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2006年10月27日 (金)

【読】浅草弾左衛門 (2)

Asakusa_danzaemon1_2塩見鮮一郎 『浅草弾左衛門 第一部 天保青春篇』 を読みおえた。
時代小説というもの、どうも嘘っぽい気がして読むことがすくないのだが、この小説はおもしろい。
五木寛之さんが言っているように、この人物は学校の日本史の授業でとりあげられることもなく、一般的に知られていないと思う。
ぼくも知らなかった。
五木さんの本にも書かれているが、広辞苑で「弾左衛門(だんざえもん)」をひくと――
<江戸時代、関八州およびその周辺にわたって勢威を振った、えたの頭(かしら)。江戸の非人頭車善七(くるまぜんしち)らもその配下。>
という簡単な説明がある。
「えた」とあるが、漢字では「穢多」。
一種の差別用語であるからか、日本語変換では出てこないが、塩見さんのこの小説ではこの漢字が使われている。 再び、広辞苑。
<(「下学集」など中世以降、侮蔑の意味をこめて「穢多」の二字を当てた) 中世・近世の賎民身分の一。 牛馬の死体処理などに従事し、罪人の逮捕・処刑にも使役された。 江戸幕藩体制下では、非人とともに士農工商より下位の身分に固定、一般に居住地や職業を制限され、皮革業に関与する者が多かった。 一八七一年(明治四)太政官布告により平民の籍に編入された後も社会的差別が存続し、現在なお根絶されていない。>
(広辞苑第四版)

この小説は、最後の「弾左衛門(13代目弾直樹)」の数奇な一生を描く。
摂津国(兵庫県)に生れた「小太郎」が、天保11年(1840)、幕命(幕府の命令)によって浅草に呼び寄せられ、12代目弾左衛門(周司)の養子となり、13代目を継ぐ。・・・
大塩平八郎の乱(天保8年/1837)、おかげ参りの流行、渡辺崋山・高野長英らの蕃社の獄(天保10年/1839)、老中水野忠邦による天保の改革、など、世は騒然としている。
明治維新直前の動乱の時代だ。

血わき肉踊る、という表現が妥当かどうか(差別がテーマだから重い内容)。
だが、文句なく面白い長編小説である。
この後、第二部 「幕末躍動篇」、第三部 「明治苦闘篇」 と続く。
幕末から明治にかけての、日本史の裏面。
この三部作は、先日、書店で文庫版(小学館文庫・全6巻)を注文。 入荷の連絡があったのだが、待ちきれないので、図書館から第二部を借りてくるつもり。
また、塩見鮮一郎 『資料浅草弾左衛門』(批評社) という本もあり、これも明日、図書館から借りる。

ネットで調べてみると、興味深いサイト記事があった。
 資料 浅草弾左衛門 − ブログ「国際」
 http://qxs.blcm.net/page/10066.html
<山城新吾が「これを読まずして役者を志すことなかれ」といった、小説浅草弾左衛門の資料集>

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