【読】古本病のかかり方
岡崎武志さんの 『古本病のかかり方』 (ちくま文庫)は、そこそこ面白かった。
ちょっとマニアックすぎて(出てくる古本が)、いまひとつピンとこなかったりして。
それでも 「本を売るのに王道なし」 などは、ためになるかもしれない。
著者みずからの経験から、本を売るときのちょっとしたコツをこう書いている。
<(前略) 合計四回の大量処分を経験して言えることは、古本屋さんは、本を一冊一冊手に取って評価したりはしない。 いくつかのグループに素早く本を仕分けし、二十冊から三十冊ほどの本の塔を作り、あとは背表紙を、というより冊数をざっと数えただけで、メモ用紙に素早く数字を書き込む。
「えーと、これが○○○○の小説で、まだ文庫にはなっていない。 一応初版か。 定価が千八百円ね。 そうすっと、まあ三百円ってとこかな」……なんてことは言わないのである。>
<さらに言えば、大量処分というものが、そもそも本の売り方としては下手なのだ。>
出久根達郎さんという、古書店主でもあり本も書いている人がこう言っているという。
なかなか興味ぶかい。
以下、出久根さんの言葉。
<自分が目を通したもの、読んだ本はとにかく処分してはダメ>
<目を通していない本はその内容を思い出しようがないから、あとで資料にすることがない。 ところが一回目を通してしまうと、あの本のあそこに書いてあったというように、ふたたび必要になるんです。 (中略) これは鉄則です。 本を売る売らないは、まず雑本を売るな、一回読んだ本はできるだけ売らない>
この出久根さんの説に対して、岡崎さんはこう続ける。
<うーん、これは卓見です。 やはり本職の言葉は違います。 / しかし、現実的に言えば、まだ読んでいない本というのは売りにくい。 (後略)>
まったく、その通りです。
コレクションをしているつもりがなくても、いつのまにか読んでいない(読もうと思ってそのままの)本が、たくさんたまってしまうものだ。
いやはや。
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コメント
最近、古本屋の若い(40前後)の主人と初めて話をしました。二人とも二代目、二人ともその商売が嫌で東京と札幌でサラリーマンをやっていたが、帰郷して、親父を継ぎ、今は完全にはまっている。そして、私はこの二人の親父さんの若い頃の姿を知っている。売る側の古本病、買う方の古本病・・・病いにもいろいろありますね。
投稿: 玄柊 | 2007年11月26日 (月) 23時31分
>玄柊さん
最近、私はもっぱら「新古書店」(BOOK OFFなど)ばかりですが(ちなみに、岡崎武志さんもBOOK OFFにはよく行くらしい)・・・この本を読んで、ひさしぶりに埃まみれの薄暗い古本屋へ行きたくなりました。
投稿: やまおじさん | 2007年11月26日 (月) 23時58分