【読】ばかぼん
勢古浩爾著 『まれに見るバカ』 (洋泉社文庫 2006.2.20発行)は、おもしろかった。
巻末に 「バカ」によって「バカ」を制すためのブックリスト というのが載っている。
つまり「バカ本」 が紹介されている。
ほんとうに 「バカじゃないのか」 と思うような本から、有益な本まで、この人らしい基準で選ばれた本がずらり。
その中で、読んでみたいと思わせる本が二冊あった。
一冊は、西岡常一著 『木のいのち木のこころ(天)』 (新潮OH!文庫)
これは、こんど古本屋で探してみよう。
著者は宮大工だった人で、こういうことを言う人らしい。
(『まれに見るバカ』 P.254~255から孫引き)
<弟子も始めは何もわかりません。 そのほうがよろしい。 何も知らんということを自分でわからなならん。 本を読んで予備知識を持って、こんなもんやろと思ってもろても、そうはいかんのです。 頭に記憶はあっても、何もしてこなかったその子の手には何の記憶もありませんのや。 それを身につけにくるのが弟子です。 (中略) なかなか手と頭はつながらんのです。>
<(学者)は体験や経験を信じないんですな。 本に書かれていることや論文のほうを、目の前にあるものより大事にするんですな。 学者たちと長ごうつきあいましたけど、感心せん世界やと思いましたな>
いいなぁ。 こういうことを言う人。
もう一冊は、きょうの昼休み、たまたま近くのBOOK OFFでみつけた。 105円で購入。
吉野敬介著 『やっぱりおまえはバカじゃない』 (小学館文庫 1998.3.1発行)勢古さんに、「この本には感動した」 と言わせた本。
以下、勢古さんによる紹介文を引用。(『まれに見るバカ』 P.51)
<著者は中学・高校時代を徹底的に不良(元暴走族特攻隊長)でとおし、大学受験四ヶ月前の偏差値は英語、国語、社会、三教科あわせて80にも満たなかったという極めつきの劣等生である。 (中略) その極めつきの不良が、副題に「偏差値25からの超大学受験術」とあるように、一念発起して受験をめざし、超人的な努力の末、見事国学院大学に合格する、という体験談である。>
大学卒業後、「代々木ゼミナール人気ナンバーワン古文教師」になったという、これまた魅力的な人物である。
きょうのぞいたBOOK OFFには、この著者の別の文庫(続編)もあったが、そのカバーには、パンチパーマの「いかにも」という風な写真が載っていた。買わなかったけれど。
などと書きながら、この『やっぱりおまえはバカじゃない』のカバー見返しをみると、そこには著者紹介文と、迫力ある顔写真が・・・。
ついせんだって防衛戦に勝った、ふてぶてしいチャンピオンの面構えに似ていなくもないが、ぼくはこういう人は好きだな。
明日から、この本を読んでみよう。
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コメント
大学教師にもいろいろいるでしょうが、西岡さんの言っているタイプは多い。TV討論などを見ていても、一番の馬鹿は大学教師である・・。言い換えると自分を馬鹿であると認識できない人々の代表が、大学教師ですね。僕もバカな人間の代表ですが。西岡さんは僕も好きです。
投稿: 玄柊 | 2007年1月24日 (水) 23時57分
お久です!
暮れから1月にかけて目の回る忙しさ。
先週末札幌入りしてやっと余裕が出てきたところです。
その本面白そうですね。
昔堅気の職人さんの言う事って妙に説得力がありますねぇ。
何でも頭で考えず体に覚えさせてきた確固たる自信からか。
ついつい思わず頷いてしまいます。
投稿: まえちゃん | 2007年1月25日 (木) 10時47分
>玄柊さん
じぶんのことをバカと言わないほうが・・・。
正真正銘のバカが世の中には満ちあふれているのだから・・・ということがわかった本でした(『まれに見るバカ』)。
>まえちゃん
おひさしぶりです。
この宮大工さんの本はよさそうです。
有名な方らしいですね。ぼくは知らなかったのですが。
投稿: やまおじさん | 2007年1月25日 (木) 22時05分