて原初的な岩登りのスタイルで、そこに魅力を感じる。もちろん、落ちてしまえば一巻の終わりで、ふつうの人には真似できないことだ。コールドウェルもそうだったが、このオノルドも人間的な魅力に富む人物。手に汗握る映像も見てみたいものだ。
読了日:07月01日 著者:アレックス・オノルド,ディヴィッド・ロバーツ


日本国憲法日本国憲法感想
先日読んだばかりの小説『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)の著者が、2007年に上梓した本。この小説のベースになっているフジテレビの深夜番組「NONFIX」で試みようとしてできなかったことの顛末が、詳しく書かれている。憲法一条と九条への著者の思い・考えが綴られていて、あらためて憲法について考えさせられることが多かった。日本国憲法の最初の単語が「朕(ちん)」だという指摘にハッとした。「朕は、…帝国議会の決議を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。」
読了日:07月03日 著者:森 達也


戦争の日々(上)―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント戦争の日々(上)―天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント感想
週刊金曜日2022/4/8号に掲載されていた『千代田区一番一号のラビリンス』の著者・森達也氏へのインタビュー記事を読んだ。そこに現代書館社長の菊地泰博氏へのインタビュー記事もあり、この本が紹介されていた。先の戦争についてはさまざまな本があるが、朝倉喬司氏による上下2巻のこの著作は知らなかった。まさに「戦時下日本のドキュメント」で、当時の指導者たちから巷間の無名の人びとにいたるまで、新聞記事などをたんねんに追って、その実相に迫っている。日米開戦に至る両国の交渉の裏話(米大使グルーの日記など)が興味深い。
読了日:07月07日 著者:朝倉 喬司


戦争の日々〈下〉天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント戦争の日々〈下〉天皇から娼婦まで、戦時下日本の実況ドキュメント感想
当時の日記や手記(有名無名を問わず様々な人が遺した)、新聞・雑誌記事、市井の噂や流言飛語などを構成することで、あの戦争の姿をあぶり出す。まさに「実況ドキュメント」。下巻では1941年12月の開戦から、緒戦の勝利に沸く熱狂とそれに続く劣勢、敗戦までの日々が綴られている。終章、沖縄戦での幼女のエピソード(母親と二人で逃げ回っていて母親が死亡、通りがかりの人に拾われて壕に連れて来られたが、食べ物も一切受け付けずひと言も発しなかった)が胸に迫る。昭和18年生れの著者は、この幼女に自分自身を重ね合わせている。
読了日:07月11日 著者:朝倉 喬司


燕は戻ってこない (集英社文芸単行本)燕は戻ってこない (集英社文芸単行本)感想
ひさしぶりに桐野夏生作品を読んだ。2022年3月刊行の最新作。代理母(代理出産の一種)という、きわめて現代的なテーマ。実質的なデビュー作『OUT』につながる「女性たちの困窮と憤怒」(帯の惹句)が描かれる。終幕、主人公リキの決断に、何やら救われる思い。いい後味だった。物語の展開にかかわる「りりこ」の強烈な個性が印象的。
読了日:07月12日 著者:桐野夏生


ロンリネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)ロンリネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)感想
『ハピネス』の続編とは知らず先に読んでしまった。タワーマンションとか、ママ友とか、縁遠い世界だが、主人公女性の懊悩は理解できる。結末にもう少しひねりがあるかと思ったが、これはこれで桐野夏生らしいクロージングかもしれない。『ハピネス』も読まなくては。
読了日:07月14日 著者:桐野 夏生


ハピネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)ハピネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)感想
先に読んでしまった『ロンリネス』につながる作品。高級タワーマンションに暮らすプチセレブと呼ぶべき主婦たち=ママ友どうしの見栄の張り合いに翻弄される主人公、彼女と親しいヤンママ風の美雨ママ、お受験に奔走する3人のママたち。そこにダブル不倫や主人公と夫との軋轢がからむ。なかなか面白い。作品として未完の感が否めないのは、続編を想定して書かれたからか。文庫解説(斉藤美奈子)の指摘が鋭い。未完ということなら、続編の『ロンリネス』も、その先の展開が気になるところ。光文社のプチセレブ向け女性誌「VERY」連載とのこと。
読了日:07月16日 著者:桐野 夏生


魂萌え!〔上〕 (新潮文庫)魂萌え!〔上〕 (新潮文庫)感想
感想は下巻読了後に。文庫上下2巻に分けるほどの分量ではないのに、と思う。たしかに文庫1冊にすると600ページを超える長編だが。
読了日:07月17日 著者:桐野 夏生

 

魂萌え!〔下〕 (新潮文庫)魂萌え!〔下〕 (新潮文庫)感想
桐野夏生らしい作品。文庫解説(星野智幸)によれば、桐野作品には「ホワイト桐野ワールド」と「ブラック桐野ワールド」があるという。たしかに。この小説は「ホワイト」、つまり平凡な専業主婦の平凡な日常からの微妙な脱出(夫の急死であきらかになる事実と彼女の変化)の物語だ。これまで読んだ作品の中では『だから荒野』を連想させる。ラスト、ちょっとしたどんでん返し的エピソードをもってくるあたり、さすがの小説巧者。
読了日:07月18日 著者:桐野 夏生


抱く女 (新潮文庫)抱く女 (新潮文庫)感想
予備知識なく読んだので、タイトルからどんな小説かと思ったが、1972年の時代の匂いが濃厚。桐野さんは私と同年生まれで、内ゲバ時代の当事者世代だったことを思い起す。冒頭、雀荘にたむろする無気力な若者たちの姿にうんざりしながら読んでいたが、女性ジャズシンガーとの出会いあたりから懐かしい思いがした。酒癖の悪いジャズピアニストなど、いかにも居そうで笑ってしまった。主人公直子に頑張れよと声をかけたくなった。時代の色が濃厚だが、普遍的なテーマを内蔵する青春小説といえるだろう。またしばらく桐野ワールドにのめり込みそう。
読了日:07月19日 著者:桐野 夏生


猿の見る夢 (講談社文庫)猿の見る夢 (講談社文庫)感想
これも予備知識なしで読んだが、タイトルが秀逸。自己中心的でいながら、とんでもなく間抜けな主人公(一見、社会的な地位もあり金銭的にも恵まれている会社役員)の破滅へ向かうドジな道のりが、コミカルに描かれている。文庫解説・関川夏央が言うように、こういうサラリーマンは巷にありふれているのかも。物語の展開のテンポが巧妙で、いっきに読ませる。狐につままれたようなラストが不気味。
読了日:07月20日 著者:桐野 夏生


メタボラ (文春文庫)メタボラ (文春文庫)感想
タイトルが謎のまま、予備知識なしで読んだこの小説は、桐野作品の中でも何本指かに入る傑作だと思う。舞台は沖縄。それだけでも私にはうれしいのだが、副主人公ともいえる宮古島出身の男の島言葉が、この男のキャラクターを巧みに現わしていて、さすが桐野夏生だと感心した。主人公の過去が徐々に明かされていく展開も巧み。2005年11月から2006年12月にかけて朝日新聞に連載。現代沖縄の姿がよく描かれている。
読了日:07月22日 著者:桐野 夏生


優しいおとな (中公文庫)優しいおとな (中公文庫)感想
これも傑作。文庫解説で雨宮処凛が「熱烈な桐野ファン」と告白している。雨宮さんには秘かに注目しているので、嬉しい。この小説も、桐野作品らしく現代日本の深刻な問題(貧困問題、家族問題)を、これでもかと抉り出していて、強烈なのだが、どこか人の”優しさ”を信じたくなる、温かなまなざしが感じられる。巻末にあげられている参考文献(学術的で難しそうな書名)を見ると、この作品にこめられた作者の熱意が伝わってくる。
読了日:07月24日 著者:桐野 夏生


路上のX (朝日文庫)路上のX (朝日文庫)感想
桐野夏生作品には「ブラック桐野ワールド」と「ホワイト桐野ワールド」の2種類があるという説を読んだことがあるが、これはブラックもブラック、真っ黒な、現代の女子高生たちをとりまく世界。文庫版解説(仁藤夢乃=Colabo代表)を読むと、これが現代日本の生々しい現実なのだと納得。絶望的な気分になる。少女たちを食い物にする男たち、自分の子どもたちを見捨てるどころか虐待する親たち、隔離施設に閉じ込めることしかしない・できない行政。この現実を直視させられた。物語の展開は、さすが桐野さん。最後の種明かしが秀逸。傑作だ。
読了日:07月26日 著者:桐野 夏生


グロテスク 上 (文春文庫)グロテスク 上 (文春文庫)感想
<名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。>(文庫カバー)とあるが、表題どおり”グロテスク”な世界。ちょと辟易しながら、なんとか読了。上巻ではさまざまな謎が解かれておらず、下巻での展開が楽しみではある。
読了日:07月29日 著者:桐野 夏生

 

グロテスク 下 (文春文庫)グロテスク 下 (文春文庫)感想
下巻の冒頭「張(チャン)の上申書」で物語の流れがガラッと変わり、桐野夏生らしい凝った構成。悪意に満ちた独白と登場人物たちの手記・日記で構成されるおどろおどろしい世界。あまり好きではないが、最後まで読者を引っ張るところは、さすが。好悪が分かれる問題作だと思う。文庫版解説(斉藤美奈子)がなかなか鋭い。
読了日:07月31日 著者:桐野 夏生

読書メーター

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2022年7月 1日 (金)

【読】2022年6月に読んだ本(読書メーター)

6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3560
ナイス数:170

日本人とエベレスト―植村直己から栗城史多まで日本人とエベレスト―植村直己から栗城史多まで感想
山好きにはたまらない一冊。1971年の松浦輝夫・植村直己による日本人初登頂から、近年の栗城史多まで、通史的に紹介されていて、エベレストに向けられる憧憬がひしひしと伝わってくる。それにしても、公募隊というガイド登山によって一般の人でも登れるようになったとは、驚きだ。ノーマルルートに張り巡らされたフィックスロープをたどって行けば(数々の難所はあるにしても)頂上にたどり着けるらしい(もちろん体力が必要だし、酸素ボンベは必須だが)。414ページに掲載されている頂上直下の大渋滞写真にも驚いた。
読了日:06月02日 著者:

ぼくは冒険案内人ぼくは冒険案内人感想
先に読んだ『日本人とエベレスト』(山と渓谷社/2022年)で、この著者(国際山岳ガイド)を知った。元気いっぱいのガイドさん。ヒマラヤの高山やヨーロッパアルプスの登山の実態もよくわかった。たとえば、ヒマラヤの8千メートル峰には放置されたままの遺体がたくさんあること、エベレスト登頂後にお客さんを死なせてしまった経験など…。著者が目指している山岳ガイドの姿には共感した。こういう人にガイドしてもらえば、2009年のトムラウシ山遭難事故(旅行会社主催で雇われガイドが率いたツアー登山だった)などは起きなかったと思う。
読了日:06月08日 著者:近藤 謙司

近藤謙司とシミュレートするエベレスト登山近藤謙司とシミュレートするエベレスト登山感想
Kindle版を読むことはめったにないのだが、カラー写真がきれいだし、拡大表示もできるのがよかった。2011年、あの東日本大震災の直後、エベレストへのガイド登山のルポ。近藤ガイドの現地からのブログ投稿と、日本の事務所からの投稿によって、臨場感あふれる登頂記録になっている。
読了日:06月08日 著者:近藤謙司

 

「おくのほそ道」をたどる旅: 路線バスと徒歩で行く1612 キロ (999;999) (平凡社新書 999)「おくのほそ道」をたどる旅: 路線バスと徒歩で行く1612 キロ (999;999) (平凡社新書 999)感想
芭蕉の「おくのほそ道」を路線バスと徒歩で行く、と銘打っているが、列車やタクシー、レンタカーまで使って、できる限り芭蕉と曾良が歩いた道を探る紀行文。ところどころで昔の旧街道をみつけたり、田んぼから新幹線が超高速で走り去る姿を見て感慨にふけったり、地元の人が利用する100円均一の市営バス(コミュニティバス)に乗るのを申し訳なく思ったり…と、バックパッカーらしい視点が好ましい。芭蕉の同行者曾良の苦労を思いやる著者の優しさにも好感が持てる。著者にはアジアや沖縄の寄稿文が多数ある。読んでみたい気分になった。
読了日:06月09日 著者:下川 裕治

