【読】アテルイ
あてるい 阿弖流為 ?~802(?~延暦21)
奈良末・平安前期の蝦夷の族長。 (生)陸奥国胆沢(いざわ)。
(名)大墓公阿弖流為(たものきみあてるい)。
奈良末期から平安初期にかけての蝦夷征討の過程で、胆沢を中心とした蝦夷の指導者としてもっとも強力に征討軍に抵抗した。
789(延暦8)征東大将軍紀古佐美の軍勢と戦い、壊滅的な打撃を与えた。
しかし797に征夷大将軍となった坂上田村麻呂が801に征討し、翌年胆沢城が造営されるにおよんで、802年4月 磐具公母礼(いわぐのきみもれ)ら種族500人とともに降った。 田村麻呂はその助命を希望したが、同年8月 河内国杜山で斬刑に処せられた。
― 三省堂「コンサイス人名辞典 日本編」 1976 ―
『東北ルネサンス』 という本(小学館文庫)で、赤坂憲雄さんと高橋克彦さん(作家)の対談のなかに登場していた「アテルイ」。
「アテルイの乱」で名高い、蝦夷(えみし)のリーダーだが、なにしろ大昔のことなのでその実体は謎につつまれている。
赤坂さんの本によると、「正史の中ではほんの数行」しか触れられていないそうだ。
この対談相手、高橋克彦さんの興味ぶかい小説があることを知った。
『火怨(かえん) 北の燿星(ようせい)アテルイ』
高橋克彦 講談社1999年 講談社文庫2002年
上下巻、それぞれ500ページほどの長編。
第34回吉川英治文学賞受賞作。
これは、面白そうだ。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2735288
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2735296
赤坂 <『火怨』という小説のなかでは、三、四百年遡ったアテルイの時代が取り上げられますが、正史のなかには数行ですよね。 数行の記述しか残っていない。>
高橋 <アテルイが出てくるのは本当に三行ぐらいしかないわけですよね。>
赤坂 <その三行の記述から上下巻のあの壮大な小説を創り上げてしまう作家の想像力というのは、途方もなくておもしろいですよね。>
高橋 <想像力というと、何だか絵空事みたいになるけれども、あれ結構いろんなことを調べているんですよ。 (略) 僕は、アテルイの場合には、そういう書き方だとアテルイの怒りというのが出てこないと思ったから、ライブの小説というか、主人公たちに生々しく言葉を語らせるという手法をとったわけです。>
ちょっと楽しみな小説だ。
その前に、井上ひさしの 『新釈 遠野物語』 (新潮文庫)も200円(ブックセンターいとう)で手に入れたから、読んでみようかな。
どうでもいいけど、「ブックセンターいとう」という新古書店は、どうして値札を付けず、本に鉛筆書きで値段を入れるのかな?
BOOK OFF の値札シールも、はがしにくくて困るんだな。
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コメント
BOOK OFFの値段シール、不満なのは僕だけではないのにホッとしました。高橋克彦の「龍の棺」という本を最近読みましたが、奇想天外・・。彼の発想は注目すべきですね。
投稿: 玄柊 | 2007年9月 1日 (土) 09時39分
>玄柊さん
じつは、シールはがしのスプレイがあります。
それを使ってもなかなかはがれなくて困ります。
高橋克彦という作家、私はまだ読んだことがなく、この本ではじめて読むことになりそうです。
たくさん小説を出しているようですね。
投稿: やまおじさん | 2007年9月 1日 (土) 23時27分