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2006年2月22日 (水)

【読】鶴見和子の柳田論

鶴見和子という人がいる。

社会学者。元・上智大学教授。1918年生まれ。
父は政治家・小説家の鶴見祐輔(第一次鳩山内閣の厚生大臣をつとめた)、弟は社会学者の鶴見俊輔。
戦前、津田英学塾(現・津田塾大)を卒業後、アメリカへ留学。日米開戦後の昭和17年に帰国。
戦後、雑誌「思想の科学」創刊にかかわり、論客として活躍。
プリンストン大学院で博士号を得たあと、コロンビア大学の助教授となる。
・・・といった略歴を読むと、なんだかとっつきにくい学者さんのようだが、ぼくはこの人に厚い信頼をおいている。

柳田国男を研究しつくし、南方熊楠についても深い論考を重ねている。
ぼくの本編サイト「晴れときどき曇りのち温泉」にも紹介した。
→資料蔵 人名編 「南方熊楠」の項
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/kura.html#minakata
→この一冊 『南方熊楠』 (講談社学術文庫)
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/books.html

この鶴見和子さんの柳田国男論が気になっていたが、ようやく図書館から借りてきた。
書き下ろしではなく、あちこちに発表した論文をあつめたものだ。

tsurumi『漂泊と定住と 柳田国男の社会変動論』
 筑摩書房 1977年
(目次から)
われらのうちなる原始人
 ― 柳田国男を軸にして近代化論を考え直す ―
国際比較における個別性と普遍性
 ― 柳田国男とマリオン・リーヴィ ―
常民と世相史
 ― 社会変動論としての『明治大正史世相篇』 ―
社会変動のパラダイム
 ― 柳田国男の仕事を軸として ―
おくれてきたものの科学技術革命への寄与
 ― 日本と中国の場合 ―
柳田国男研究の国際化
差別と非暴力抵抗の原型
 ― 『遠野物語』、『毛坊主考』、『先祖の話』など ―
漂泊と定住と
 ― 柳田国男のみた自然と社会とのむすび目 ―

ちなみに、マリオン・リーヴィという人は、鶴見さんが学んだプリンストン大学大学院の教授で社会学者。柳田国男を博士論文のテーマにするようにすすめてくれた人だという。
<わたしの学問上の師は、ふたりである。柳田国男先生とマリオン・リーヴィ教授である。ただし、柳田先生については、わたしは自称の(そして不肖の)弟子である。>
(『漂泊と定住と』あとがき)

この本、読みはじめると止まらなくなった。
いい本にめぐり会ったと思う。
なお、鶴見和子さんの選集的なものとして、『コレクション 鶴見和子曼荼羅』(藤原書店、全9巻・別巻1)という好著がある。
ぼくは、土の巻(柳田国男論)と水の巻(南方熊楠のコスモロジー)の二冊を手に入れた。
ちょっと値がはるが、それだけの価値のある本だと思う。

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コメント

鶴見和子さんにはこんなシリーズがあったんですね。この方向もう随分長い間遠ざかっていた分野です。勉強してみます。

投稿: 玄柊 | 2006年2月22日 (水) 23時31分

鶴見和子さんは、和歌もうたい、お花もやり、和服(着物)を着こなす、すてきなおばあちゃん(と言っては失礼なほど若々しい方ですが、もう90歳ちかいご高齢)。
この人の仕事(著作)からは、気骨を感じます。
行動的な学者さんです。

昨年の1月、教育TVで姿を拝見しました。
鶴見さんは、9年前に脳出血で左半身マヒとなり、車イスの生活を送っているようですが、その若々しさに驚きました。
「倒れてのち始まる~高野悦子・鶴見和子 10年ぶりの対話~」
http://www.nhk.or.jp/etv21c/backnum/index.html

投稿: やまおじさん | 2006年2月23日 (木) 20時26分

「漂泊」が「漂白」と誤変換したままだったことに気づいたので、訂正しました。
この本、あと少しで読了です。
この本に掲載されている文章のほとんどは、『鶴見和子曼荼羅 Ⅳ』に収録されていますが、一部は未収録なので、コンビニでコピーしようと思っています。
古書市場には出ているようですが、これ以上、本代に出費するわけにもいかず・・・(^_^;)

投稿: やまおじさん | 2006年2月23日 (木) 21時14分

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