You are what you read あなたは読んだものに他ならないYou are what you read あなたは読んだものに他ならない感想
ひそかに敬愛する服部文祥さんが書いた読書ガイド(「本の雑誌」連載書評)をまとめた本。59冊の興味深い本が、文祥さんらしい硬質で巧みな文章で紹介されている。私は池澤夏樹さんの文章を連想した。どれも読みたくなる本ばかりだ。"サバイバル登山"を実践し、都市でのサバイバル生活を続ける(その様子は配偶者服部小雪さんの『はっとりさんちの狩猟な毎日』河出書房新社2018年)この人らしい選書もあれば、まんが本や科学書もあって、いったい彼の読書の幅はどうなってるんだ、と驚くが、「岳人」編集者らしい見識なのだろう。
読了日:06月16日 著者:服部文祥

滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)感想
東京都東久留米市の滝山団地は私の住まいから近く、この本に出てくる土地には馴染みがある。著者原武史さんの皇室関係の本をわりとよく読んでいて好きな書き手なので、以前から気になっていた。「滝山コミューン」とは「国家権力からの自立と、児童を主権者とする民主的な学園の確立を目指したその地域共同体」だった。1974~75年頃のことだ。当時、この団地のマンモス小学校の生徒だった原少年が抱いていた強い違和感・疎外感が、本書を著す契機になっている。文庫版解説は桐野夏生。原さんは桐野作品の解説を書いたり対談もしている。
読了日:06月16日 著者:原 武史

千代田区一番一号のラビリンス千代田区一番一号のラビリンス感想
書評家岡崎武志さんの書評(東京新聞2022年6月12日)を読み、がぜん読みたくなった小説。実在の人物(山本太郎氏、さかなクン、一水会代表木村三浩氏、等々)の逸話がリアル。天皇皇后(現上皇ご夫妻)の日常生活と皇居地下のラビリンス(迷宮)探検と幻想的な展開は、作者の”妄想”(作者がインタビューでそう表現している)。天皇制とは? 憲法一条がいう"象徴"とは何?(憲法では何も説明していないし、日本国民の総意というが国民投票をしたわけでもない)。さまざまな問題提起を孕みながらも、上皇ご夫妻に対する好意がうかがえる。
読了日:06月20日 著者:森達也

空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日 (ヤマケイ文庫)空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日 (ヤマケイ文庫)感想
作家の桐野夏生さんが、この著者ジョン・クラカワーを愛読していると知り、何冊か買い求めたなかの一冊。服部文祥さんも書評を集めた『You are what you read』(本の雑誌社)のなかで言及している。1996年のエベレストでの大量遭難については、少し前に読んだ『日本人とエベレスト』(山と渓谷社)で知ったばかり。エベレストの高所(デスゾーン)の過酷さが伝わってきて息をのむ展開。プロの登山家でなくてもガイドに率いられて登頂できるようになった「公募登山」の実態がよくわかる。この文庫版の解説は石川直樹氏。
読了日:06月24日 著者:ジョン・クラカワー

ザ・プッシュ:ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡ザ・プッシュ:ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡感想
服部文祥さんの著作(書評集)で知った本。フリークライミングで”ドーン・ウォール”と呼ばれるヨセミテ エル・キャピタンの長大な岸壁を初完登した著者の自伝。息詰まる展開。文章・訳文が良く、抵抗なく読み通せた。頻出するクライミングの専門用語もネット検索で補足理解できた(ごく初歩のクライミング体験があったので)。もっと写真があるといいのにと思った。「The Dawn Wall」という映像作品にこのクライミングの様子が写されているというので見てみたいが、本書では著者の内面の葛藤が克明に描かれている。
読了日:06月27日 著者:トミー・コールドウェル

増補新版 いま生きているという冒険 (よりみちパン! セ)増補新版 いま生きているという冒険 (よりみちパン! セ)感想
ずっと気になっていた人の本。少し前に読んだ『空へ―「悪夢のエヴェレスト」1996年5月10日』 (ヤマケイ文庫)の解説が、この石川直樹さんだった。少年少女向けシリーズ(よりみちパン!セ)なので、漢字にルビが振ってあったりして読みやすい。角幡唯介さんの2年後輩(早稲田大学)だったことを知る。服部文祥さんいわく「服部・角幡・石川三兄弟」。じつは、過去にこの石川直樹さんのこと(ある事故)をネット記事で読んだことがあって、なんとなく敬遠していたのだが、著書を読んでみて好感の持てる人だと感じた。先入観はいけないな。
読了日:06月28日 著者:石川直樹

ぼくの道具ぼくの道具感想
登山道具やキャンプ用具が好きなので、この本は楽しめた。外国の高山でしか使わないような羽毛服や高所靴、写真家らしいプロ向きカメラの数々など、私には縁遠い品物も、豊富な写真(巻頭のカラー写真が美しい)と文章で、とても興味深かった。失敗に終わった「2015年夏 K2登攀記」も、いい。靴紐をいちいち結ぶかどうかの話(P119)に出てくる「人生指南の量産している作家」「何を言ってるんだこの人は」とは五木寛之氏のことだろうと想像して、クスっと笑う。「ポメラ」という簡易な文書入力機器を初めて知った。これは便利そうだ。
読了日:06月29日 著者:石川直樹

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2022年6月14日 (火)

【読】服部文祥さんの書評本

"サバイバル登山家"を自称する服部文祥さんの、書評を集めた本を図書館でみつけて、読んでいる。

『You are what you read あなたは読んだものに他ならない』
 本の雑誌社 2021/2/19 264ページ

まだ読みかけだが、たいへん面白い本なので、ここに記録しておこうと思う。

英語圏には "You are what you ate (eat).” という慣用句があるそうだ。
服部文祥さんは、まえがき(はじめに)で、この書名の由来を語っている。

(はじめに、より)

<本書の主題は、私のライフワークに影響を与えたり、資料として参照したりした「面白本」を紹介することである。私が憧れる世界観を上手に表現している愉快な作品や過去の探検記、パラダイムシフト的発見を報告するサイエンスノンフィクションなども取り上げる。
 私のライフワークは登山であり、その登山はサバイバル登山である。サバイバル登山とは食料や燃料を現地調達しながら、できるだけ現代装備や現代文明に頼らずに、長期間野生環境(山岳地帯)を旅する登山である。>

そして、最後に――

<食べたものが自分自身を作る、と先に書いた。同時に私は、これまで読んできた書物からも作られている。(中略)そういう意味で、I am what I read 私は読んできたものに他ならない。>

そこらの書評とちがうのは、著者の個人的な関心(人間や生きものの生死とは何か)に引き寄せて、読んできた書物から受け取ったエッセンスを綴り、考察を続けているところ、と言ったらいいか。

辛辣な言葉も多いが、いかにも服部さんらしい。
まだ半分しか読んでいないが、読んでいてハッとした文章を拾いだしてみる。
(駄洒落じゃないが、文祥さんの文章は巧みだ)

<何かを食べることは後ろめたいことなのだろうか。食べ物に対する感謝や「いただきます」という言葉が免罪符のようになっているのはなぜなのだろう。/すべての生き物が「生き続けたい」(死にたくない)という思いを持っている(ように見える)。「生きたい」と思っている動物の命を、自分が生き続けるために終わらせて食べる。それは自分の「生きたい」を優先させていることに他ならない。我ながらその自分の傲慢さに心が痛む。ならば少なくとも、自分のために死んだ命に感謝くらいしよう、ということで「いただきます」。/やっぱりそれはそれでいいのかもしれない。>
(P.16 『極北 フラム号極北漂流記』)

服部文祥さんは、狩猟もする。
猟師ならではの実感がこもった言葉だ。

<仲良くなったヒグマを勘違いから撃ち殺してしまうアイヌ猟師の話が心に残る。(中略)死は悲しい。獲物の死であっても悲しさは付随する。だが、かつて生きて今はいない命を回想する切なさは、否定すべきではない。それは人生を豊かにしてくれる。それが命(生+死)に触れるということだと私は思う。> 
(P.27 『秘境釣行記』『羆吼ゆる山』『アラシ』)

<登山者が死ぬような思いをしないで強くなる方法。効いたときは魅力的に見えたその提案を、最近の私は疑っている。登山者は結局、リスクを求めて山に行っているからだ。だが、戦争は違う。本書には武勇伝がひとつもない。その点が戦記物と決定的に違っている。ただ静かに戦前戦中戦後を生きた人生の無常と機微を報告する。そして激しく心を揺さぶられる。> 
(P.31 『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』)

小熊英二氏が父親、小熊謙二氏(シベリア抑留から生還した)を描いたこの新書を、私も読んで感動したことを覚えている。
内容はすっかり忘れているが。

<死んでしまったら意味がない、死んだらつまらない、死んだらおしまいだなどと人は口にする。/まるで生き続けていれば、人生は意味があり、面白く、終わらないかのようだ。/生きるとは何だろうか。/登山を志して道半ばで死んでいった人々の人生を、夢を完遂できなかったという意味で、もったいない、ということはできるかもしれない。だが、山を舞台に自分とは何かを突き詰める行為に人生を費やし、そこで死んでいった仲間を私は否定することができない。>
(P.77 『夜間飛行』『人間の土地』)

***

きりがないので、これぐらいにしておこう。
半分弱の107ページまで読んで、私のきもちを動かした文章が、これらだ。

読み終えたら図書館に返却してしまうので、この本で取り上げられている書物(目次)を、Amazonから転載しておこう。
ちなみに、この書評集は、雑誌「本の雑誌」に、2015年7月号から2020年8月号まで連載されていた書評を集めたもの。

これらのなかには、いつか読んでみたい本が、いくつかある。

(数字はページ番号)

目次
はじめに 一個一四円の卵から考える食と読から作られる我 11

史上最高の人類ナンセンの究極の旅『極北』を読む 16
『極北 フラム号北極漂流記』フリッチョフ・ナンセン著/加納一郎訳

現象はすべて命だデルスーを世に知らしめたアルセーニエフ 20
『デルスー・ウザーラ』アルセーニエフ著/長谷川四郎訳

攻撃の直前ヒグマは立ち上がるモンゴロイドよその隙をつけ 24
『秘境釣行記』『羆吼ゆる山』『アラシ』今野保著

究極のサバイバル道具は針とナベ無常機微機知シベリア抑留 28
『生きて帰ってきた男 ─ある日本兵の戦争と戦後』小熊英二著

悟りたいのは面白いから登りたいのも面白いから 32
『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』魚川祐司著

野生獣食らうにふさわしいヤツなんていない切ないならばなぜ狩る 36
『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ著/小川高義訳

最悪はまだまし最期の報告は語る者なくメモと屍 40
『世界最悪の旅:悲運のスコット南極探検隊』 アプスレイ・チェリー・ガラード著/加納一郎訳

邦訳の読者は知らない驚愕の後日談「だれが裏切ったんだ?」 44
『凍える海 極寒を24ヶ月間生き抜いた男たち』 ヴァレリアン・アルバーノフ著/海津正彦訳

死んでいない状態それは生きている? 空を飛ぶもの山を行くもの 48
〈スカイ・クロラ〉シリーズ 森博嗣著

狙われる気持ち知りたい動物の感覚探る先で見るもの 52
『動物感覚 アニマル・マインドを読み解く』 テンプル・グランディン著/キャサリン・ジョンソン著/中尾ゆかり訳

来しかたを調べ行く末を描くもわからず終了試験落第 56
『私たちはどこから来て、どこへ行くのか 科学に「いのち」の根源を問う』 森達也著

いのちを知るために外から観察す視点アンディ何を見るのか 60
『アンドロイドは人間になれるか』石黒浩著

自分以外になぜかなれないこの世界命の起源哲学降参 64
『存在と時間 哲学探究1』永井均著

文明はしあわせですか生きていますかアマゾンの最奥地より 68
『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』 ダニエル・L・エヴェレット著/屋代通子訳

