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2006年3月20日 (月)

【読】ふるさとはふた昔

井上陽水の歌に 「夏まつり」 というのがあった。
♪ 十年はひと昔 暑い夏
  おまつりは ふた昔 セミの声 ・・・
   十年はひと昔 暑い夏
  ふるさとはふた昔 夏まつり ・・・ ♪


ところで、BOOK OFF という古本のチェーン店によく行くのだが、たまに掘り出し物を見つけることがある。

akinau『写真でみる 日本生活図引 3 あきなう』
 須藤功 編 弘文堂 1988.11.10

このシリーズは
 1 たがやす 2 とる・はこぶ 3 あきなう 4 すまう 5 つどう
の4冊。
そのうちの一冊が写真集のコーナーにあった。
定価4200円のものが1600円だったので、迷った末に買った。

昭和20~30年代の暮らしぶりを伝えるモノクローム写真、モノの名前の解説がある。

― この本の序文から ―

<私たちは毎日ほぼ同じような生活を繰返している。 たとえば朝は、起きると蒲団を畳んで押入れにしまい、チューブを絞って歯磨きを歯ブラシにつけ、水道の水を出して・・・、ということを繰返す。 ところでこれが昭和20年代だったらどうだろうか。 おそらく、蒲団を畳んで部屋の隅におき、瓶の蓋を取って歯刷子に歯磨粉を付け、井戸の水を汲んで・・・、となるだろう。 同じ繰返しの朝ではあるが、戦後の昭和20年代と現代とではあきらかに違っている。 ものが変わっている。 他の生活も同様で、こうした変化は昭和30年代の高度経済成長期を境にしている。
普段の生活、正しくはそのための生活用具と環境は、5年や10年では何も変わらない。 しかし100年たつと変わったところが目立つようになる。 それは中世の絵巻物が語ってくれる。 ところが高度経済成長期にはその100年を一気に縮め、激変といってよいほどに変えてしまった。 それは蒲団を畳んで部屋の隅におく、ということにも現れている。 現在の新しい住居では、押入れはかならずあるものと決まっているが、古い民家には押入れのないのが普通だった。 ・・・>

この「あきなう」に載せられた写真は、どれも、ぼくにとってはなつかしい。
ちいさな頃(昭和20年代後半から30年代)にかけて、ぼくが育った環境そのものである。

無断転載であることを承知のうえで、その一部を紹介しよう。

stove「ストーブ各種」 と題された写真。
昭和38年、北海道室蘭市での撮影とある。

ぼくがこどもの頃、こういうストーブを使っていた。
薪ストーブ・・・円筒形のものは知らないが、前方後円型のものを使っていた。
この上で魚を焼いたりもしたものだ。
北海道では、夏でも朝晩は使っていた。
石炭ストーブ・・・鋳物製、石炭をスコップで投げ入れるタイプが写っているが、筒状の石炭容器が付いていて、少しずつ石炭を落とすタイプのものを使っていた。
学校では、大きなだるまストーブを使っていた。
冬の寒い時期、だるまストーブの上に木枠の金網をつるして、弁当を暖めていたものだ。田舎の小学校だったが。

こういう道具(モノ)をなつかしいと感じるのはなぜだろう。
この本が出版されてから20年近くたち、生活はもっと大きく変化したけれど、大切なものを失い続けているような気がしてならない。

<・・・今は水道の蛇口を捻りさえすれば、苦もなく水は出る。 蓄える必要もない。 便利になっている。 だが、汲む、運ぶ、蓄えるということに伴った、数百年の生活の染み込んだものと、それを作る技術をなくした。・・・>

これでいいのかな?
そんな気分になったとき、冒頭の井上陽水の歌を思いだしたのである。

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コメント

この『写真でみる日本生活図引』シリーズ(弘文堂)は、8巻のシリーズと別巻が出ているようです。
この町の図書館にも置いてあるので、借りてみようと思います。

1 たがやす 2 とる・はこぶ 3 あきなう 4 すまう
5 つどう 6 たたずまい 7 まち 8 わざ
別巻 村の一年

投稿: やまおじさん | 2006年3月21日 (火) 09時07分

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