【楽】【読】三つの「鳥の歌」
カテゴリ分けに迷ったけれど、とりあえず「読書日記」ということで。
「鳥の歌」といえば、ぼくには、たいせつにしているものが三つある。
「鳥の歌」 (上々颱風)上々颱風(しゃんしゃんたいふーん)の西川郷子さんの歌。
「ためごま」 というアルバムに入っているが、発売終了のため入手困難。
録音されたものよりも、ライブで聴くほうがずっとよい。
サトちゃんの歌声が絶品。
ぼくの本編サイト「晴れときどき曇りのち温泉」でとりあげているので、ご覧いただきたい。
http://yamaoji.hp.infoseek.co.jp/m_torinouta.html
「鳥の歌」 (カタロニア民謡/カザルス編/パブロ・カザルス演奏)『鳥の歌 ― カザルス・ホワイトハウス・コンサート』 収録
CBSソニー SOCO69 (CDでも出ているはず)
1961年11月13日、ワシントンのホワイトハウスでのコンサート録音
<鳥の囀りのように響く調べは、カタロニヤの民謡である。 私はバッハやベートーヴェンといえども、この調べを耳にしたならば、彼らもその美、その形式を観賞しただろうと思うのだ。 私は亡命する時に、再び演奏するときには、必ずこの曲を私の演奏プログラムの一番終りに演奏する、カタロニアはつねに私とともにある、と言った。 そして、その後今日まで、何百回もこの曲を演奏したが、その度毎に、私の心は祖国が経験した悲劇の数々を思って痛むのだ。>
(カザルスの言葉 ― レコードジャケットから)
『鳥の歌』 (五木寛之)この小説を再読していたが、ようやく読み終えた。
ちょっと物足りない感じもしたが、面白かったし、感銘もうけた。
この小説のなかで、五木さんは、カザルスの「鳥の歌」にもふれている。
「鳥の歌」は、自由を求める人間の夢を象徴することばである。
この小説の重要な登場人物である<サク>は、そういう人びとのことを次のように語る。
<土地に定着して住んでいる人びとがいる。 骨や、肉のようなものです。 集まって町に住んでいる人びとは、頭や、関節だ。 そして、そんな肉体の各部を心臓から送り出される血液のように常に音もなく流れているものがある。 それをぼくらは動民と呼んでいるんです。 住民と動民は、それぞれにちがった役割を持っていると考えていい。 昔からいろんな人びとが諸国を流れ歩き、渡り歩いて社会がいきいきと新鮮な活力を保つような働きをしてきました。 ・・・>
<鳥だって、実際には自由でもないし、いろんな苦しい闘いもある。 だが、人間たちは空をとぶ鳥に自由の象徴を見たんだ。 <鳥のように―>生きたいと、どれだけ沢山の人が思ったことだろう。 そして、それはこれからは、ほとんど不可能に近い生き方だ。 この国をふくめて、すべての国々が鳥のように生きることを制限し、家畜のような生き方を人間たちに強いているように思われる。 ・・・>
1970年代のおわりに、五木さんがこの小説で予言したことが、現実になっているのかどうか。
人によって感じ方はちがうかもしれないが、ぼくには、きゅうくつな世の中になっているように感じられる。
「鳥の歌」 ということばを聞くだけで、せつないような気持ちになる。
鳥のように自由に空をはばたきたい。 そう思うことが誰にもあると思うのだ。
放浪、とか、流浪の民にぼくがひかれるのも、そんな心情からだと思う。
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コメント
杉田かおる...
投稿: 黒豹の保安官 | 2006年4月22日 (土) 22時49分
杉田かおる・・・ちらっと思いうかべましたが、ぼくのリストからは除外(笑)
投稿: やまおじさん | 2006年4月23日 (日) 09時03分
私も、アマゾンのマーケットプレイスで『鳥の歌』を取り寄せました。これから読み始めていきます。
私も、杉田かおるを一瞬思い浮かべましたが、五木さんの小説に出てきそうな感じですね(笑)
上々颱風のLet it be は私も好きです。
投稿: 野末雅寛 | 2006年4月23日 (日) 17時55分
>野末さん
上々颱風をご存知、というのは嬉しいです(^_^)
五木さんの小説にも、色濃く五木さんの思想がこめられていると思います。
投稿: やまおじさん | 2006年4月23日 (日) 19時16分