いつか来る終末世界タフで繊細私の銃もレバーアクション 72
『極北』マーセル・セロー著/村上春樹訳

よたよたと大地を離れた飛行機は登山者と似て野望を乗せて 76
『夜間飛行』『人間の土地』サン=テグジュペリ著/堀口大學訳

文無しになるまで自分を追い詰めて乗るマグロ漁船刺身特売 80
『漂流』角幡唯介著

情熱を失わないのが才能と羽生は言うけど藤井どうなの 84
『棋士という人生 傑作将棋アンソロジー』大崎善生編

時に食べ時に食べられぐるぐると命とはまわるディストピア考 88
『大きな鳥にさらわれないよう』川上弘美著

命懸け価値があるのかないのかは命懸けなきゃわからない斬る 92
〈ヴォイド・シェイパ〉シリーズ 森博嗣著

飲み過ぎて迎えた朝にうなだれてたどる記憶に似た人類史 96
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上』 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳

ベストセラー読んでいない人のためスーパーダイジェスト我らどこ行く 100
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 下』 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳

撃つ前は獲物を想い己を殺す猟師ケモノの夢を見るのか 104
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック著/浅倉久志訳

かけがえのないはずの命消費してうねる世界で我は食うなり 108
『彼女は一人で歩くのか?』Wシリーズ 森博嗣著

生態系の向こうに行くか近未来 意志にはかたち嵩重さなし 112
『彼女は一人で歩くのか?』Wシリーズ 森博嗣著

人類をここまで導く好奇心 誰も死なない明日は明日か 116
『彼女は一人で歩くのか?』Wシリーズ 森博嗣著

アムンセン隊去ったあとのイヌイット青い目の子をつぎつぎと産む 120
『最後のヴァイキング ローアル・アムンセンの生涯』 スティーブン・R・バウン著/小林政子訳

読書感想文書きたくない娘 「本の雑誌」を敵として見る 124
『マヤの一生』椋鳩十著

アラスカ版デルスー、シドニー・ハンチントンその人生を表す題なし 128
『熱きアラスカ魂』 シドニー・ハンチントン著/ジム・リアデン編/和田穹男訳

体験は善も悪もなくそこにあるあの時の我いまどこにいる 132
『スローターハウス5』カート・ヴォネガット・ジュニア著/伊藤典夫訳

狩猟とはなにかド直球で問いただす狩りの言葉のSFラブコメ 136
『明日の狩りの詞の』石川博品著

天稟のすべてを出すのが犬の幸せリスク見積もる人にわからず 140
『犬物語』ジャック・ロンドン著/柴田元幸訳

ネタバレの心配がないネタがない でも面白い文字列の意義 144
『光の犬』松家仁之著

西部劇のように荒野を旅したい犬とライフルを相棒にして 148
『オンブレ』エルモア・レナード著/村上春樹訳

便利安全快適な今日予定調和でつまらない明日 152
『ブッチャーズ・クロッシング』ジョン・ウィリアムズ著/布施由紀子訳

最強のコマンチ族文明と戦って最後の族長数奇な運命 156
『史上最強のインディアン コマンチ族の興亡』S・C・グウィン著/森夏樹訳

戦慄の光景それは風景でなく情景である色即是空 160
『孤島の祈り』イザベル・オティシエ著/橘明美訳

入れ子式の夢を見ている夢を見る自ら死を待つ番になるとき 164
『休戦』プリーモ・レーヴィ著/竹山博央訳

年老いた少年レバーアクションを手にアメリカ南部文学を読む 168
『ねじれた文字、ねじれた路』 トム・フランクリン著/伏見威蕃訳

アラスカの森で独り脱化石燃料試すオッサン魂 172
『独りだけのウィルダーネス アラスカ・森の生活』 リチャード ・プローンネク著/サム・キース編/吉川竣二訳

アンディに地位を奪われ家畜と堕すデジタル未来をアナログで読む 176
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』 ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳

死にたくはないけどいつか死ぬいいえゆっくり死んで戻る生前? 180
『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義』 シェリー・ケーガン著/柴田裕之訳

水垢離息止め鍛える代謝免疫いま健康は辛く厳しい 184
『サバイバルボディー 人類の失われた身体能力を取り戻す』 スコット・カーニー著/小林由香利訳

唯一無二の人生映す発想はそのまま人格避けて進めず 188
『NORTH 北へ アパラチアン・トレイルを踏破して見つけた僕の道』 スコット・ジュレク著/栗木さつき訳

〝ただ生きる〞ために殺す必然性開拓時代の老猟師手記 192
『ヒグマとの戦い ある老狩人の手記』西村武重著

末端の物資生活人員が映す敗戦兵の惨状 196
『日本軍兵士 ─アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕著

獲物になったり戻ったり猟師的視野新人類学 200
『ソウル・ハンターズ シベリア・ユカギールのアニミズムの人類学』 レーン・ウィラースレフ著/奥野克巳、近藤祉秋、古川不可知訳

感じない機械に世界はあるのだろうか五蘊皆空とブッダ言うけど 204
『人工知能はなぜ椅子に座れないのか情報化社会における「知」と「生命」』松田雄馬著

まだ死ねない現生人類に科せられた幸福な報い介護と看取り 208
『死を生きた人びと 訪問診療医と355人の患者』小堀鷗一郎著

食肉は迷宮にありひも解いてケモノと共に影と闘う 212
『いのちへの礼儀 国家・資本・家族の変容と動物たち』生田武志著

生まれ出ていままで生きてきたなかで一番きれいな約束だから 216
『流砂』ヘニング・マンケル著/柳沢由実子訳

自己矛盾感じ己を否定するとき スタンドバイミーハニーハンター 220
『HONEY HUNTERS OF NEPAL』Eric Valli, Diane Summers著

命とは流動系のひとつのかたち特別でなく物理法則 224
『流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則』 エイドリアン・ベジャン、J・ペダー・ゼイン著/柴田裕之訳

意識ある存在であるこの奇跡「いつか消える」と必ずいっしょ 228
『僕はなぜ小屋で暮らすようになったか 生と死と哲学を巡って』高村友也著

北海道無銭二ヶ月旅のあと十二国を二ヶ月旅す 232
『図南の翼』小野不由美著

名犬であれと信じて旅をした 駄人駄犬と気づかないまま 236
『ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ』島泰三著

外界はそのまま己鍛えて登れ世界とフェアに向き合う命 240
『ザ・プッシュ ヨセミテ エル・キャピタンに懸けたクライマーの軌跡』 トミー・コールドウェル著/堀内瑛司訳

セイウチに父を殺されエスキモー少年皮嚙み雪原をゆく 244
『北のはてのイービク』 ピーパルク・フロイゲン著/野村泫訳

給料の代わりにもらった銃を手に森に入った猟師リア充 248
『俺のアラスカ 伝説の〝日本人トラッパー〟が語る狩猟生活』伊藤精一著

あとがきにかえて 私と山岳書 252

 

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2022年6月 5日 (日)

【楽】上々颱風、一日復活?

調べてみると10年ぶり?

上々颱風がバンドとしてライブ出演するという。

個々のメンバーは、継続してライブ活動を続けてきた。

私が好きな西川郷子さんは、「星ノ飛ブ夜」というギター(小沢あきさん)、パーカッション(関根真理さん)と組んだバンドの他、「ニシカワ MEETS フォーク」(フォーク者イサジ式さんとのデュオ)、「歌弦萬西西屋」(西村直樹さんとのデュオ)で活躍中。
白崎映美さんも盛んに活動。
紅龍さんも、西村直樹さんも、渡野辺マントさん・猪野陽子さんのお二人も、それぞれ演奏活動を継続している。

さて、2022年11月19日(土)、酒田市民会館希望ホールでの
白崎映美還暦大感謝祭
に、ゲスト出演というか、ジョイント。

白崎恵美さんの故郷でのライブに、メンバーが集合するということのようだ。

酒田市民会館のサイトより

https://kibou-hall.sakata.yamagata.jp/event/emishirasaki/?fbclid=IwAR0vVN7IhfakGoDsU_fYQsEmvEO9ED8EH6BdfriDGEWL06HrK1nFQHx8fcs

20221119_

白崎映美還暦大感謝祭
「MOKKEDANO!!」

【出演】
上々颱風
白崎映美&白ばらボーイズ
白崎映美&東北6県ろ~るショー!!

これは、なんとしても行かなくては。
酒田まで新幹線を使うと、たいそうな金額になるので、夜行バスを考えている。

10年前の2012年に私が最後に観たライブは、これ。
10年は、あっという間だ。

2012年10月1日(月)のブログ記事
【楽】上々颱風 横浜にぎわい座ライブ: やまおじさんの流されゆく日々

http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-8398.html

同じ2012年、こんなライブに行っていたっけ。

【楽】木の実ナナ50周年記念コンサート: やまおじさんの流されゆく日々

http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/50-50fb.html

【楽】上々颱風 パブリックシアター・ライブ: やまおじさんの流されゆく日々

http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-e0ec.html

今から胸が躍るのだが、これを機会にバンド活動を再開してくれないかなあ、上々颱風。

【参考記事】
上々颱風、無期限活動休止 リーダー紅龍の病気療養で | ORICON NEWS
https://www.oricon.co.jp/news/2021301/full/

 

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2022年6月 1日 (水)

【読】2022年5月に読んだ本(読書メーター)

5月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1635
ナイス数:67

ポリティコン 上 (文春文庫)ポリティコン 上 (文春文庫)感想
読み応えのある長編。濃密。描かれている東北の共同体が、井上ひさしの「吉里吉里人」を連想させるが、こちらはもっとドロドロした人間関係で、息もつかせない。下巻の展開が楽しみ。
読了日:05月02日 著者:桐野 夏生

 


ポリティコン 下 (文春文庫)ポリティコン 下 (文春文庫)感想
週刊文春2007年から2008年連載、2011年2月(東日本大震災の直前に)上梓。図書館の文庫本(上下2巻、2014年刊)で読んだ。重厚な長編小説だった。物語は意外な結末を迎えて一種のカタルシスをおぼえた。文庫の解説は原武史氏(この解説が小説の背景を読み解いていて実にいい)。『文藝春秋』2011年3月号所収の桐野・原両氏の対談「無縁社会 日本を生き続ける知恵」で、この作品の背景が語られているらしい。
http://eight-half.shop-pro.jp/?pid=98146659
読了日:05月05日 著者:桐野 夏生


海外メディアは見た 不思議の国ニッポン 新しい世界 (講談社現代新書)海外メディアは見た 不思議の国ニッポン 新しい世界 (講談社現代新書)感想
世界中のメディアから厳選した記事を日本語で提供している会員制ウェブメディア「クーリエ・ジャポン」の記事からの抜粋。日本は海外(といっても欧米の大手メディアばかりだが)からどう見られているかとか、日本独特の制度・風習・社会現象が取り上げられているが、さほど目新しいものはないかな、という印象。ちょっと期待外れ。ただ、第5章「日本の深奥」(平成日本と天皇、女性後続の苦悩)だけは面白かった。海外から日本の皇室・天皇はこんなふうに見えているのか、ということがわかり、日本人の「目から鱗」を落としてくれる内容。
読了日:05月08日 著者:


「問う」を学ぶ 答えなき時代の学問「問う」を学ぶ 答えなき時代の学問感想
ウエブサイト「トイビト 学問する人のポータルサイト」で配信されたインタビューの書籍化。サイトを立ち上げた加藤哲彦氏が12人の論客にインタビューし、それぞれの持論を引き出している。全体に知的刺激を受ける内容だったが、社会学分野の話には付いて行けない(理解しがたい/同意しがたい)ものもあった。なかで、興味深くおもしろかったのは、中村桂子(生きものとして生きるということ)、池内了(宇宙はどうはじまったのか)、内田樹(ユダヤ学入門)、野矢茂樹(この世界は他者にどう現れているか)。図書館本(他市からの借用資料)。
読了日:05月22日 著者:中村 桂子,島薗 進,辻 信一,中村 寛,奥村 隆,吉澤 夏子,江原 由美子,広井 良典,池内 了,内田 樹,小川 隆,野矢 茂樹

読書メーター

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2022年5月19日 (木)

【読】桐野夏生 萌え!

