【山】山で出会った人
ひと頃、単独行で北アルプスや八ヶ岳の山々に通った時期があった。
テントか小屋泊まりで、小屋泊まりの場合も自炊だった。
単独行は危険、という人もいるが、ぼくはそう思わない。単独行者は自分の力量を心得ていて、用心深いものである。むしろ、あまり気の合わないパートナーといっしょだったり、無能なリーダーに引率されての登山の方が危険な場合もある。
それはともかく、テント場や山小屋の自炊場で、同じような単独行の人と、初対面ながら打ち解けてしまうことがある。共通の趣味(登山、これは当然)を持ち、似た立場(単独行)で山に来ているから、気が合うと下山後もおつきあいが続くこともある。
おつきあいと言っても、別れ際に住所交換して葉書のやりとりをするくらいで、言ってみれば「淡いおつきあい」である。
ここからが前々回(幌尻岳とカール)に触れた、穂高山行の話の続き。
穂高岳山荘の自炊場で夕食の時に少し話をした人がいる。
翌朝、また顔を合わせて、どちらに下山ですか、などと話しているうちに同じコースだとわかって、なんとなく一緒に歩くことになってしまった。と言っても、あくまでもそれぞれのペースで歩くから、付かず離れず、といった状態だった。
最終的に、岳沢ヒュッテという小屋で休んだ時に、なんとなく椎名誠の話が出て、お互いにシーナ・ファンということがわかり意気投合。その後、上高地からの乗物でもずっといっしょで、あれこれとお話させてもらい、中央線の電車もいっしょ。別れ際に、どちらからともなく住所交換ということになった。
その後、おもに葉書のやりとりだけだったが、相当な数にのぼっているはず。
今は結婚されて二人のお子さんのお母さんになっている。
いまでも、家族ぐるみのおつきあいが続いていて、なんとなく二、三年に一度くらいのペースで顔を合わせる。まことにありがたい友人である。
山で出会った人とは、淡いおつきあいが長く続くことが多い。
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コメント
山で出会った方とは安心したお付き合いが長く続くのでしょうね。わかる様な気がします。やはりお付き合いはいつの時代も淡い方がいいですね。
やまおじさんのお留守の間に書き込んでいます。
投稿: bluestar | 2005年10月10日 (月) 20時23分