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2006年7月19日 (水)

【読】こころの新書 (11)

五木寛之さんの 「こころの新書」 シリーズ(講談社)
『大陸へのロマンと慟哭の港 博多 / 日本の原郷 沖縄への旅』

Kokoro09これもまた、刺激的で興味ぶかい内容だった。
第一部 「ここは"往還の地"である」
博多は、五木寛之少年が、敗戦後、朝鮮半島から引き揚げてきて上陸した港である。
<ここは、私が朝鮮半島から引き揚げてきてはじめて踏んだ日本の地だ。 いわば帰国難民として、母国への第一歩をこの場所からスタートしたのである。>

引き揚げ者の苦難、ことに、「不法妊娠」ということばで呼ばれた、肉体的な被害をこうむって帰国した女性たちのことが胸をうつ。
福岡県糟屋郡古賀町の「国立福岡療養所」と、佐賀県三養基郡中原町の「国立佐賀療養所」。
あるいは、福岡県二日市温泉にあった「二日市保養所」。
こういった施設に、被害を受けた女性たちが収容され、人工中絶(堕胎)手術を受けたという事実。
一般には知られていない戦後の暗闇を、五木さんは執拗に掘り返す。

いっぽう、「日本から母国へ引き揚げる人びともいた」という、五木さんらしい視点も示される。
<ところで、一般に「引き揚げ」という場合、片道だけのことを考える。 もちろん割合としてはそれが多い。 だが、逆に日本にいる外国人が母国へ帰るという「引き揚げ」もあったのである。>
つまり、たくさんの中国人、朝鮮人(その中には強制連行されてきた人も多いはずだ)、その他の国籍の人びとだ。

ほかに、第一部で興味ぶかかったのは、甲斐大策さんという大連(旧満州)生まれの画家のはなし。
「アフガンに惚れこんだ日本人モスレム」
<彼は1960年代後半からほぼ毎年アフガニスタンを訪れ、アフガン人と義兄弟の契りを結び、イスラム教に入信している。>
という魅力的な人物だ。 文字どおり「漂泊」を地でいっている。

第二部 「神と人と自然が共生する空間」
興味ぶかかったのは、岡本太郎が沖縄に強くひかれていたということ。
『沖縄文化論―忘れられた日本』(中公文庫)、『岡本太郎の沖縄』(日本放送出版協会)といった本が紹介されている。 読んでみたくなった。
ぼくの好きな歌い手である古謝美佐子さんや安里勇さんが出てきたり、御嶽(うたき・神の降る場所)、『おもろさうし』、「沖縄アクターズスクール」など、五木さんの目のつけどころ(関心のまと)は、さすがである。

Kokoro6ところで、このシリーズのオリジナル(ハードカバー)の6冊目を、先日、BOOK OFFでみかけて手に入れた。
五木寛之 『日本人のこころ 6』 (講談社・2002/7)
 ― 取材ノート 原日本人の豊かな生き方 ―
これまでに新書版で読んだシリーズの総集編といった感じで、各巻に登場した人たちや、ゆかりの人たちとの対談集の体裁をとっている。
おもしろそうだなぁ。

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コメント

最近「キューポラのある街」という早船ちよ原作の映画を見ました。この中に戦後まもなく在日韓国人が、北朝鮮へ引き揚げるシーンがありました。そうか、こういう事もあったのだなと目を見開かされた後だったので、今日のお話、興味深く読みました。

投稿: 玄柊 | 2006年7月19日 (水) 23時14分

「キューポラのある街」は浦山桐郎監督、吉永小百合主演でしたね。
1962年の映画なので、公開当時は見ていないと思いますが、東京に来てから名画座(池袋の文芸座地下)のオールナイト(浦山監督特集)で見ました。
「川口!」(この映画の舞台)という野次が飛んだりする、熱いオールナイトでした。
スクリーンに向かって拍手喝采というシーンもあり、あの頃は映画を見る人たちも"熱い"時代でした。

投稿: やまおじさん | 2006年7月20日 (木) 20時54分

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