現代日本の流行作家を熱心に追いかけているわけではないので、知らない作家は数多い。
図書館や書店で名前をよく見る現代作家でも、読んだことのない作家がほとんど。
あたりまえといえば、あたりまえだ。

そんななか、桐野夏生という多作で魅力的な作家に出会えたことは、貴重な読書体験といえる。
私の肌に合う作家だった。
最初に読んだのは『柔らかな頬』(直木賞受賞作)。

 

これにはショックを受けた。
読んだのはつい最近、昨年2021年3月。
それから1年ちょっとのあいだに、かなりたくさんの作品を読み続けている。
まさに、桐野夏生”萌え”である(※)

※萌え(もえ)とは、日本のサブカルチャーにおけるスラングで、主にアニメ・ゲーム・アイドルなどにおける、キャラクター・人物などへの強い愛着心・情熱・欲望などの気持ちをいう俗語。意味についての確かな定義はなく、対象に対して抱くさまざまな好意の感情を表す。(Wikipedia)

”萌え”と表現するのはいかがなものか、という気もするが、桐野さんには『魂萌え』という小説もあるので、なんとなく使ってみた。

◆桐野夏生作品リスト◆
あまりにもたくさんあるので、備忘録として、下に掲げるリストを作っている。
読み終えたもの、これから読むもの、手元にないもの、がわかるようにしている。
さすがに、初期の「ロマンス小説」群は入手困難ということもあって読んでいない。

文庫はブックオフで購入して、読み終えた本は、どんどんブックオフに持って行っている。
ほんとうは、新刊書店で購入して著者の印税収入に貢献しないといけない、と思うのだが。

文庫化されていない近作は、単行本を図書館から借りたり(予約待ち行列が長い)、待ちきれなくて自腹で買ったものもある。

【2022/5/19現在】 〇持っていて未読 ●読了 ▲読了(図書館本)

・ファイアボール・ブルース―逃亡(1995年1月 集英社)
【改題】ファイアボール・ブルース(1998年5月 文春文庫)
●OUT(1997年7月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫【上・下】) ※第51回日本推理作家協会賞受賞作
●錆びる心(1997年11月 文藝春秋 / 2000年11月 文春文庫 / 2006年1月 大活字文庫【上・下】)
[所収作品:虫卵の配列 / 羊歯の庭 / ジェイソン / 月下の楽園 / ネオン / 錆びる心]
●ジオラマ(1998年11月 新潮社 / 2001年10月 新潮文庫)
所収作品:デッドガール / 六月の花嫁 / 蜘蛛の巣 / 井戸川さんについて / 捩れた天国 / 黒い犬 / 蛇つかい / ジオラマ / 夜の砂
●柔らかな頬(1999年4月 講談社 / 2004年12月 文春文庫【上・下】)
 ※1999年第121回直木三十五賞受賞作
●光源(2000年9月 文藝春秋 / 2003年10月 文春文庫)
▲玉蘭(2001年3月 朝日新聞出版 / 2004年2月 朝日文庫 / 2005年6月 文春文庫)
・ファイアボール・ブルース2(2001年8月 文春文庫)
▲リアルワールド(2003年2月 集英社 / 2006年2月 集英社文庫)
〇グロテスク(2003年6月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫【上・下】)
●残虐記(2004年2月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)- 週刊アスキー連載。連載時タイトルは「アガルタ」。桃源郷としての「アガルタ」を全く知らないままタイトルとして採用したとのこと
〇I'm sorry, mama(2004年11月 集英社 / 2007年11月 集英社文庫)
〇魂萌え!(2005年4月 毎日新聞社 / 2006年12月 新潮文庫【上・下】)
▲冒険の国(2005年10月 新潮文庫) ※東大和市立図書館 3/26- (文庫)
●アンボス・ムンドス(2005年10月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
[所収作品:植林 / ルビー / 怪物たちの夜会 / 愛ランド / 浮島の森 / 毒童 / アンボス・ムンドス]
〇メタボラ(2007年5月 朝日新聞社 / 2010年7月 朝日文庫【上・下】 / 2011年8月 文春文庫)
●東京島(2008年5月 新潮社 / 2010年5月 新潮文庫)
●女神記(2008年11月 角川書店 / 2011年11月 角川文庫)
〇IN(2009年5月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
●ナニカアル(2010年2月 新潮社 / 2012年10月 新潮文庫)
〇優しいおとな(2010年9月 中央公論新社 / 2013年8月 中公文庫)
▲ポリティコン(2011年2月 文藝春秋【上・下】 / 2014年2月 文春文庫【上・下】)
〇緑の毒(2011年8月 角川書店 / 2014年9月 角川文庫)
〇ハピネス(2013年2月 光文社 / 2016年2月 光文社文庫)
●だから荒野(2013年10月 毎日新聞社 / 2016年11月 文春文庫)
〇夜また夜の深い夜(2014年10月 幻冬舎 / 2017年10月 幻冬舎文庫)
▲奴隷小説(2015年1月 文藝春秋 / 2017年12月 文春文庫)
[所収作品:雀 / 泥 / 神様男 / REAL / ただセックスがしたいだけ / 告白 / 山羊の目は空を青く映すか Do Goats See the Sky as Blue?]
〇抱く女(2015年6月 新潮社 / 2018年8月 新潮文庫)
●バラカ(2016年3月 集英社 / 2019年2月 集英社文庫【上・下】)
〇猿の見る夢(2016年8月 講談社 / 2019年7月 講談社文庫)
●夜の谷を行く(2017年3月 文藝春秋 / 2020年3月 文春文庫)
〇デンジャラス(2017年6月 中央公論新社 / 2020年6月 中公文庫)
〇路上のX(2018年2月 朝日新聞出版 / 2021年2月 朝日文庫)
〇ロンリネス(2018年6月 光文社 / 2021年8月 光文社文庫)
▲とめどなく囁く(2019年3月 幻冬舎)
●日没(2020年9月 岩波書店)

 

●インドラネット(2021年5月 KADOKAWA)

 

●砂に埋もれる犬(2021年10月 朝日新聞出版)

 

・燕は戻ってこない(2022年3月4日 集英社)

 

【小説 村野ミロシリーズ】
▲顔に降りかかる雨(1993年9月 講談社 / 1996年7月 講談社文庫 / 2017年6月 講談社文庫【新装版】)
▲天使に見捨てられた夜(1994年6月 講談社 / 1997年6月 講談社文庫 / 2017年7月 講談社文庫【新装版】)
●水の眠り灰の夢(1995年10月 文藝春秋 / 1998年10月 文春文庫 / 2016年4月 文春文庫【新装版】)
●ローズガーデン(2000年6月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫 / 2017年8月 講談社文庫【新装版】)
[収録作品:ローズガーデン / 漂う魂 / 独りにしないで / 愛のトンネル]
▲ダーク(2002年10月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫【上・下】)

【ロマンス小説】
・愛のゆくえ(1984年12月 サンリオニューロマンス)
・熱い水のような砂(1986年2月 サンリオニューロマンス)
・真昼のレイン(1986年7月 サンリオニューロマンス)
・夏への扉(1988年1月 双葉社) ※桐野夏子名義
・夢の中のあなた(1989年3月 双葉社) ※桐野夏子名義
・ジュニア小説(野原野枝実名義)
・恋したら危機!(1989年8月 MOE文庫)
・あいつがフィアンセだ!(1989年8月 MOE文庫)
・小麦色のメモリー(1989年8月 MOE文庫)
・トパーズ色のband伝説(1989年10月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート2(1989年12月 MOE文庫)
・媚薬(1990年3月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート3(1990年5月 MOE文庫)
・急がないと夏が… プールサイドファンタジー(1990年7月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語1 セントメリーのお茶会にどうぞ(1990年10月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語2 銀の指輪は冷たく輝く(1991年1月 MOE文庫)
・ガベージハウス、ただいま5人(1991年3月 コバルト文庫)
・涙のミルフィーユボーイ(1992年1月 コバルト文庫)
・ルームメイト薫くん 1-3(1993年-94年 偕成社)

【エッセイ集】
●蛇教異端審問(2005年1月 文藝春秋 / 2008年1月 文春文庫) - エッセイ集
〇The cool!桐野夏生スペシャル(2005年9月 小説新潮別冊 - Shincho mook)- 書き下ろし作「朋萌え!」や未発表作「プール」他、25ページにわたるカラーグラビア等、桐野夏生の基本情報が掲載

【対談集】
●発火点(2009年9月 文藝春秋 / 2012年12月 文春文庫)

こうしてみると、まだまだ未読作品が残っているし、最新作『燕は戻ってこない』も図書館の予約待ち。
楽しみがあって、いいのだ。

「病膏肓に入る」などと、いかめしい”たとえ” (※)を使ってしまいたくなるが、古い雑誌(ムック)の特集号やら、原武史さんとの対談が掲載されている「文藝春秋」のバックナンバー(2011年3月号)まで、ネットでみつけて手に入れた。

※病膏肓に入る(読み)やまいこうこうにいる
病気が重くなって、治る見込みがなくなること。転じて、あるものごとに極端に熱中して、手のつけられないほどになることのたとえ。
[由来] 「春秋左氏伝―成公一〇年」に見える話から。紀元前六世紀、春秋時代の中国でのこと。晋しんという国の君主、景公は、病気が重くなったので、隣国から医師を呼ぶことにしました。すると、景公の夢に、病気が二人の子どもになって出て来ました。一人が「名医から逃れるには、どこに隠れればいいかな」と言うと、もう一人は「肓こうの上、膏こうの下に居おらば、我を若何いかんせん(横隔膜の上、心臓の下に入れば、おれたちをどうにもできないよ)」と返事していました。その後の医師の診断は、「病気の原因が横隔膜の上と心臓の下に入ってしまっているから、治療できない」とのこと。景公は、「彼は名医だ」と言って、謝礼をたくさん与えて帰らせたのでした。 (コトバンク)

【書影】
(左)The cool!桐野夏生スペシャル
   (2005年9月 小説新潮別冊 - Shincho mook)
(右)「文藝春秋」2021年3月号
   対談(桐野夏生✕原武史)無縁社会 日本を生き延びる知恵
   ※『ポリティコン』(2011年2月刊行)について語っている

Thecool20050928 20113

  *****

小平図書館の交流紙(毎月、会員に配布)に、「おススメの本」として、次のような文章を寄稿した。

桐野夏生『夜の谷を行く』
文春文庫 2020年3月 329ページ

 

桐野夏生(きりの・なつお)の小説が好きで、ときどき文庫の古本を買ったり、新刊を図書館から借りて読んでいます。
ペンネームから男性作家だと思い込んでいたのですが、私と同年生まれの女性作家と知り、親しみを感じています。1984年にデビュー。いまや膨大な著作のある人気作家なのですが、好き嫌いは分かれるところかもしれません。
『夜の谷を行く』は、1971年から72年にかけて世間を震撼させた連合赤軍事件(群馬県山中におけるリンチ殺人事件)を軸に、彼らの生き残りの女性の40年後を描いた小説です。ちなみに、この連合赤軍による「あさま山荘事件」から今年で50年。先日、山荘攻防戦の映像とその後の山荘の様子が放映されていました。
この小説、実際の事件をベースに永田洋子や森恒夫といった有名な幹部たちが実名で出てきますが、主人公とその周辺の人物は作者の仮構。とはいえ、2011年の震災前後の時代設定にリアリティがあります。
主人公は、事件後5年9カ月の刑期を務めて出所し、私塾を経営。それも5年前に閉めて、今は週に4日のスポーツジム通い(月に6500円のささやかなコース)と図書館通いを楽しみに、過去の事件とのかかわりを避けて、鉄階段の古いアパートに一人でひっそりと暮らしています。そこにある日、昔の“同志”から思わぬ電話がはいって、にわかに身辺が慌ただしくなります。否が応でも過去の事件を反芻することになり、昔の“同志”たちとの関わりが始まります。
そればかりか、数少ない肉親(事件のために親戚からは絶縁されています)である妹(やはり事件のせいで夫と離婚)、そのひとり娘である姪との関係も、ぎくしゃくし始めます。そんな折、ライターを名乗る若い男から取材の申し込みがあって・・・。物語の最後、あっと驚く意外な結末までもっていく展開は、さすが。
文庫版の解説は、連合赤軍事件を担当した女性弁護士(大谷恭子氏)。永田洋子の異常な性格がもたらした事態と言われ、一審の判決でもそう断定されたこの事件の別の側面を鋭く指摘しています。作者はこの弁護士から当時の“兵士”たち、とくに若かった女性たちを紹介されて取材したとのことです。

