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2007年7月11日 (水)

【読】感じのいい本

感じのいい本、というものがあるもので。
今週から読みはじめた、田口久美子さんの 『書店繁盛記』 (ポプラ社)
Shoten_hanjyouki3_1Shoten_hanjyouki2とびらに印刷された、スリップ(補充注文カード兼売上調査カード、本にはさまっている例のもの)が、いたずら心に充ちていて、いいな。
帯に 「カリスマ店員」 なんて言葉も書いてあるが、この著者はとても感じがいい。 えらぶっているところがない。

― 著者プロフィール ―
田口久美子(たぐち・くみこ) 1947年東京生まれ。 東京外国語大学卒業。 1971年にキディランドに入社、73年書籍部門・八重洲店に配属、書店員としてのキャリアをスタート。 76年西武百貨店書籍販売部門(のちリブロ)入社、池袋店店長を経て、97年にジュンク堂に移る。 現在は池袋本店副店長。 著書にリブロ在籍時の出来事をまとめた 『書店風雲録』(本の雑誌社)がある。

本屋さん(大型書店)の裏側、ことに新店舗開店のときのたいへんな苦労がわかった。
書店にくる客の中には、とんでもない輩の多いことにも驚いた。
へんな言い方だが、万引きなんかまだ可愛いもんだ、と思わせる以下の例。

(その1) 「さっき『完全自殺マニュアル』を買ったけれど、切れないロープの結び方が書いていない。 首をつっても切れないロープの結び方があるはずだから、それが書いてある本がほしい」 と言う、20代後半ぐらいの青年。
(その2) トイレに何時間も閉じこもる「ひきこもりオネエサン」。 個室の隅に、コンビニ弁当とお茶のペットボトルが置いてあったり、個室からタバコの煙が出ていたり・・・。
(その3) 本の内容を筆写するオジサン。 ケイタイのカメラで写す輩。 旅行ガイドブックを別のフロアーまで運んで、そこから予約の電話をするカップル。
(その4) 平台の上に荷物を置いて、棚に寄りかかって雑誌を読む30代の女性。 もっとすごいのもいる。 平台の本の上に座って(!)、堂々と立ち読み(座り読み)するオヤジ。 注意すると逆ギレする。

ジュンク堂は、店舗のつくりが図書館のようで、背の高い書棚がずらりと並び、店内で本を読めるように、通路のあちこちに腰掛けが置いてある。 喫茶コーナーもある。
客にとってはありがたい配慮だが、あろうことか、床にべったり座って読みふける若者も多いという。
デパートにもいろんな客がいるようだが、大型書店もたいへんだなぁ・・・と同情する。

それでも、著者 田口さんの、そんな仕事を楽しんでいる気持ちがよく伝わってくる。
書店の採用面接の様子も面白かった。
いわゆる「本の虫」が、書店員には向かないというのも、なるほどと思う。
ネット販売のamazonの不気味さも、この本で知った。
ひさしぶりに出会った、さわやかな本だ。

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コメント

この本はいいですね (失礼を承知で)手垢にまみれた言葉であらわすと「使命感にもえている」と 逆に言えば書店員が「天職」なんだろうなとおもわせます 一気に読みました

なお引用についていえば似たような客は図書館にもいます

投稿: uji-t父 | 2007年7月11日 (水) 22時07分

>uji-t父さん
いい本を教えてもらいました。
「天職」いい言葉です。
「今の仕事」を「天職」にする努力も必要なんだろうな、と、これは自分自身について思ったりもします。難しいことですが。

投稿: やまおじさん | 2007年7月11日 (水) 22時13分

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