【読】船戸与一と満州
新聞の出版広告に、船戸与一の新作がでていた。
ついに、満州を舞台にした小説を書いたのだ。
これは読まなくちゃ。
船戸与一
『風の払暁―満州国演義1―』
http://www.shinchosha.co.jp/book/462302/
『事変の夜―満州国演義2―』
http://www.shinchosha.co.jp/book/462303/
新潮社 2007/04/20
船戸与一には、現代中国(ウィグル自治区)を舞台にした
『流沙の塔』 (朝日新聞社 1998年) という刺激的な小説もあった。
きょう、ようやく石光真清の手記(四部作)を読みおえた。
文庫本、小さな活字で、合計1300ページほど。 われながらよく頑張ったと思う。
なんども掲載した画像だが、記念に。
【4/28追記】
上記新潮社のサイトに掲載されている作者へのインタビュー記事から転載
http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/462302.html
<『蝦夷地別件』が、日本の中に、日本の民の中にという意味で、国家論が芽生える瞬間を描いた作品だとすると、『満州国演義』は、日露戦争、第一次大戦を経て、日本の中で明治維新の残光が消える瞬間を描こうと思ったんだ。
従来の満州を語る姿勢を分類すると、ひとつは、ロマン説。新しい国家というのをまっさらに作り上げることの魅力だね。もうひとつは、侵略説。この二つの溝はとても埋められるようなものじゃない。どういうふうに満州国が出来上がっていったのかを語ること以外に解答はないんだ。ロマン説であろうが侵略説であろうが、意義を語るだけでは何の解決にもならないので、具体的な内実を語ることが必要だと思った。だから、断片的な事例や論を語るのではなく、これで満州の全てが丸ごと分かるような作品を書きたかった。>
さすが船戸さん。 これを読むと、ますますこの小説に惹かれる。
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コメント
船戸さん、よく書いていますね。満州が舞台なんですか。つい最近、70代前半の人に満州の話を聞いたばかりです。石光真清の本は僕も持っていますが拾い読みしているだけです。なかなか、全部読み切れません。
投稿: 玄柊 | 2007年4月27日 (金) 23時16分
>玄柊さん
購入したのは20代の頃。それから30年以上たって、ようやく読み通しました。
活字が小さくて泣きましたが、おもしろかったですよ。
日清、日露戦争から第一次世界大戦、ロシア革命、シベリア出兵という動乱の時代に生きたひとりの日本人の手記ですが、読み応えがありました。
二葉亭四迷や森鴎外も、石光真清にかかわった人物として登場します。
投稿: やまおじさん | 2007年4月27日 (金) 23時46分