最後に、これまで読んだ桐野夏生作品のうちで私が面白かったと思うものを――。
・『柔らかな頬』(1999年4月 講談社/2004年12月 文春文庫)―幼児誘拐を軸に平穏な生活の裏に潜む闇を描く長編サスペンス。1999年直木賞受賞作。
・『アンボス・ムンドス』(2005年10月 文藝春秋/2008年11月 文春文庫)―短編集。表題作が秀逸。
・『ナニカアル』(2010年2月 新潮社/ 2012年10月 新潮文庫)―林芙美子の知られざる一面を描く伝記的なフィクション。
・『バラカ』(2016年3月 集英社/2019年2月 集英社文庫)―幼児売買というショッキングな現実と、東日本大震災・原発事故後の“こうだったかもしれない”日本の惨状をベースに展開する、ひとりの少女(薔薇香)の流離譚。
近作では『日没』(2020年9月 岩波書店)、『インドラネット』(2021年5月 KADOKAWA)、『砂に埋もれる犬』(2021年10月 朝日新聞出版)など。

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2022年5月 1日 (日)

【読】2022年4月に読んだ本(読書メーター)

4月も"桐野夏生"月間。
一冊だけ、筒井康隆の作品集を約半世紀ぶりに(というのも1970年代に夢中になって読んでいたので)読んでみたが、さすがに色褪せた感じは否めなかった。
発表当時、実験的な作風が新鮮だったのに。
SF作品は、時代とともに色褪せていくものなのかもしれない。

4月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3254
ナイス数:120

玉蘭 (文春文庫 き 19-22)玉蘭 (文春文庫 き 19-22)感想
はじめの章、読んでいてさほど面白さを感じなかったが、読み進むにつれて、俄然、面白くなってきたのが、桐野作品らしい。ただ、主人公のひとり、広野有子の心理と行動には違和感あり。私が男性だからなのかもしれないが…。反対に、有子の恋人である松村の、医師としてのある種の誠実さには共感。日中戦争前に生きた、有子の大伯父 広野質と恋人の切羽詰まった関係が胸をうつ。作者の大叔父がモデルだというが(あとがき)、終章の思わぬ展開には温かいものを感じて、ホッとした。物語の構成が凝っているのも、さすが。
読了日:04月03日 著者:桐野 夏生


新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)新装版 顔に降りかかる雨 (講談社文庫)感想
1984年『愛のゆくえ』でデビュー後、9年目の作品。第39回江戸川乱歩賞受賞がうなづける優れたハードボイルドミステリー。女探偵「村野ミロ」が誕生する前の彼女の活躍。友人の失踪事件に巻き込まれて、探偵としての素質を開花していく。彼女自身の悩み、過去へのこだわりが、単純な「探偵物」にはない共感を呼ぶ。最後に意表をつく結末が待っていて読者を圧倒する。「村野ミロ」シリーズの後続作品を先に読んでいたが、じゅうぶん楽しめた。後の桐野作品につながる構成の妙、作者の力量を感じた。
読了日:04月06日 著者:桐野夏生


ダーク (上) (講談社文庫)ダーク (上) (講談社文庫)感想
「村野ミロ」シリーズ最終作(2002年単行本刊行)。ミロをとりまく人間関係が大きく破綻。あたらしい人物も登場して、互いに憎みあうさまが不気味。なによりもミロの変化が、これまでのシリーズ作品から想像できないほど大きい。これほど人格が変わるものだろうかと、驚きながら読む。舞台も韓国の釜山にまで広がり、過去の光州事件もからんで、読み進むうちにぐいぐい引き込まれながら、下巻へ。はたしてシリーズは完結するのだろうか?
読了日:04月09日 著者:桐野 夏生


ダーク (下) (講談社文庫)ダーク (下) (講談社文庫)感想
これまでの「村野ミロ」シリーズの世界からは予想もつかない、大きく踏み出した展開に驚きながらも、ワクワクしながら読了。ラストのどんでん返しのようなミロの行動に、彼女の強さを感じた。桐野夏生は「小説には毒がある」(『はじめての文学 桐野夏生』著者あとがき)と言っているが、これほど”毒”を含む作品だとは…。文庫解説で福田和也が指摘しているように「崇高なる憤怒から発射された致命的な一撃」に震撼した。ますます桐野夏生作品の世界に嵌ってしまいそう。余談だが、シリーズの他の作品を先に読んでいてよかった。
読了日:04月10日 著者:桐野 夏生


錆びる心 (文春文庫)錆びる心 (文春文庫)感想
1993年単行本刊行の初期短編集。収録作品6編のうち、巧妙なタイトルの「ジェイソン」は、筒井康隆の短編を連想させるユーモアと面白味があって感心した。読者の予想をいかにはぐらかすか、というところにも短編の妙味があるのだが、その意味では「ネオン」(このタイトルも意味深)も面白い。書名にもなっている「錆びる心」は、桐野作品全般に濃厚な”毒”の薄い、しんみりとした後味を残す佳作。他の3編「虫卵の配列」「羊歯の庭」「月下の楽園」は、桐野夏生らしい不気味な世界が描かれている。長編に力を発揮する作家だが、短編もいい。
読了日:04月11日 著者:桐野 夏生


おれに関する噂(新潮文庫)おれに関する噂(新潮文庫)感想
図書館には文庫版がなく、1974年発行の新潮社版単行本。70年代に、好きでよく読んでいた筒井康隆だが、さすがに古めかしく色褪せた感じは否めない。五木寛之選のアンソロジー『音楽小説名作選』(集英社文庫/1979年)に収録されていて読んだことのある「熊の木本線」の不気味さが、いい。他では「おれに関する噂」「通いの軍隊」「心臓に悪い」が、いかにも筒井康隆の初期の傑作らしい面白さ。
読了日:04月13日 著者:筒井 康隆


対論集 発火点 (文春文庫)対論集 発火点 (文春文庫)感想
1999年から2009年にかけて「オール讀物」他雑誌に掲載された12人との対談集(対論集と銘打っている)。桐野夏生の創作に向かう姿勢、目指しているものに触れた気がする。作家相手よりも、政治学者の原武史、映画監督の西川美和との対談が面白い。とくに、原武史との対談では、桐野夏生『女神記』を引き合いに出して現在の天皇制を論じているのが、とても興味深い。
読了日:04月16日 著者:桐野 夏生


光源 (文春文庫)光源 (文春文庫)感想
「柔らかな頬」で直木賞受賞後の、いわゆる受賞後長編第一作(雑誌連載)。力作だ。映画製作現場を舞台に、女性プロデューサー、新人監督、撮影監督、主演男優とアイドル出身女優などが、人間関係をもつれさせていく。桐野作品らしい先の読めない展開に引き込まれながら一気に読了。桐野さんは映画好きらしい。映画って、こういうふうに作られていくんだ、と興味を惹かれた。作中の架空の映画が実際にできると面白いのになあ。映像が目に浮かぶ作品。
読了日:04月17日 著者:桐野 夏生


とめどなく囁くとめどなく囁く感想
これは傑作。物語の展開に無理がなく、登場人物たちの貌が見える小説だった。ミステリーっぽい話なのだが、最後にしっかりと種明かしされるところは、桐野作品のなかでは珍しいのではないだろうか。余談だが、私が購読している新聞に連載されていたと知り、しかも挿絵が私の好きな内澤旬子だったと。(内澤旬子さんのブログ https://kemonomici.exblog.jp/27924384/) 連載当時(2017年8月~2018年9月)、この作家に関心がなかったことが悔やまれる。
読了日:04月26日 著者:桐野 夏生


白蛇教異端審問 (文春文庫)白蛇教異端審問 (文春文庫)感想
デビュー12年目(2005年)に上梓された初のエッセイ集。コラムやエッセイの他、書評・映画評、短編(ショート・ストーリー)を収録。表題作「白蛇教異端審問」は、桐野さんに対する匿名批評への抗議と、関口苑生『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』の記述への抗議(連載エッセイ)。桐野さんの気迫を感じる。エッセイ「リアル」では、自作小説に臨む姿勢が綴られていて興味深い。書評でとりあげられている作品は、どれも読んだことのないものばかりだが、面白そう。東野圭吾氏による解説もいい。東野さんの小説、未読だが読んでみようか。
読了日:04月30日 著者:桐野 夏生

読書メーター
 

 

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2022年4月 1日 (金)

【読】2022年3月に読んだ本(読書メーター)

3月は18冊。
桐野夏生作品を読み続けている。
いつまで続くか、桐野夏生熱。

3月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:5167
ナイス数:148

剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む剱岳 線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む感想
剱岳山頂に残されていた古代(奈良~平安期頃)の仏具(錫杖頭と宝剣)の謎を追うノンフィクション。明治40年、当時未踏峰とされていた剱岳に苦労して登頂した測量隊(柴崎芳太郎隊)が発見したこの仏具を運んだ者は誰か? いつ? 何のために? 探検家を自称する著者は何度も現地に足を運び、さまざまな人の協力を得、膨大な資料を渉猟してこの本を書き上げた。著者が出した結論は驚くべきものだ。そして私事だが、剱岳に一度、難所の岩場を超えて登ったことがあり、立山連峰もよく知っているので、描かれている地域にリアリティを感じた。
読了日:03月01日 著者:髙橋 大輔


太平洋戦争への道 1931-1941 (NHK出版新書)太平洋戦争への道 1931-1941 (NHK出版新書)感想
1931年のいわゆる「満州事変」に端を発した日中戦争から太平洋戦争の開戦(日米開戦)に至るまでを、半藤一利・加藤陽子・保坂正康の3氏の鼎談で検証。2017年8月にNHKラジオで放送された内容(3氏の対談)に保坂正康氏の解説が加えられている。冒頭、先の戦争の呼称についての議論が興味深い。保阪氏が「日本人の戦争観はぐらぐらと揺れ続けている」と喝破しているが、いまだに日中戦争、太平洋戦争(アジア太平洋戦争)を総括できておらず、語の正しい意味での”反省”ができないのはなぜか。当時の国民が戦争を支持したのはなぜか。
読了日:03月05日 著者:半藤 一利,加藤 陽子,保阪 正康


砂に埋もれる犬砂に埋もれる犬感想
桐野夏生さんの最新作(2021.10)。面白くて夢中になり、いっきに読了。”ネグレクト”、児童虐待という現代の重いテーマに取り組んだこの長編小説は、さすが桐野夏生だと感心した。主人公の少年の視点からの独白部分には、ちょっと無理も感じたが、彼の鬱屈した心理は理解できる。周囲の大人や少年少女たちの動きも、さもありなんと。幕をすとんと落とすようなエンディングも、桐野さんらしく、私は好きだ。図書館本。予約の行列ができていて次の予約者が待っているので、すぐに返却しなければ。
読了日:03月07日 著者:桐野 夏生


mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来感想
ドイツのビオンテック社創業者エズレム・テュレジとウール・シャヒン夫妻(ともにトルコからの移民)がmRNAワクチン技術を新型コロナウイルスのワクチンに応用。超スピード(ライトスピード=光速)で開発していく様子を密着取材したもの。登場人物名が多くて読むのに苦労したが、なんとか読了。巻末の「付録・ワクチンに入っているもの/いないもの」リストはワクチン否定論者(トンデモ論を言いふらす人たち)に読ませたい。読まないだろうが。卵・ゼラチン・防腐剤・金属・超小型電子機器・電極・カーボンナノチューブ等々、入ってないよ。
読了日:03月13日 著者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン


