【読】文庫本、要チェック
しばらく本屋の文庫本コーナーをチェックしていなかったが、入手困難だった本が文庫で出ていたりして、うれしくなった。
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_3dd7.html
で紹介した、沖浦和光(おきうら・かずてる)さんの本。
『対談「芸能と差別」の深層』 三國連太郎・沖浦和光
ちくま文庫 2005年5月
(1999年、解放出版社から刊行された上下二冊本の文庫化)
― カバーから ―
切っても切れない「芸能」と「差別」の関係とは? 芸歴50年をこえるベテラン役者三國連太郎と、アジア的スケールで民衆文化を研究する沖浦和光が徹底的に語り合う。
「竹取物語」「東海道四谷怪談」などの古典から、「フーテンの寅さん」「釣りバカ日誌」までを縦横に論じる。 さらに南西諸島、アジア諸国へと視点は広がる。 実体験に裏付けられた言葉の重みと、深い知性に満ちたスリリングな一冊。『日本民衆文化の原郷 被差別部落の民俗と芸能』
沖浦和光 文春文庫 2006年2月
(1984年11月、解放出版社から刊行された単行本の文庫化)
― カバーから ―
日本文化の深層を探ると ―。 能・歌舞伎・人形浄瑠璃から各種の工芸にいたるまで賎視された人々が、その基底を支えてきた。
紀州湯浅の門付け芸・春駒。 巡業三百年、鳥取・円通寺のデコ舞わし。 日本有数の歴史を誇る三次の鵜飼。 民俗技芸の起源をたどり、苛烈な差別をはねのけ力強く生き抜く民の実像を伝える。
もう一冊、これは単行本で持っているのだが、文庫を買ってしまった。『幻の漂泊民・サンカ』 沖浦和光
文春文庫 2004年11月
一所不住、一畝不耕。 山野河川で天幕暮し。
竹細工や川魚漁を生業とし、’60年代に列島から姿を消した自由の民・サンカ。
「定住・所有」の枠を軽々と超えた彼らは、原日本人の末裔なのか。
中世から続く漂泊民なのか。
従来の虚構を解体し、聖と賎、浄と穢から「日本文化」の基層を見据える沖浦民俗学の新たな成果。
序章 サンカとは何者だったのか
第1章 近世末・明治初期のサンカ資料を探る
第2章 柳田国男のサンカ民俗誌
第3章 サンカの起源論をめぐって
第4章 サンカの原義は「山家」だった
第5章 発生期は近世末の危機の時代か
第6章 三角寛『サンカ社会の研究』を読み解く
第7章 今日まで残ったサンカ民俗をたずねる
柳田国男の「毛坊主考」(ちくま文庫『柳田國男全集11』)を、がんばって読みおえた。
(文庫でたかだか140ページの分量だったが、時間がかかった)
凝り性なので、いちど興味をもった分野にくらいついたら離れないのである。
われながら「しつこい性格だなぁ」と思うけれど、芸能と差別、という歴史的なテーマにひかれる。
まあ、書店の文庫コーナーでは、こんな本もみつけた。『被差別部落一千年史』 高橋貞樹 著・沖浦和光 校注
岩波文庫 1992年12月
日本民族の諸源流から説きおこし、古代天皇制国家の下での身分制度の創出を論じた第1章から、水平社創立と水平運動の興隆まで、身分制の底辺におこれて差別されてきた被差別民衆の歴史を述べた先駆的労作(1924)。
戦前の社会主義運動で活躍した高橋貞樹(1905-35)が弱冠19歳で書き上げた人間解放への情熱あふれる1冊。
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コメント
最近の傾き、また徹底していますね。私に徹底とはまた違った趣・・・・おもわずこちらも苦笑いしてしました。
投稿: 玄柊 | 2006年3月 2日 (木) 23時10分