【読】イザベラ・バード
きのうの話の続き。 イザベラ・バードを紹介したい。
Isabella L. Bird (1831-1904)
イギリス生まれの女性旅行家、探検家(といっていいのかな?)
幼少期は病弱だった。 23歳の時に医者に航海をすすめられ、アメリカとカナダを訪れる。2年後、初の旅行記『英国女性のみたアメリカ』を出版。
40歳を過ぎてから(!)本格的な旅行を始め、オーストラリア、日本、マレー半島、チベット、朝鮮などをはじめ、生涯の大半(!)を旅に終えた。
『日本奥地紀行』(平凡社ライブラリー)、『朝鮮奥地紀行』(東洋文庫)、『ロッキー山脈踏破行』(平凡社ライブラリー)など。
『日本奥地紀行』 高梨健吉訳
47歳で日本を訪れた時の旅行記。横浜に上陸後、東京から日光、横川、新潟を経て、花館、山形、久保田(秋田)、青森、さらに北海道に渡り、函館から森、室蘭、幌別、白老、苫小牧、平取、門別と、足を伸ばしている。主として馬と徒歩と船による、3ヶ月あまりの旅である。本書は、旅先から妹や親しい人にあてた手紙を主体としたもの。
ぼくにとって殊に興味深いのは、後半の半分近くを占める北海道旅行記。アイヌの人たちの生活、人がらなどにふれて、鋭い観察をしている部分だ。
アイヌを「未開」「不潔」などと評しているあたりは、当時の外国人(キリスト教徒)の限界で、仕方がないことだと思う。しかし、彼女が捉えたアイヌの特質(美点)は、なかなか的確である。
余談だが、池澤夏樹さんの小説『静かな大地』は、北海道開拓期の日高地方が舞台。この中で、イザベラ・バードが訪問した時のアイヌの人たちとの交流が、エピソードとして使われている。
| 固定リンク
「【読】読書日誌」カテゴリの記事
- 【読】北方謙三と船戸与一(2023.01.06)
- 【読】北方謙三版「水滸伝」に嵌る(2023.01.02)
- 【読】2022年12月に読んだ本(読書メーター)(2023.01.01)
- 【読】いつも読みたい本ばかり(2022年総集編に代えて)(2022.12.25)
- 【雑】小松由佳さんのこと(2022.12.04)
「池澤夏樹」カテゴリの記事
- 【読】2021年 ぼちぼちいこうか総集編(今年読んだ本)その1(2021.12.27)
- 【読】Book Cover Challenge 3冊目(2020.05.10)
- 【読】今年も総集編(2019年・読書編 -1-)(2019.12.28)
- 【読】2017年に読んだ本(2017.12.30)
- 【雑】2017年の思い出 (2)(2017.12.29)
「こんな本を読んだ」カテゴリの記事
- 【読】北方謙三と船戸与一(2023.01.06)
- 【読】北方謙三版「水滸伝」に嵌る(2023.01.02)
- 【読】2022年12月に読んだ本(読書メーター)(2023.01.01)
- 【読】いつも読みたい本ばかり(2022年総集編に代えて)(2022.12.25)
- 【雑】小松由佳さんのこと(2022.12.04)
「静かな大地」カテゴリの記事
- 【読】林蔵から武四郎へ(2013.09.30)
- 【読】トンコリ(2008.03.18)
- 【読】読中感想 静かな大地(2008.03.12)
- 【読】日本の探検家たち(2008.03.11)
- 【読】静かな大地(花崎皋平)(2008.03.09)
「アイヌ民族・アイヌ語」カテゴリの記事
- 【読】いつも読みたい本ばかり(2022年総集編に代えて)(2022.12.25)
- 【読】「ゴールデンカムイ」31巻通読(2022.09.08)
- 【読】Book Cover Challenge 6冊目(2020.05.11)
- 【読】Book Cover Challenge 3冊目(2020.05.10)
- 【読】Book Cover Challenge 1冊目(2020.05.10)
コメント
イギリス人の旅好きはかなりのもので、私の友人は世界の200以上の国へ行き、毎年3ヶ月を旅に費やしています。世代は違いますが、イザベラ・バードもその血を持ち、素晴らしい記録を残しましたね。たしか、井上ひさしの本にも彼女のことが出てきて、彼の生まれた場所を通過し、イザベラ・バードがその土地を絶賛していたと書いています。(詳細はわかり次第お知らせします)
日高・・2年前に行きましたが、また行ってアイヌ関連のことを幾つか調べたいと思っています。
投稿: 玄柊 | 2005年10月20日 (木) 08時26分