重箱の隅 (文春文庫 い 1-23)重箱の隅 (文春文庫 い 1-23)感想
単行本も持っているが、なんとなく文庫で読みたくなり、ちいさな活字を追った。目がショボショボ。1975年12月から翌年4月にかけて「夕刊フジ」に連載されたエッセイ。このタブロイド紙には、山口瞳、吉行淳之介、筒井康隆、田辺聖子らも、山藤章二の挿画で連載している。懐かしい。五木さんもまだ40代前半、最初の休筆を終えて『凍河』『戒厳令の夜』の二大連載を終えたばかりの頃。軽妙な語り口の「重箱の隅」をほじくるような身辺の話題が気楽に読める。山藤さんの絵がまた楽しい。遅筆の五木さんに振り回される様子も透けて見える。
読了日:03月15日 著者:五木 寛之


バラカ 上 (集英社文庫)バラカ 上 (集英社文庫)感想
これも桐野夏生の傑作。幼児売買と3.11の震災を核に、人間のこころの闇を、これでもかと描く。なぜこれほど人間の暗部を描き続けるのか? 朝日新聞への寄稿(2020.12.15)「不寛容の時代」で桐野夏生は次のように書いている。<正しき者、正しき行いを描く作品には、確かにカタルシスがある。だが、人間の行いは正しいことばかりとは限らない。人間は愚かで、間違いを犯す。><正義と悪、右と左。二元論で語られるほど、人間は単純ではない。むしろビトウィーンな存在なのに、他人の曖昧は許すことができないらしい。> なるほど。
読了日:03月16日 著者:桐野夏生


バラカ 下 (集英社文庫)バラカ 下 (集英社文庫)感想
下巻にはいって、その目まぐるしい展開にハラハラドキドキしながら読了。なにしろ不気味な人間がたくさん登場する。これまで読んだ桐野作品の結末は、たいていが悲劇で終わっていて、苦い後味の残るものが多かったような気がする。だが、この小説では、かすかな希望が感じられて、ほっとした。福島第一原発事故後の日本の状況が、ひとつ間違えていたらこうだったかもしれない、という作者の想像(創造)力に基づく背景設定。そこに、幼児売買、原発棄民、外国からの移民、といった現代的な重いテーマを盛り込んだ傑作だと思う。読みごたえあり。
読了日:03月17日 著者:桐野夏生


夜の谷を行く (文春文庫)夜の谷を行く (文春文庫)感想
連合赤軍の凄惨なリンチ事件の当事者(”兵士”だった女性)のその後を描く。永田洋子や森恒夫が実名で登場し、主人公を含む他のメンバーも仮名で登場。事実をベースに桐野夏生らしい視点からこの事件の意味を問う。最後、どんでん返しのように主人公が隠していた過去が示され、驚く。文庫解説の弁護士(大谷恭子氏)に取材協力を求めていたことを知り、朝日新聞2020/12/15の著者の寄稿「不寛容の時代」の記述に納得。<正しき者、正しき行いを描く作品には、確かにカタルシスがある。だが、人間の行いは正しいことばかりとは限らない。>
読了日:03月18日 著者:桐野 夏生


だから荒野 (文春文庫)だから荒野 (文春文庫)感想
さして期待せずに読み始めたが、さすが桐野夏生。面白い。どこにでもありそうな現代の親子四人家族。わがままで自己中心的な夫、反抗期の息子二人。彼らに翻弄されながら自分を見失っている46歳の妻が、ある日、思いがけない行動に出て、家族が崩壊に向かっていくさまが、読者には面白おかしく展開されていく。桐野作品にしては暗さがなく、気楽に読める(当事者には、けっこう深刻な小事件が続くが)。後半、長崎の老人との出会いから思わぬ展開に…。新聞連載小説と知り、なるほど、と納得。タイトルの”荒野”に込められた作者の思いは深い。
読了日:03月20日 著者:桐野 夏生


ジオラマ (新潮文庫)ジオラマ (新潮文庫)感想
デビューから10数年後の1990年代後半に雑誌に掲載した短編9作を集めたもの。同じく短編集「アンボス・ムンドス」にも感心したものだが、作者の力量を感じる。自作解説のような「あとがき」に書かれているのだが、作者は子供の頃、地面に埋まっている石ころをひっくり返し、剥がした跡にある異世界を見るのが好きだったという。作者にとって短編小説とは「一個の石をめくってみて、その下にある世界を見る驚きや、その世界を書くこと」だと。日常生活の裏側に潜む不気味な世界を読者に突きつける。ひさしぶりに短編小説の面白さを満喫した。
読了日:03月22日 著者:桐野 夏生


残虐記 (新潮文庫)残虐記 (新潮文庫)感想
ザラザラした後味が残った作品。桐野夏生の作品らしいといえばそうなのだが、面白かった! と素直に言えない奇妙な読後感。文庫版解説(精神科医・批評家の斎藤環)に書かれていることだが、桐野作品の世界は「謎解きのないミステリー」という表現が当てはまるのかも。理解できるようなできないような、この小説の登場人物たちには、以前読んだ『OUT』に出てくる主婦たちに通じるような不気味さを感じた。こういうのが桐野作品の魅力というか魔力なのかもしれない。好き嫌いが大きく分かれる作家だと思うが、私はまだまだ読み続けたい。
読了日:03月23日 著者:桐野 夏生


新装版 水の眠り 灰の夢 (文春文庫)新装版 水の眠り 灰の夢 (文春文庫)感想
文庫470ページ、読みごたえのある長編小説。ゆっくりした展開にじれったかったが、中盤から、俄然、面白くなってきた。1963年、オリンピックを翌年に控えて東京が大きく変貌しつつあった時代。草加次郎事件の犯人捜し、女子高生殺しの謎。ミステリー的な展開に引き込まれた。トップ屋と呼ばれた週刊誌記者たちの群像が魅力的。文庫解説(武田砂鉄)の指摘――”泣ける” ”感動的”といった感情(「涙の強盗」)を拒絶する桐野小説のルポルタージュ的手法――は鋭い。梶山季之・草柳大蔵・竹中労といった当時のトップ屋を彷彿とさせる。
読了日:03月24日 著者:桐野 夏生


新装版 ローズガーデン (講談社文庫)新装版 ローズガーデン (講談社文庫)感想
桐野夏生に「村野ミロ」シリーズがあることを、最近知った。新装版ではなく初版2003年版を古本で読んだ。ひとつ前に読んだ『水の眠り 灰の夢』(1995年刊)に、ミロの父母と養父(村野善三)の1960年代の物語が綴られていた。私の中で両者が繋がったのがうれしい。主人公の探偵 村野ミロが魅力的。桐野作品らしく人間の欲望や心理が巧みに描かれているが、一部の桐野作品がもつ暗くドロドロしたところが薄く、抵抗なく読めた。もちろん、それぞれに影のある登場人物たちの造形は、さすがだ。シリーズの他の作品も読んでみたい。
読了日:03月26日 著者:桐野夏生


はじめての文学 桐野夏生はじめての文学 桐野夏生感想
少年少女向け自選アンソロジー・シリーズの一冊。活字が大きく行間もゆったりしていて、おまけにルビまで振ってある。中編6作所収。冒頭の単行本未収録作「使ってしまったコインについて」を読んだ子どもたちは、内容の過激さに驚くことだろう。「小説には毒がある」「優れた小説には、いいことばかりは書いてありません」「年若い方に対しても、毒を減ずる気持ちはない」と、あとがきで言い切る桐野夏生の面目躍如。短編集『アンボス・ムンドス』所収の2作と「ファイアー・ブルース」シリーズの2作、「リアルワールド『ホリニンナ』」が面白い。
読了日:03月27日 著者:桐野 夏生


リアルワールド (集英社文庫(日本))リアルワールド (集英社文庫(日本))感想
自分でもあきれるほど桐野夏生を読み続けている。すっかりハマってしまって抜け出せない。この長編は、ひとつ前に読んだ『はじめての文学 桐野夏生』(文藝春秋2007年刊)の「リアルワールド『ホリニンナ』」に引き込まれて読んでみた。4人の女子高生と、母親殺しの男子高校生のからみあい、彼らの内面が、これでもかといったリアリティで迫ってくる。見当はずれかもしれないが、村上春樹の小説を思い浮かべてしまった。村上春樹の小説に描かれる登場人物たちの内面描写との類似という意味で。この文庫版の解説も斎藤環(精神科医・批評家)。
読了日:03月28日 著者:桐野 夏生


奴隷小説 (文春文庫)奴隷小説 (文春文庫)感想
短編集。「奴隷小説」というタイトル通り、奴隷的な状況でもがく人物たちか描かれていて不気味。なかでも寓話的な話や、フランシスコ・ザビエルの時代の人身売買(乱取り、人取り)の話などが面白かった。
読了日:03月28日 著者:桐野 夏生

 


冒険の国 (新潮文庫)冒険の国 (新潮文庫)感想
1988年の「すばる文学賞」最終候補作に手を加え文庫オリジナルとして刊行。改稿前は「自分の作品ながら通読するのも辛いほどだった」(あとがき)というが、作者の初々しさが感じられる佳作になっている。東京ディズニーランド開業(1983年4月)直後、バブル前夜の「時代に取り残された人々」を描きたかったという。ちなみに桐野夏生のその頃の作品―1984年『愛のゆくえ』(第2回サンリオロマンス賞佳作)でデビュー。93年『顔に降りかかる雨』(第39回江戸川乱歩賞受賞)。98年『OUT』(第51回日本推理作家協会賞受賞)。
読了日:03月29日 著者:桐野 夏生


新装版 天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)新装版 天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)感想
女性探偵 村野ミロ・シリーズの第2作。第3作『水の眠り 灰の夢』、第4作『ローズガーデン』を先に読んでいたので逆順になってしまったが、次は第1作『顔に降りかかる雨』(江戸川乱歩賞受賞作)を読んでみたい。主人公の村野ミロの魅力はもちろんだが、隣人のトモさんや、事件の当事者たち、ミロの父親の善三など、皆、生き生きとしている。「雨の化石」(ピソライト)の謎解き、最後のどんでん返し。上質のミステリーとして読んだ。
読了日:03月31日 著者:桐野夏生

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2022年3月21日 (月)

【読】五木さんの桐野夏生評

桐野夏生の小説が好きで、このところ古本の文庫を買っては読んでいる。

新刊の単行本は、図書館から借りたり(予約待ち行列ができているが)、待ちきれずに買ったこともある。
今日も市内のブックオフで手当たり次第に読んでいない文庫を集めて、レジに持って行ったところ、12冊で4100円。
できるだけ100円(税抜き)の棚から買いたいのだが、400~500円ぐらいのものが8冊。

