【読】船戸与一『満州国演義 1』
船戸与一著 『風の払暁 満州国演義 1』 (新潮社)
読み始めた。
期待を裏切らない、面白い小説だ。
以前、このブログで紹介した際
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_a737.html
(4/27 【読】船戸与一と満洲)
新潮社のサイトへのリンクを載せたが、その中の「書評/対談」のページで著者自身によって、この小説の主人公たち(敷島四兄弟)について述べられている。
もちろん、この四兄弟は、船戸与一によってつくられた架空の人物ではある。
100ページほど読んだところで、次郎(馬賊の頭目)、四郎(無政府主義に傾倒する早大生)、太郎(奉天総領事館駐在の外交官)の三人が登場。 残る三男の三郎(陸軍将校)も、ちらっと顔を出した。
興味深いのは、石光真清の手記に登場していた実在の人物である、花田仲之助(陸軍少佐、浄土真宗の僧侶姿で諜報活動に従事)について触れていることだ。
また、これは実在の人物をモデルにしただけかもしれないが、馬賊の女頭目として男勝りの活躍をするお菊(山本菊子)、お静(古賀静子)など、登場人物それぞれが人間的な魅力にあふれている。
船戸与一らしい、血沸き肉踊る冒険小説であり、綿密な調査にもとづく雄大な歴史小説。
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コメント
前にも同じように思いましたが、今回の紹介でますます面白そうだなと感じました。実在の人物も登場するんですね。探してみます。
投稿: 玄柊 | 2007年5月17日 (木) 22時50分
>玄柊さん
フィクションですが、史実をベースにしていて、なかなか興味深い内容です。
主人公の一人(敷島三郎)が張作霖爆殺(満洲某重大事件と呼ばれていた)に関わったり、男女のややこしい問題も出てきて、いかにも船戸与一らしい物語世界です。
新刊を買ってまで・・・というほどでもないかもしれません。図書館からでも借りて読んでみては?
投稿: やまおじさん | 2007年5月18日 (金) 21時16分