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2006年11月21日 (火)

【演】みかん、おまへんか

ひさびさの演芸日誌だが、いぜん書いたことのあるハナシだから、いわば二番煎じ。
みかんを食べようと思って、くだもの籠から取りだしたものが、ぐじゅぐじゅだった。
そこで、ふと思いだしたのが、桂枝雀が演じた「千両みかん」という噺。

Shijyaku198307tv_1江戸時代、いまとちがって季節ごとの食べ物(季節の味覚)が定まっていたころのこと。
さる大店の若旦那が寝ついてしまった。
なんの病なのか、医者に診てもらっても「気の病」と言われるばかりで、原因がかいもくわからない。
番頭がようやく聞きだしたところによると、この若旦那、夏の暑い盛りにみかんが食べたくて食べたくて、とうとうみかんに恋わずらいしてしまったのである。
かわいそうなのは番頭。
大旦那に命じられて、大阪市中をみかん求めてさまよい歩く。
みかんが見つからなければ若旦那は死んでしまう、いわば主殺し、はりつけの刑だと大旦那に脅迫されて、「みかん、おまへんか? 」 と、歩きまわる番頭があわれだが、妙に可笑しみのある噺だ。
サゲは、番頭が若旦那の食べ残したみかんの残り、三袋(房)持ってドロン。
一個千両という値がついてしまった、みかん。 一個に十袋(房)あったので、三袋でも三百両の値打ち・・・と、この番頭は思ったのだ。 なんとも涙ぐましい。
このあらすじだけでは、ばかばかしいの話ようだが、ここに至るまでの大阪市中での番頭の苦闘(珍道中)、赤物問屋(果物問屋)と番頭のやりとり、みかん三袋のために失踪してしまう番頭の心理・・・こういったものが、枝雀一流の話術で巧みに語られる傑作。
なんど聞いても笑えて泣ける。

ぼくの持っている音源は、1983年4月から9月にかけて、TBSテレビで放映された(制作は大阪毎日放送)、「笑いころげてたっぷり枝雀」というライブ録画番組の音声だけをカセットテープに録ったもの。
当時、わが家にはビデオ・デッキがなかったのだ。
録画できていれば貴重な映像だったのになぁ・・・。

全23回の演目。
1. 83.4.10 延陽伯
2. 83.4.17 鷺とり
3. 83.4.24 宿替え
4. 83.5.1 愛宕山
5. 83.5.8 米揚げ笊(いかき)
6. 83.5.15 崇徳院
7. 83.5.22 くっしゃみ講釈
8. 83.5.29 天神山
9. 83.6.5 ちしゃ医者
10. 83.6.12 軒付け
11. 83.6.19 うなぎや
12. 83.6.26 ふたなり
13. 83.7.3 青菜
14. 83.7.10 饅頭こわい
15. 83.7.17 始末の極意
16. 83.7.24 千両みかん
17. 83.8.7 蛇含草(じゃがんそう)
18. 83.8.14 舟弁慶(ふなべんけい)
19. 83.8.21 皿屋敷
20. 83.8.28 道具屋
21. 83.9.4 貧乏神 (小佐田定雄作)
22. 83.9.11 八五郎坊主
23. 83.9.18 親子茶屋

この枝雀師にしろ、伊丹十三にしろ、才能のある人が自ら命を絶ったのはなぜだろう、と、不思議な気がする。 

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コメント

それにしても貴重な音源を何度も楽しんでいるなんて素晴らしいですね。田宮二郎とか歌手の??さんとかまだまだ自殺した人はいますね。派手な世界だけにいろいろなことがあるのでしょう。のってる文章ですが、いつもながら根気があるなあ。

投稿: 玄柊 | 2006年11月22日 (水) 07時29分

>玄柊さん
枝雀さんの死はショックでした。
99年3月13日に自宅で自殺をはかり、その後4月19日に亡くなったのでした。
死にたくなることはありますが、ぼくは自殺だけはしたくないなぁ・・・。

投稿: やまおじさん | 2006年11月22日 (水) 21時29分

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