【読】地図、今昔
日曜日に市の中央図書館から借りてきた本が、なかなか読み応えあり。左が借りてきて読んでいる本。
『地図で今昔』 今尾恵介
けやき出版 1999.11.1
右は、この本といっしょに持ち歩いて、場所を確認するためのコンパクトな日本地図帳。
『地図で今昔』 は、副題が「新旧地図を比較する楽しみ」とあって、同縮尺、同範囲の新旧地図の比較がとても面白いし、楽しい。
いくつかのカテゴリーに分かれている、その一部を、目次から紹介する。
「変わりゆく渚の風景」――島根・鳥取の中海、鹿島臨海地帯、浦安、羽田、兵庫県高砂・大塩、近江八幡・彦根
「姿を変えた山と川」――昭和新山・有珠山、桜島、雲仙、三宅島、神戸、渡瀬遊水池、荒川、九頭竜ダム
「「帝国陸海軍」のその後」――朝霞市、練馬区(光が丘)、相模原、横須賀
「変貌する街・むら」――八王子、大阪府守口市、北海道雨竜郡、富山の廃村、成田・三里塚
「鉱山の盛衰」――大夕張炭山、武甲山、千葉県富津市、旧浅間山、岡山県犬島、島根県大田市、新居浜市、別子山村
「地図から歴史を透かし見る」――軽井沢、親不知と黒部川、京都、奈良県十津川村
今日、読んでいたところでも興味ぶかいところがたくさんあったが、そのひとつ。
「水車の興した地場産業と米軍基地――埼玉県朝霞市」という章(P.90-94)。
コピー(スキャニング)なので見にくいが、見開きの右側が昭和2年(1927年)の25,000図、左が平成5年(1993年)の同じ場所だ。
自衛隊の朝霞駐屯地のある場所だが、1932年に「膝折村」から「朝霞町」と改称したいきさつがおかしい。
地名の起源は、1929年にできた「東京ゴルフ倶楽部」。 この名誉会長が朝香宮(あさかのみや)だったため、これにちなんで「朝霞」としたのだと。 「朝香」ではあまりにも直接的で畏れ多いということだったのかもしれない、と著者は書いている。 冗談のような地名だ。
新旧の地図を見比べると、水車を動力とした精米、製粉が行なわれていた土地が、昭和16年(1941年、太平洋戦争開戦の年)に陸軍予科士官学校がこの地に移転してきてから、基地の町に変わってしまったことが、まさに一目瞭然だ。
旧日本陸軍→米軍(進駐軍)→自衛隊と、軍事施設が残っている(左の地図の下半分)。
わたしは、山登りをさかんにやっていた頃、国土地理院の5万図、25,000図をよく使っていたので、地図を「読む」のがもともと好きなのである。
ひさしぶりに、その地図読みの楽しさを思いだしている。
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コメント
次々と面白そうな本を見つけだしますね。実は私も地図マニア、北海道の道路地図だけでも4~5種類、各世界、日本地図も何種類も、山の地図、国土地理院の地図など病膏肓に至る・・・です。どうも、鳥瞰図的な発想でものを見るのが好きなんですね。
堀淳一の著作も実に面白く読み出したら止まりませんよ。
それにしても、この二冊も興味深いですね。
投稿: 玄柊 | 2007年6月 8日 (金) 06時16分
>玄柊さん
そうでしたね。
玄柊さんの家の中に地図がたくさん貼られていたのを思いだします。
堀淳一という人を知りませんでしたが、ネット検索するとたくさん本を出している人のようですね。こんど読んでみましょう。
投稿: やまおじさん | 2007年6月 8日 (金) 21時59分