【読】もうひとつの「静かな大地」
せっかくコメントをいただいたので、花崎皐平(はなざき・こうへい)の書いた『静かな大地』を紹介しておこう。
ぼくが持っているのは、ネット販売で手に入れた、古本の岩波書店版ハードカバー(1988.9)。
はじめて読んだのは、図書館から借りた「岩波同時代ライブラリー」版だった。
もういちど、じっくり読んでみたい本だ。花崎皐平 著
『静かな大地 松浦武四郎とアイヌ民族』 岩波書店
幕末から明治にかけての探険家、松浦武四郎(1818~1888)の評伝。
松浦武四郎は、1833(天保4)年から日本国中を遊歴、1844(弘化1)年、単身、蝦夷地に渡った。
1854(安政2)年、江戸幕府が箱館奉行を置いて、翌年江戸地を再直轄(松前藩から取り戻した)すると、幕府御雇として蝦夷地御用掛に起用された。
その間、『初航蝦夷日誌』『武四郎廻浦日記』などを著したが、場所請負人たちのアイヌに対する過酷な扱いを記述した日誌は公にすることを許されなかった。
1859年、江戸に帰って御雇を辞し、市井にあって多くの著作を刊行した。
【松浦武四郎 『アイヌ人物誌』 更科源蔵・吉田豊訳 平凡社ライブラリー より】
以前、このブログで10回にわたって、読書日誌をしつこく連載したことがある
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2005/10/1_10b4.html
池澤夏樹さんの小説 『静かな大地』は、池澤さんが花崎さんの許しをえて、花崎さんの本のタイトルを拝借したものだという。
「静かな大地」とは、アイヌ語の「アイヌ・モシリ」、つまり、明治政府によって「北海道」と名づけられた、アイヌの人たちが住んでいた大地のことである。
松浦武四郎は、あしかけ14年、6回にわたって、このアイヌ・モシリを歩いて、あるいはアイヌの漕ぐ小舟にのって、踏破した。 驚くべきことだ。
ヒューマニストと呼ぶべき優しいこころを持ち、アイヌの人たちに敬愛をもって接した、当時としては珍しくこころの広い人物だった。
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コメント
松浦武四郎についても幾つか本を持っていますが、本格的に調べてみたいと思っています。
投稿: 玄柊 | 2006年1月18日 (水) 08時33分