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2005年11月22日 (火)

【演】高津の富

年末ジャンボ宝くじの季節がやってきた。
いつも一攫千金を夢見て10枚か20枚、買ってみるのだが、これまでの最高当選額は1万円。
宝くじを山の上まで持っていって、山の神さんに一等賞をお願いしたこともあったが、やはりというか、そんな欲深な願いは聞きいれてもらえなかった。

上方落語に 「高津の富」 (こうづのとみ)という演目がある。
江戸(東京)落語では 「宿屋の富」 という。
大阪の高津神社で売られていた富くじ(いまの宝くじ)のはなし。

ぼくは、桂枝雀のマクラが好きだ。

どんな内容かというと、金は天下の回りものというけれど、どこにでもまわってくるかというとそうではなく、まわる道、ルートが決まっているんだそうだ。
そのルートのニア・バイにいる人にはまわってくるけれど、ファラ・ウェイにいる人には生涯まわってこない。

大体、お金というものは寂しがりやなんであって、お札の王様の一万円札でも一人立ちはできない。 一枚では立てない。 それが証拠に、たとえ三枚、五枚ぐらいあっても、もっと大勢の仲間たちのところへ飛んでいこう、飛んでいこうとする。・・・

宝くじはいいもんである。
庶民の夢というか、当たるといいなぁ~と思っているだけで、心が暖まるものだ。

最後に、枝雀の語り口を借りると
「こないだうちから、この宝くじの存在をばあてにしているのでございますが、三日前でございましたか、ちょっと不吉な話を耳にしたのでございます。 ・・・それは、その宝くじというものは、あの券を買った人の中から当たりくじが出るのやそうでございます。 ・・・可能性は薄いなぁ、と・・・」

この噺、ストーリーは単純だが、なかなかホロリとしてしまう内容である。
高津神社(たかつじんじゃ、というのが正式な名前らしい)の境内の抽選会場で、欲にかられた人たちが、自分に当たりますように、とワイワイガヤガヤやるところが聞かせどころ。

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