【楽】ブラート・オクジャワ
「五木寛之が好きらしいから・・・」 と言って、友人が貸してくれたレコード。
ブラート・オクジャワの名前は知っていたけれど、一度も聴いたことがなかった。
五木寛之が熱く語っていたことは、もちろん知っていた。
少しずつ聴きはじめて感じたのは、とても親しみやすい歌だということだ。
ロシア語がまったくわからないので歌詞の内容は解説を見るしかないが、意味がわからなくても言葉の響きは感じとれる。
メロディーが、なにやら懐かしい感じで、いっぺんで好きになった。
もの静かなギターの弾き語りは、私にユパンキを思いおこさせる。
― 五木寛之 『流されゆく日々(抄)』 (講談社) から ―
「ボブ・ディランとソ連歌謡界」 流されゆく日々 1978.3.1~3.2
<ボブ・ディランが来日していろいろと話題になっているが、その一方で、ボブ・ディランと同じ時期に登場してきたソ連のシンガー・ソングライターのことも、小生は注目しているわけなんです。
ボブ・ディランが登場してきた1950年代初頭は、ソビエトや東ヨーロッパではいわゆる「雪どけ」の高揚期にあたり、なにか社会主義国に明るい未来がひらけてきそうな気配があった。
そういう時期に、ボブ・ディランらの出現と相呼応してソビエトロシアに、吟遊詩人というか、プロテストソング、あるいはシンガー・ソングライターといったものが登場し、そういう存在の一人に、ブラート・オクジャワという歌い手さんがいた。
歌い手さん、というと語弊があるかもしれない。
彼は今や、ソ連の有数の詩人として評価されているし、批評、歴史小説などさまざまの分野でも活躍し、シニャフスキーや例のソルジェニーツィンなきあとのソビエト文壇の大きな存在となっている。
ある日、モスクワに一人のグルジアなまりの男がギター片手に飄然と現われ、とても単調でわかりやすく、しかも叙情的な自作の詩を歌い出した。 そしてその詩はたちまち、ひとの口から口へと伝わって、結婚式などでよく歌われるくらいポピュラーなものになったにもかかわらず、その歌がオクジャワのつくった歌であるとは誰も知らない――。
これが、ソ連現代詩人の第一人者であるブラート・オクジャワの登場ぶりだった。 (後略)>
今から30年近く前に、五木寛之が語った言葉である。
「とても単調でわかりやすく、しかも叙情的」 という表現は、このオクジャワの音楽をよく言いあらわしていると思う。
もっと暗い音楽かと思っていたが、そんなことはないのだった。
静かに聴き入っていると、心がうるおってくる、そんな音楽だ。
ところで、まったく突拍子もないハナシだが、オクジャワの歌のメロディーラインが、中島みゆきの初期のある歌にそっくりなことに気づいた。
中島みゆきは、ブラート・オクジャワを聴いたのだろうか。
Amazon 「紙の兵隊」 ブラート・オクジャワ
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