【読】こころの新書 (8)
五木さんの「こころの新書」シリーズ(講談社)を紹介してきた。
その続きである。
このシリーズの中の「日本人のこころ」という4冊の本が、てもとにある。
このブログでも紹介したきたが、もともとは単行本で2001年から出版されていたものらしい。
これまで書いたことのくり返しになるが、じつにスリリングな内容である。
『日本人のこころ 大阪・京都
宗教都市・大阪 前衛都市・京都』
このタイトルからして、とても興味ぶかい。
大阪といえば大阪城。
大阪は城下町と思われがちだが、あの大阪城があった場所には、15世紀(1496年/明応5年)に蓮如が建てた「大坂御坊」あるいは「石山御坊」とよばれる小さなお寺があったというのだ。
城下町に対して、五木さんは「寺内町(じないまち)」という言葉で大坂(現在は大阪)という都市の成り立ちを論じている。
これだけでも「目から鱗」だった。
京都。
五木さんは、これまで他の著書でもこの都市の前衛性にふれていた。
いまは色あせた寺院も、建てられた当時は、とてもエキゾチックなものだったろう。
祇園祭の「山」や「鉾」に使われている装飾にも、中国、ペルシャ、トルコ、ヨーロッパ、インドなど、世界各国の織物や刺繍が使われていることに着目し、京都が古くから外国の最先端の文化をとりいれてきた「前衛都市」だったと喝破する。 さすがである。
浄土真宗の門徒(被差別民が多かった)、つまり念仏衆や、京都の「河原者」「非人」と呼ばれた被差別民について、この本から学ぶところは多かった。
こういうことが知りたかったのだ。
いまの日本は、どこもアスファルトで舗装されて、農地や山地を除くと土が見えにくい。
とくに市街地は、地方都市もふくめ、歴史をきざんできた土地の姿が見えなくて、どこも同じような風景に見える。
アスファルトをめくれば、そこに濃厚な「歴史」が見えるだろう。
半世紀以上も生きてきて、ぼくは日本の歴史についてどれだけ知っていたんだろうか・・・そう考えて、愕然としている。
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コメント
私も京都に数年間住み、大阪にもちょくちょく行っていたので、結構納得の一冊でした。京都は確かにけばけばしい建物が多いので、結構アバンギャルドな街だと思います。京都タワーも京都駅も、ちょっと奇異な感じがします。
コメントに残していただいた、サイトもご紹介ありがとうございました。充実していたので、こちらからリンクさせていただきました。どうぞご確認ください。
投稿: ほめ屋 | 2006年5月22日 (月) 07時13分
>ほめ屋さん
リンクをはってくださって(2つも)ありがとうございます。
いま、4冊目の『隠れ念仏と隠し念仏』を読んでいます。
こちらは九州と東北。
投稿: やまおじさん | 2006年5月22日 (月) 20時35分
京都へ何度も足を運びました。確かに侘びさびの世界もありますが、前衛的な部分があるからこそ、1000年を超えた魅力を持った街になっているのではと思います。パリ、ロンドン、北京・・私が訪ねた都市は限られていますが。今日とはこれらの街を超えています。
投稿: 玄柊 | 2006年5月22日 (月) 21時10分
お久しぶりです~。
宗教都市大阪の本は面白そうですね。読んでみたいなぁ…。寺内町は地元だったこともあって、大学のときに論文読んでレポートを書いたことがあります。近畿の中世自治集落はなかなか興味深いです。
投稿: ごじゃえもん | 2006年5月22日 (月) 22時29分
>ごじゃえもんさん
この本はオススメです。
「大阪、寺内町」で検索すると、こんなサイトがみつかりました。
寺内町 観光&レジャーガイド - goo 大阪
http://machi.goo.ne.jp/snd/spotID_TO27001220/leisure/details.asp
ちんどん写真館・寺内町
http://www.tozaiya.co.jp/gallery/zinai/index.html
投稿: やまおじさん | 2006年5月23日 (火) 21時50分
このリンクにある富田林は私の育った河内長野の隣町です。なので、寺内町、興味があるんです~。でも、まだ行ったこと無いんですよね。行ってみたいなぁ。
投稿: ごじゃえもん | 2006年5月24日 (水) 23時01分
河内という土地、ぼくも興味があります。
時間ができたら、大阪、京都、神戸といったあたりをゆっくり訪ねてみたいです。
投稿: やまおじさん | 2006年5月25日 (木) 22時01分