【読】吉本隆明さん
友人が、吉本隆明さんの新刊を教えてくれた。
『老いの超え方』 朝日新聞社出版局
2006年5月 1785円(税込)
http://opendoors.asahi.com/data/detail/7375.shtml
興味深い本なので、いずれ入手したいと思っている。
吉本隆明さんを、なんと呼べばいいのか。
詩人、思想家、評論家・・・。
大きな人ではあるが、ぼくにとっては「吉本さん」という感じで、身近なおじさんという印象が強い。
難しい著作も何冊か読んだことがあり、それなりに感銘をうけたりもしたが、インテリ臭のない庶民的な人だと、ぼくは感じている。
その吉本さんの著作を2冊、近くの図書館から借りてきた。
『中学生のための社会科』 市井文学株式会社 2005年3月1日
ここで「中学生」と呼んでいるのは、吉本さんの前書きによれば―
「生涯のうちでいちばん多感で、好奇心に富み、出会う出来事には敏感に反応する柔らかな精神をもち、そのうえ誰にもわずらわされずによく考え、理解し、そして永く忘れることのない頭脳を持っている時期の比喩」
だという。
だから、「そういう時期を自分でもっていながらそれに気づかず、相当な年齢になってから『しまった!』と後悔したり、反省したりした」 吉本さん自身の 「願望が集約された時期のこと」 でもあるそうだ。
詩、古典、日本語、老齢、意思と行為、自他の違い、社会と国家、民俗、高度管理社会、・・・などというタイトルが並ぶ。
中学生の読者を想定したわかりやすい文章で、吉本さんの思想が語られているようだ。
楽しみな一冊。
『遺書』 角川春樹事務所 1998年1月8日
あとがきによれば―
「おまえ、溺れかかったのだから死んだも同じだ。ひとつ遺書という本を造らないかと、角川春樹事務所から提案があった」ので、「本当の遺書は書くことはないとおもうから、これがほんとの遺書かもしれない」と、書いた本だという。
死について、国家について、教育について、家族について、文学について、わが回想、・・・といったタイトルが並ぶ。
ここでも、吉本さんの大きな思想が語られているようだ。
もう一冊、これは駅前の古本屋で、バスを待つ時間にみつけた本。吉本ばななさんとの対談。
『吉本隆明×吉本ばなな』 株式会社ロッキング・オン 1997年2月15日
内容は父娘の対談だが、ちょっと惹かれたので買ってみた。
いずれもまだ読んでいないが、今読みかけの本(赤坂憲雄『東西/南北考』)を読みおえたら、読んでみようと思う。
そういえば、赤坂憲雄さんと吉本さんの対談構成で
『天皇制の基層』 (講談社学術文庫・2003年10月10日) という本も手元にある。
読むのはまだ先になりそうだが、興味しんしんである。
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コメント
遺書は持っています。彼はいつ頃からか難解をやめましたね。今は「追悼私記」を読み返しています。
投稿: 玄柊 | 2006年6月 5日 (月) 14時03分
『追悼私記』は、以前読んだ記憶があります。図書館から借りてだったか、手元には見つかりませんでしたが、印象深い本でした。
>彼はいつ頃からか難解をやめましたね。
どうなんでしょう。
あまり変わっていないようにも思いますが。
投稿: やまおじさん | 2006年6月 5日 (月) 20時29分