【演】お天気
今夜は、雨。めずらしく予報通りである。
秋の天気は変わりやすく、予想しにくい。俗に言うところの、○○○ゴコロと秋の空・・・いや、やめておこう。
天気予報の話である。
天気予報は、〝ハズレ〟るのではなくて〝ズレ〟るのだ、という屁理屈を聞いたことがある。
これには一理あって、おおまかな天気の移り変わりは予想できるが、その変化の速度が予想と微妙にズレていくので、ハズレたように見えるだけなのだという。そのズレが、あんがい早くくるのが問題だけれど・・・。
天気といえば、上方落語の故・桂枝雀がよく使ったマクラが好きだ。
枝雀さん独特の語り口を伝えたいので、本から引用する。
『まるく笑って落語DE枝雀』(PHP研究所)
お天気と申しますものは、なかなか当たらないものやそうでございます。これはもう、戦後すぐも、色々科学技術を使っております今日もほぼその的中率というものは変わりがないものやそうでして、ほぼ六割やそうでございますねェ。これがおかしゅうございます。・・・毎日、『晴』『晴』『晴』『晴』『晴』・・・言うてましても、五割は当たる勘定でございます。それをでございますねェ、『晴やァ』『雨やァ』『ちょっと曇りやァ』・・・てなことを言いながら、じょうずにはずしているわけでございます。(略)
なぜこのように当たらないかというと、何と申しましても人間よりお天気のほうが歴史が長いのでございます。我々人間というものは、偉そうな顔してますが、人間になりましたのはほんこないだからです。
・・・とまあ、こんな調子で、この後に単細胞生物から人類への進化の長い歴史を、おもしろおかしく語るのである。つまり、人類が誕生するまでにはたいへんな苦労があった、と。いっぽう、お天気の方はというと、その間、ずーっとお天気を続けていたわけで、しょせん年季が違う、というのだ。
お天気の歴史は何十億年、人間の歴史は「ほんこないだ(ほんのこのあいだ、の大阪風言いまわしですな)」というのが、ぼくは好きだ。
「気象庁のソフトボール大会が、雨で延期されたそうでございます・・・」なんてクスグリもあって、このマクラは何度聞いても可笑しい。
うーん、オチがつかないけど・・・おあとがよろしいようで。
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コメント
やまおじさんとの共通点に初めて気付きました。私も「枝雀ファン」です。あの語りあの表情、あの仕草、日本の話芸の最高峰ですね。「壷算」もだけど、少し前「貧乏神」をBSで放映してました。語りのリズム、スピード感、ユーモアの質、哀しさの極意、涙流して笑いました。
投稿: bluestar | 2005年10月16日 (日) 06時38分
西の方に住む方には、大阪弁に対する親しみがあるようです。東京の人には、あの大阪弁がイヤだ、という人もいるようです。
ぼくは、品のある大阪弁は好きです。お聖さん(田辺聖子さん)のエッセイが好きでした。
投稿: やまおじさん | 2005年10月16日 (日) 06時46分