20220321-130915

しばらく楽しめそうだ。

読んだ本をダブって買ってしまわないように、リストも作っている。
〇印が手元にあってまだ読んでいないもの。
●印が読み終えたもの。

読み終えた本は、どんどんブックオフに持って行っている。

・ファイアボール・ブルース―逃亡(1995年1月 集英社)
 【改題】ファイアボール・ブルース(1998年5月 文春文庫)
●OUT(1997年7月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫【上・下】)
・錆びる心(1997年11月 文藝春秋 / 2000年11月 文春文庫 / 2006年1月 大活字文庫【上・下】)
 所収作品:虫卵の配列 / 羊歯の庭 / ジェイソン / 月下の楽園 / ネオン / 錆びる心
〇ジオラマ(1998年11月 新潮社 / 2001年10月 新潮文庫)
 所収作品:デッドガール / 六月の花嫁 / 蜘蛛の巣 / 井戸川さんについて / 捩れた天国 / 黒い犬 / 蛇つかい / ジオラマ / 夜の砂
●柔らかな頬(1999年4月 講談社 / 2004年12月 文春文庫【上・下】)
・光源(2000年9月 文藝春秋 / 2003年10月 文春文庫)
・玉蘭(2001年3月 朝日新聞出版 / 2004年2月 朝日文庫 / 2005年6月 文春文庫)
・ファイアボール・ブルース2(2001年8月 文春文庫)
・リアルワールド(2003年2月 集英社 / 2006年2月 集英社)
〇グロテスク(2003年6月 文藝春秋 / 2006年9月 文春文庫【上・下】)
〇残虐記(2004年2月 新潮社 / 2007年8月 新潮文庫)- 週刊アスキー連載。連載時タイトルは「アガルタ」。桃源郷としての「アガルタ」を全く知らないままタイトルとして採用したとのこと
〇I'm sorry, mama(2004年11月 集英社 / 2007年11月 集英社文庫)
・魂萌え!(2005年4月 毎日新聞社 / 2006年2月 新潮文庫【上・下】)・
・冒険の国(2005年10月 新潮文庫)
●アンボス・ムンドス(2005年10月 文藝春秋 / 2008年11月 文春文庫)
 所収作品:植林 / ルビー / 怪物たちの夜会 / 愛ランド / 浮島の森 / 毒童 / アンボス・ムンドス
〇メタボラ(2007年5月 朝日新聞社 / 2010年7月 朝日文庫【上・下】 / 2011年8月 文春文庫)
●東京島(2008年5月 新潮社 / 2010年5月 新潮文庫)
●女神記(2008年11月 角川書店 / 2011年11月 角川文庫)
〇IN(2009年5月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
●ナニカアル(2010年2月 新潮社 / 2012年10月 新潮文庫)
・優しいおとな(2010年9月 中央公論新社 / 2013年8月 中公文庫)
・ポリティコン(2011年2月 文藝春秋【上・下】 / 2014年2月 文春文庫【上・下】)
〇緑の毒(2011年8月 角川書店 / 2014年9月 角川文庫)
〇ハピネス(2013年2月 光文社 / 2016年2月 光文社文庫)
〇だから荒野(2013年10月 毎日新聞社 / 2016年11月 文春文庫)
〇夜また夜の深い夜(2014年10月 幻冬舎 / 2017年10月 幻冬舎文庫)
・奴隷小説(2015年1月 文藝春秋 / 2017年12月 文春文庫)
 所収作品:雀 / 泥 / 神様男 / REAL / ただセックスがしたいだけ / 告白 / 山羊の目は空を青く映すか Do Goats See the Sky as Blue?
〇抱く女(2015年6月 新潮社 / 2018年8月 新潮文庫)
●バラカ(2016年3月 集英社 / 2019年2月 集英社文庫【上・下】)
・猿の見る夢(2016年8月 講談社 / 2019年7月 講談社文庫)
●夜の谷を行く(2017年3月 文藝春秋 / 2020年3月 文春文庫)
〇デンジャラス(2017年6月 中央公論新社 / 2020年6月 中公文庫)
〇路上のX(2018年2月 朝日新聞出版 / 2021年2月 朝日文庫)
・ロンリネス(2018年6月 光文社 / 2021年8月 光文社文庫)
・とめどなく囁く(2019年3月 幻冬舎)
●日没(2020年9月 岩波書店)
●インドラネット(2021年5月 KADOKAWA)
●砂に埋もれる犬(2021年10月 朝日新聞出版)
・燕は戻ってこない(2022年3月4日 集英社)

【小説 村野ミロシリーズ】
・顔に降りかかる雨(1993年9月 講談社 / 1996年7月 講談社文庫 / 2017年6月 講談社文庫【新装版】)
・天使に見捨てられた夜(1994年6月 講談社 / 1997年6月 講談社文庫 / 2017年7月 講談社文庫【新装版】)
〇水の眠り灰の夢(1995年10月 文藝春秋 / 1998年10月 文春文庫 / 2016年4月 文春文庫【新装版】)
〇ローズガーデン(2000年6月 講談社 / 2003年6月 講談社文庫 / 2017年8月 講談社文庫【新装版】))
収録作品:ローズガーデン / 漂う魂 / 独りにしないで / 愛のトンネル
・ダーク(2002年10月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫【上・下】)

【ロマンス小説】
・愛のゆくえ(1984年12月 サンリオニューロマンス)
・熱い水のような砂(1986年2月 サンリオニューロマンス)
・真昼のレイン(1986年7月 サンリオニューロマンス)
・夏への扉(1988年1月 双葉社) ※桐野夏子名義
・夢の中のあなた(1989年3月 双葉社) ※桐野夏子名義
・ジュニア小説(野原野枝実名義)
・恋したら危機!(1989年8月 MOE文庫)
・あいつがフィアンセだ!(1989年8月 MOE文庫)
・小麦色のメモリー(1989年8月 MOE文庫)
・トパーズ色のband伝説(1989年10月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート2(1989年12月 MOE文庫)
・媚薬(1990年3月 MOE文庫)
・恋したら危機! パート3(1990年5月 MOE文庫)
・急がないと夏が… プールサイドファンタジー(1990年7月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語1 セントメリーのお茶会にどうぞ(1990年10月 MOE文庫)
・セントメリークラブ物語2 銀の指輪は冷たく輝く(1991年1月 MOE文庫)
・ガベージハウス、ただいま5人(1991年3月 コバルト文庫)
・涙のミルフィーユボーイ(1992年1月 コバルト文庫)
・ルームメイト薫くん 1-3(1993年-94年 偕成社)

ところで、1999年刊行の『柔らかな頬』は、同年7月の第121回直木三十五賞を受賞している。

当時の選考委員だった五木寛之さんが、この作品をどう評価しているのか興味があった。
そういえば、こんな本が手元にあった。

『ぼくが出会った作家と作品 五木寛之選評集』 東京書籍 2010年刊

 

五木さんは、1978年(第79回)から2010年(第142回)まで、直木賞選考委員を勤めていたはず。

直木賞選考委員リスト
https://prizesworld.com/naoki/sengun/

この本から、第121回直木賞の五木さんの選評を抜き出してみる。
ちなみにこの回の受賞作は二作で、佐藤賢一『王妃の離婚』桐野夏生『柔らかな頬』だ。

 

<今回は天童荒太さんの「永遠の仔」を最後まで推したのだが、意外なほど不評で、桐野夏生さんの「柔らかな頬」と、佐藤賢一さんの「王妃の離婚」に圧倒的な支持が集り、二作受賞の運びとなった。(中略)
桐野夏生さんの「柔らかな頬」は、以前、候補になりながら受賞しなかった「OUT」とくらべて、新人の小説としての野心に欠けると思った。「OUT」は文字通り良俗的世界からブレイクアウトすることを志した作品である。制度としての直木賞のラインからはじき出されたところにこそ、「OUT」の真の栄光があったのではあるまいか。私は胸中にウメガイを抱いているかのように見えるこの作家が、ふたたび「OUT」の世界を描いて「平地人を戦慄せしめ」るであろうことを、ひそかに期待している。賞などというものは取ってしまえばこっちのものだ。あとは勝手にわが道をゆけばいいのである。(後略)>

いかにも五木さんらしいと思う。

「ウメガイ」とは、「サンカ」と呼ばれた人たちが持ち歩いた刀剣。
シンボル的な意味合いを持つ道具らしい。

「平地人を戦慄せしめ(よ)」は、有名な柳田国男の「遠野物語」序文に出てくるフレーズ。

 

『風の王国』『戒厳令の夜』を読むと、五木さんの 「サンカ」への関心・思い入れが、うかがい知れる。

桐野夏生さんは、五木さんのこの選評を目にしていると思うが、五木さんが言うように「良俗的世界からブレイクアウト」する人々を描き続けている。そこがこの作家の魅力だと思う。

 

 

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2022年3月15日 (火)

【読】かつての夕刊フジ連載エッセイ

きのう2022/3/14の日記ブログに書いたのだが、こんな懐かしい本を再読している。

2022年3月14日(月): やまおじさんの日記
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/nikki/2022/03/post-9d6896.html

五木寛之 『重箱の隅』
文春文庫 1984/11/25 367ページ
単行本 1979/5 文芸春秋社刊
1975/12/10~1976/4/11 夕刊フジ連載

 

単行本の古本を持っているのだが、文庫版もずいぶん前に古本をネットで購入。
同じシリーズの文庫を4冊持っていて、五木さんのものだけ文庫がなかったので、ほしかったのだ。

このところ、新型コロナやらウクライナの動乱やらで、私の関心もそちらに向きがち。
同時代の動きをなんとか理解しようと、関連する本を読んできたが、どうにも気が滅入る。

そんな折、軽い本を読みたくなって、きのうから読み始めている。

さきほど本棚を探して、他の本を探し出した。
かつて「夕刊フジ」で山藤章二さんの挿画付きで連載していた軽妙なエッセイのシリーズだ。

私が持っている下の画像の4冊は、どれも新潮文庫。

Photo_20220315090601

1970年代中頃、私が上京して職探しをしていた頃、夕刊フジというタブロイド紙にも元気があったな。

Amazonで探してみると、他の出版社からも何度も出ているようだ。
下の書影はAmazonへのリンク。

 

 

古い文庫本は、活字がちいさいのが、私にはちとつらい。

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2022年3月10日 (木)

【歩】河津桜並木

ブログ日記とかぶってしまうが、こちらにもあげておこう。

3月10日。
ようやく春めいてきた。

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自転車で、すぐ近くの空堀川堰堤へ。
そろそろ咲いているだろうと、行ってみた。
まだ若い樹だけれど、河津桜の並木。

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河原には白鷺らしき姿もあった。

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対岸から見る並木。

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2022年3月 5日 (土)

【遊】瑞穂の「つるしかざり展・ひなまつり展」

瑞穂町の「耕心館・けやき館」で開催中の「つるしかざり展・ひなまつり展2022」に、何年ぶりかで行ってみた。

3月2日(火)に家人とふたりで。
その後、今日3月5日(土)にも近所の人を誘って3人で、再び。

自宅から車で40分ほど。
旧青梅街道から日光街道経由。

2022年2月18日(金)~3月6日(日)

http://www.koshinkan.jp/tsurushikazari/

https://koshinkan.jp/exhibition02/index.html

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ひな人形の数は少ないが、つるし飾りが多数。

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蔵の中にも。

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かわいらしい内裏雛。

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今日は、耕心館の喫茶レストラン「ストーリア」で、気になっていたセットを食べた。

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耕心館の前庭には、山野草も。

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2022年3月 1日 (火)

【読】2022年2月に読んだ本(読書メーター)

2月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1609
ナイス数:94

ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのかワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか感想
難しい本だった。巻末解説(磯野真穂:文化人類学・医療人類学)が著者 の言いたかったことをうまくまとめてくれている。また、著者の日本におけるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン=子宮頸がんワクチンの「積極的勧奨中止」に関する記述に、不確かな内容があることを指摘もしている。人類がウィルスと付き合っていくためには、人類が作り出したワクチンというものとも、うまく付き合っていかなければいけないのだな、というのが読み終えて思ったこと。たしかに「ワクチンは打たれる側にとってはわけのわからない液体」(解説)ではある。
読了日:02月01日 著者:ハイジ・J・ラーソン


古本マニア採集帖古本マニア採集帖感想
「一箱古本市」を始めたことで知られる著者のインタビュー集。世間には本好きの人がこんなにいるんだと、驚く。古本の魅力は、新刊書店や図書館にもない、忘れ去られた作家の本や、昔の雑誌などを発見できることなんだと、あらためて思う。本や雑誌だけでなく、図書館が写された「図書館絵葉書」なんてものを蒐集している人とか、保育社の「カラーブックス」全909冊を集めてしまった人とか、すごいなあと。この本に登場する何人かは、ブログを書いていたりFacebookやTwitterを利用していると知り、ネットで見てみようと思う。
読了日:02月03日 著者:南陀楼 綾繁


世界史のなかの昭和史 (平凡社ライブラリー0905)世界史のなかの昭和史 (平凡社ライブラリー0905)感想
読み通すのに時間がかかったが、じつに面白い本だった。著者の『昭和史』(単行本2冊)を読もうとして、あまりのボリュームに挫折、手放していたのだが、この本は世界史(ヒトラーとスターリンに焦点をあてている)のなかでの昭和史という記述がわかりやすくて、いい。「歴史探偵」を自称する著者らしい”新藤史観”ともいえる歴史観は、とても理解しやすい。巻末の青木理氏との対談(2018年)も、つい最近の世情が話題になっていて、得るところが多かった。『B面昭和史』『昭和史』『昭和史戦後篇』も買ってあり、がんばって読んでみたい。
読了日:02月09日 著者:半藤 一利


