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2006年11月30日 (木)

【読】思想なんかいらない

月曜日だったかな、勤め先の近くの新古書店(BOOK OFF)で、タイトルにひかれて買った本。 350円だった。
Seko_kouji_1勢古浩爾 (せこ・こうじ) 『思想なんかいらない生活』
  ちくま新書 479 (2004.6.10)
著者については、よく知らない。
ちくま新書 『自分をつくるための読書術』 『こういう男になりたい』 の二冊、宝島社 『中島みゆき・あらかじめ喪われた愛』 という著作あり。
現在、洋書輸入会社に勤務(サラリーマンらしい)。

この本、じつに胸のすくような爽快な内容。
読み始めるまでは、なんだか怪しげな本かな、と思っていたが、とんでもない。
とてもしっかりした内容。 かつ、説得力あり。 しかも、わかりやすい。

 「思想」というものは、私たちの生活に必要なのだろうか?
 あるいは、思想や哲学が、今のこの生活に必要なのだろうか?
   ― カバー見返しから ―
著者のこたえは、「そんなもん、いらん」 「もっと大切なものがあるんだよ」 ということか?
目次をあげておこう。

第一章 知識人にご用心
第二章 「ふつうの人」、インテリに叱られる
第三章 いったいなんのための思想か
第四章 インテリさんがゆく
第五章 本は恥ずかしい
第六章 勝手に「大衆」と呼ばれて
第七章 思想なんかいらない生活

この第四章で槍玉にあげられている、インチキなインテリども(著者がいうところの)には、竹田青嗣、加藤典洋、橋爪大三郎、小浜逸郎、柄谷行人、蓮実重彦、大澤真幸、福田和也、中島義道、永井均、池田晶子、姜尚中、副島隆彦、・・・なんて名前がずらり並んでいるが、自慢じゃないがほとんど知らん人ばかり。
それが、おもしろいのだ。
エラそうなことを書いている、これらの人々の著作から例をひいて、いかにわけのわからないものを大層ぶって書いている輩かということを、しつこいくらいに、これでもかと書き綴る。
その一例をあげようと思ったが、めんどうなのと、夜も更けてきたので(とっくに寝る時間だ)やめにする。
読みながら、ほんとうに何度も声をあげて笑ってしまった。 爆笑。

こんな紹介だと、誤解されるかもしれないが、著者の意図(意思)はきわめてまじめ、好感がもてる。
すくなくとも、次の二人のことを教えてもらえたことで、ぼくはこの著者に感謝したい。

その一人は、エリック・ホッファー。
アメリカの 「沖仲士の哲学者」と呼ばれた人(らしい)。
『エリック・ホッファー自伝』 (作品社)、『波止場日記』 (みすず書房) というのを読みたくなった。

もう一人は、ぼくも名前だけは知っていた、シモーヌ・ヴェイユ。
フランスの高等中学の哲学教師(つまり、インテリ)だったが、工場労働者(女工)の世界に飛び込んで、『工場日記』 を残した。 これも読んでみたくなった。

そして、これは蛇足だが、あとがきの中でこう書いているのが、ぼくにはことに嬉しかった。
というか、この言葉で、ああ、この著者は信用できる人かもしれないな、と思ったのだ。

 <ところで 「思想家」 をとりあげるのなら、なぜ吉本隆明が入っていないのかと怪訝におもわれたかたがいるかもしれない。 理由はふたつある。
 ひとつは、吉本隆明だけは依然として別格だからである。 本書を書きながらあらためてそのことを実感した。 別格すぎる。 吉本隆明はわたしが唯一恩恵を蒙った 「思想家」 である。 かれの 「思想」 だけがこの世界のなかで、またわたしの半生のなかで、例外的に唯一役に立ったのだ。 役に立ったどころではない。>
  ― あとがき ―

ぼくは、「吉本教」(そんなもんはもちろんないのだが)の信徒でもなく、吉本崇拝者でもない。 吉本さんを敬愛(あぁ、恥ずかしいな)、尊敬(これも恥ずかしい)、・・・まあ、どうでもいい、これまでさんざん書いたから、ここには書かないけれど、これからも読み続けて教わることの多い人だと考えている。
これこそ蛇足だったかな。 ま、いいや。 寝よう。

2006/12/2 写真追加
エリック・ホッファー 『波止場日記 労働と思索』 (田中淳 訳/みすず書房)
シモーヌ・ヴェイユ 『工場日記』 (田辺保 訳/講談社文庫)
Eric_hofferSimone_weil_1   

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コメント

シモーヌ・ヴェイユは私にとって、いつも心のどこかで支えになる人でした。「重力と恩寵」という本もいいです。

投稿: 玄柊 | 2006年12月 1日 (金) 14時11分

>玄柊さん
『重力と恩寵』を書店で見ましたが、ぼくには難しそうなのでパス。いつか読んでみるかも。
『波止場日記』を買いました。
『工場日記』は絶版のようなので、図書館から明日借りてきます。

投稿: やまおじさん | 2006年12月 1日 (金) 21時05分

エリック・ホッファーとシモーヌ・ヴェイユの本を入手したので(一冊は図書館から借りた)写真を載せました。

投稿: やまおじさん | 2006年12月 2日 (土) 22時01分

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