【雑】手袋を「はく」
北海道弁のはなし。
最近、方言を遊びで使うのが流行っているらしいが、そんなかっこいいもんじゃなく、素朴な北海道のことばである。
ひさしぶりに郷里に帰って、北海道ことばがなつかしかった。
手袋を、北海道では「はめる」のではなく、「履く」のだ。
東京生まれの家人には、いまだにバカにされるが、おかしいかなぁ。
「こわい」というのも、よく不思議な顔をされる表現。
北海道では、たとえば風邪をひいている人にむかって「こわいしょー?」(こわいでしょう?)と言う。
「何が怖いの?」なんて、東京人からバカにされるが、「こわい」というのは、「疲れた」「だるい」といったニュアンス。
同音異字語の「強い(こわい)」というのは、標準語かな?
「こわめし」とか、「おこわ」というからなぁ。
「なげる」というのも、東京にきたばかりの頃、よくバカにされた。
(バカという言葉は差別語か? ぼくはそうは思わないので使うが)
「このゴミ、投げといて」というふうに使う。
ま、捨てるということだが、微妙にニュアンスが違う。
「投げ捨てる」という感じ。
実家の母から、ひさしぶりに恐ろしいことばをきいた。
「ごろつく」
従姉妹が小さな娘をつれて帰省していたのだが(別の町である)、その幼子に正月の晴れ着(着物)を着せて出歩いたところ、「ごろついた」というのだ。
これも、「だだをこねる」「いやがる」という意味だが、かなり強烈に「だだをこねる」状態のときに使う。
「だはんこく」も、これに近いニュアンスの言葉。
「なまら」という、いま流行っている(らしい)言葉、ぼくの住んでいたところでは、あまり使わなかった。
これは標準語に翻訳しにくい。
very very ・・・というニュアンスか。
「じょっぴんかる」なんてのになると、まず、こちらでは通じないだろうな。
「じょっぴん」とは、引き戸のつっかい棒。 それを「かる」=「かける」、すなわち、引き戸につっかい棒をあてて戸締りすることである。
「じょっぴんかって寝れ」と、子どもの頃によく言われたものだ。
玄関がドアではなく、引き戸だった時代のこと。
「寝ろ」ではなく「寝れ」。
「やめろ」ではなく「やめれ」という言い方も北海道ことばの特徴。
こうしてみると奇妙なことばが多いなぁ。
こんな話になると、きりがないので、このあたりでやめる。
「はんかくさい。いいかげんにやめれ」と言われそうだから。
(「はんかくさい」=「馬鹿馬鹿しい」「愚かしい」といったニュアンス)
※この投稿の中で、あえて「ことば」「言葉」と使いわけた。それほど深い意味はないけど、なんとなく。
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コメント
やまおじさんの指摘、面白く読ませて頂きました。私は、生まれは北海道ですが、18才から長いこと東京周辺に住み(30年間)、現在は北海道へ戻って6年目(生まれた頃から通算すると北海道に住んだ経験は計24年)の人間です。つまり、生まれたとはいえ未だ東京周辺にいた経験の方が長いため、こうして北海道へ戻っても「おばんです」「こわい」「なまら」「じょっぴん」「だはんこく」などが口から出てきません。つまり、東京経験がそれらを封じてしまい、もう戻ることはないように思われます。生まれはもちろんその人間に大きな影響を与えますが、いったん、故郷を離れるとこれまた元に戻ることはないという、実例が私です。でも、「投げる」などは無意識で使うようになりましたし、アクセントは元に戻ったように思います。とにかく北海道に人々は、自分が標準語を使っていると思いこんでいる人々だというのは間違いないですね。
投稿: 玄柊 | 2006年1月 5日 (木) 23時32分