捨てない生きかた(マガジンハウス新書)捨てない生きかた(マガジンハウス新書)感想
書名に惹かれて図書館から借り、いっきに読了。五木さんは、あえて「捨てない」ことの意味を説く。五木流文明論。身の回りのモノが捨て難く、あふれかえるモノたちをなんとかしなければ、という、強迫観念に悩まされている我が身にとっては、救われる話。「モノは記憶を呼び覚ます”依代(よりしろ)”」というのが五木さんの考え。”モノ”への執着を捨てて身軽にならなくては、と考えるのも”捨てることへの執着”だと言われると、なるほどと思う。歴史的建造物や街並み、古くからの地名、あるいは方言などもホイホイと捨てていく風潮はさびしい。
読了日:02月19日 著者:五木寛之


伝え守る アイヌ三世代の物語 (少年写真新聞社写真絵本)伝え守る アイヌ三世代の物語 (少年写真新聞社写真絵本)感想
写真家・宇井真紀子(眞紀子)さんの写真絵本。地元図書館にリクエストして収蔵してもらった。宇井さんの講演会・スライドトークには何度か足を運んで、よく存じあげているので、楽しみにしていた本だ。アイヌの家族三世代を10年がかりで追い、あたたかい写真を撮られた、いかにも宇井さんらしいていねいな仕事。今を生きるアイヌの人たち、なかでもアイヌの伝統を伝えていこうとしている少年少女の姿が、生き生きと描かれている。好著。
読了日:02月19日 著者:宇井眞紀子


世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書)世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書)感想
「日本人は何も知らない」シリーズ第1作。3作目まで出ていて、ずいぶん売れている(読まれている)らしい。SNSで著者を知り読んでみた(2019年発行)。多くの日本人が知らない(と著者が言う)世界の意外なニュースや事実が紹介されていて面白い。池上彰の著作を思い起させる。意思決定を左右するのは「感情(emotion)」/効率化を追求するあまり無駄を排除することの問題点(図書館や書店に並んでいる本から知らなかったことが発見できるという例えがいい)/人生の幸福を決めるのは自己決定権/等々の指摘には、なるほどと思う。
読了日:02月22日 著者:谷本 真由美


だから、写真で生きていく 辺境の地 移住者のまなざしだから、写真で生きていく 辺境の地 移住者のまなざし感想
41歳で公務員を退職し、大阪から北海道の美瑛に移住した写真家の新刊。図書館にリクエストして入れてもらった。美瑛は私の母親の実家があった土地で、今も親戚がいて、身近な土地。著者とは面識はないが、SNSを通してその活動に注目している。美瑛といえば前田真三さんが”発見”した丘のある風景の美しさで有名だが、著者の中西さんは、前田真三のような風景写真から脱して、独自の写真世界を目指している。美瑛移住までの経緯、北海道での写真家生活、移住者としてのまなざし、自らが目指す写真(日本画からの影響)等々。美しい写真も満載。
読了日:02月26日 著者:中西敏貴

読書メーター
 

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2022年2月 1日 (火)

【読】2022年1月に読んだ本(読書メーター)

2022年1月に読んだ本。
珍しく9冊読むことができた。軽めの本が多かったので。
あとは、本を読むには”勢い”が必要、ということか。

1月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2332
ナイス数:92

街の人生街の人生感想
1200ページもの大著『東京の生活史』を購入。読み始めるのに気合が必要なので同じ編著者のこの本を読んでみた。街で生きる、まったく無名で普通の人たち5人へのインタビューというか「語り」。編著者の岸政彦さん(関西の社会学者)が前書きに書いているとおり、無名の人たちの「人生の断片集」。日系南米人のゲイ、ニューハーフ、摂食障害の当事者、シングルマザーの風俗嬢、元ホームレス(西成のおっちゃん)の5人。それぞれの人生の「断片」が脈略もなく語られているのだが、そのリアリティーに圧倒される。関西弁のトーンが好ましい。
読了日:01月06日 著者:岸 政彦


自分がおじいさんになるということ自分がおじいさんになるということ感想
勢古浩爾さんの書いたものが好きで、なかでも軽いエッセイ風の読み物は、あっという間に読めてしまう。74歳になったという勢古さんだが、”勢古節”ともいうべき独特の語り口は健在。勢古さんの本は読書ガイド的な要素もあり、この本でも、私の知らなかった興味深い書物を何冊か知った。長倉洋海さんのマスードの写真、椎名誠さんの写真が好きだというのにも親しみを感じた。中島みゆきへのオマージュも微笑ましい。
読了日:01月06日 著者:勢古 浩爾


わたしが障害者じゃなくなる日 〜難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかたわたしが障害者じゃなくなる日 〜難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた感想
つい先ごろ亡くなった海老原宏美さん。私はこれまでまったく知らなかったのだが、私が住んでいる市の自立生活センターの理事だった。この本も市の図書館にあったので借りてみた。ハッとすることがたくさん。たとえば、著者が高校生のとき「障害者甲子園」に参加するため大阪までひとり旅をしたとき、援助を頼んだ駅員が彼女の目をまっすぐ見て対応してくれたこと。スウェーデンでホールケーキを分けるときには、その人が食べられるぶんだけに切り分けること(等分にではなく)、等々。「障害は社会が作り出すもの」という言葉には、虚をつかれた。
読了日:01月07日 著者:海老原宏美


マンゴーと手榴弾: 生活史の理論 (けいそうブックス)マンゴーと手榴弾: 生活史の理論 (けいそうブックス)感想
書名「マンゴーと手榴弾」に惹かれて読み始めたものの、社会学理論が延々と展開される「鉤括弧を外すこと」「調整と介入」の2篇は、私には理解困難で飛ばし読み。だから厳密には一冊読了ではない。著者が実践した聞き取りの具体例が、じつに興味深く印象に残った。「マンゴーと手榴弾」「海の小麦粉」「プリンとクワガタ」「タバコとココア」の4篇がそれ。まるで短編小説のタイトルにもなりそうな。そこで取り上げられている「語り」が感動的。他には沖縄について考察した「沖縄の語り方を変える」「爆音のもとで暮らす」の2篇が示唆に富む。
読了日:01月11日 著者:岸 政彦


江戸の銭勘定~庶民と武士のお金のはなし (歴史新書)江戸の銭勘定~庶民と武士のお金のはなし (歴史新書)感想
図書館の書架でみかけて借りてみた本。1話2ページ見開きを基本としていて読みやすい。江戸の貨幣制度はややこしい。現代の貨幣価値としていくらぐらいかを具体的に示してくれているのが、ありがたい。銭勘定をとおして江戸の暮らしが垣間見える。
読了日:01月15日 著者:


ぼくが歌う場所: フォーク・ソングを追い求めて50年ぼくが歌う場所: フォーク・ソングを追い求めて50年感想
1949年生れで72歳になる中川五郎さんの自伝的な本。日本のフォーク・ソング界のミュージシャンとの交流や、五郎さんに大きな影響を与えたアメリカのフォーク・シンガーたちのこと、日本語でフォーク・ソングを歌うことで彼が目指していること、等々。私は、それほどのフォーク・ファンでもないが、興味深い内容だった。2段組み285ページで、けっこう読みでがあった。吉祥寺のライブ・ハウス「のろ」の加藤さんや、ヴァイオリニストのHONZIさんとも親しかったというのが、個人的にはうれしい。いくつかの本やCDも、この本で知った。
読了日:01月20日 著者:中川 五郎


最終列車最終列車感想
天皇や皇室に詳しく、示唆に富む著作がたくさんある原武史さん。この本は、原さんの鉄道ファンとしての思いがぎっしり詰まったエッセイ集。鉄道ファンにはたまらない内容だろう。私はそれほどの鉄道ファンではないが、それでも半世紀前の列車や路線に触れた話に懐かしさをおぼえた。鉄道への愛が伝わってくる。2021年に雑誌掲載されたコロナ禍後の文章群(コロナと鉄道)が面白かった。日本の鉄道が収益ばかりに目をやって、社会インフラとしての役割を忘れている、という指摘には強く同意。ゆっくり走る鉄道に乗って旅をしたい気分になった。
読了日:01月23日 著者:原 武史


一期一会の人びと (単行本)一期一会の人びと (単行本)感想
今年2022年1月に出たばかりの新刊。読みはじめてすぐに気づいたのだが、つい最近読んだばかりの同じ出版社(中央公論新社)から出ている新書『回想のすすめ』と重複するものが10編。それでも、デビュー当時の浅川マキさんが、当時まだ金沢にいた五木さん――直木賞を受賞し、マスコミの世界に戻ることを決意していた――の家に、ふらりと西瓜をぶらさげて現れ、歌手としての活動を今後どうしたらいいのか相談にきたという話が胸を打つ。収録されている20編(過去に出会った20人の思い出)は、いずれも近年、雑誌などに掲載されたもの。
読了日:01月24日 著者:五木 寛之


ドク・ホリディが暗誦するハムレット オカタケのお気軽ライフドク・ホリディが暗誦するハムレット オカタケのお気軽ライフ感想
敬愛する岡崎武志さんの新刊。岡崎さんには、わりと親しくしていただいており、私が所属する「図書館友の会」主催の講演会で二度、講演していただいたり(古本をめぐる話)、あちこちのイベントでお目にかかっている。この本は、春陽堂書店のウェブ・サイトに連載された(今も連載中)「オカタケな日々」をまとめたもの。本の話、テレビドラマや映画の話、あちこちを巡り歩いた話など、多岐にわたる。好奇心のかたまりのような方だ。コロナ禍の”緩やかな戒厳令下”でご自分を奮い立たせるためにも、行動し、文章に綴られたそうだ(あとがき)。
読了日:01月27日 著者:岡崎武志

読書メーター
 

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2022年1月 1日 (土)

【読】2021年12月に読んだ本(読書メーター)

2021年12月に読んだ本。
3冊しか読み切れなかった。

半藤一利さんの『B面昭和史 1926-1945』平凡社ライブラリーを、年またぎで読み続けている。
なかなか進まない。

12月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:774
ナイス数:53

特攻隊振武寮 帰還兵は地獄を見た (朝日文庫)特攻隊振武寮 帰還兵は地獄を見た (朝日文庫)感想
鴻上尚史著『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』を読んで、この本を知った。旧日本陸軍航空特攻隊第二十二振武隊に所属、生還した元特攻兵大貫健一郎さんの貴重な証言。2007年10月放映NHKスペシャル「学徒兵 許されざる帰還~陸軍特攻隊の悲劇~」のプロデューサー渡辺考氏の冷静沈着な解説によって、当時の状況がよくわかる。大貫さんの記憶には間違いもあるかもしれないが、この本から見えてくるのは「特攻の真実」だ。立場によって違いもあるだろうが、多くの戦友を特攻で失った当事者の声は貴重。語り継がれるべきだろう。読了日:12月07日 著者:大貫健一郎,渡辺 考


回想のすすめ - 豊潤な記憶の海へ (中公新書ラクレ (695))回想のすすめ - 豊潤な記憶の海へ (中公新書ラクレ (695))感想
五木さんのこの手の新書がたくさん出ているものの、人生訓めいたものは、読む気にならなかった。が、本書は読んでみようと思った。人間の記憶は、かけがえのない資産だという(とくに老年になってからは)。この考え方には同意。ただ、本書の初めの方は同じことの繰り返しの感があって、どうかなと思う。第三章、五木さんが過去に対談・インタビューした人々の回想は、きわめて興味深い(五木さんの対談・インタビュー集は過去に多数出版されている)。第四章「薄れゆく記憶」で説く「みずからボケの達人を目指す」という考え方はいいかもしれない。
読了日:12月10日 著者:五木 寛之


半藤一利 語りつくした戦争と平和半藤一利 語りつくした戦争と平和感想
今年2021年1月に亡くなった半藤一利さんが遺した講演、対談を集めたもの。あらためて、すごい人だったと思うし、その業績から学ぶものは多い。田口ランディさんとの対談で「護憲派の正義で人を責める言葉が腹立たしい」というランディさんの発言に、ハッとする。この本のいいところは、随所に挿入されている「まとめ年表・図版」。図書館にリクエストして入れてもらい借りて読んだのだが、手元に置いておいてもいいかなと思って自分でも購入した。『B面昭和史 1926-1945』平凡社ライブラリーも同時に購入。
読了日:12月13日 著者:

読書メーター

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