【読】僕の叔父さん(続)
この本には、いいエピソードがたくさんあるので、紹介しておきたい。
著者 中沢新一さんが5歳頃、叔母の結婚相手となった網野さんに出会い、中沢さんは網野さんが大好きになる。
<本を読む喜びを知るようになった頃、網野さんは私に歴史学の最初のレッスンをほどこしてくれた。 「おみやげだよ」 と言って渡されたのは、むしゃこうじみのる(武者小路穣)と石母田正(いしもだしょう)の書いた 『物語による日本の歴史』 (1957年)という本だった。>
<(前略) さてそのとき網野さんのほどこしてくれた歴史学のレッスンは、絵巻物をのぞき込むやり方を身につけることだった。 (略) 子供にもとても読みやすい、い本だった。 為義や為朝たちの活躍する、「保元の乱」 の章がとくに好きだったが、その頁に登場した 「応天門の変」 を描く 『伴大納言絵詞』 の一場面に、私の目は釘づけになってしまった。 それに気づいた網野さんが、いっしょに本を読み出してくれたのである。(略) /「見てごらん。 こういう絵の真ん中の部分には、世の中で偉いと思われている人々の姿が描いてある。 有名な政治家や貴族なんかの姿ずら(私たちは会話にはよく甲州弁を用いた)。 その人たちのしたことは、昔の歴史の本の中にもしっかり記録されている。 だから、そんなものは気にしなくていいんだ。 大事なのは、こういう隅っこに描かれている人々の姿なんだ。 よく見てごらん。 みんな一人一人違う顔をしているだろう。 着ているものも違うし、頭に被っているものも違う。 それぞれの人の社会的身分だとか、なにを仕事にしているかなんてことが、それから読み取ることができる。 うん、たとえば、この人は職人だな。 (後略)」>
(第一章 『蒙古襲来』まで 民衆史のレッスン)
他にもいっぱい読みどころがあるのだけれど、書き写していたんでは明日になってしまうので、今日はこれだけ。
こういう叔父さんをもった中沢さんは、しあわせな子どもだったと思う。
※ そうそう、ブログのテンプレートを、さきほどまた変えました。
薄い色のバックに白い文字は目が疲れていけません。
そんなワケで、月とうさぎさんのテンプレートには未練がありましたが、思いきって、ね。
こんどのテンプレート、空飛ぶ鳥のカットが気に入っています。
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コメント
空を飛ぶ鳥のように♪と歌いたくなります。
新しいこの、薄いピンクベージュもいいですね。。。
おじさんの言う事って、素直に耳に入るんでしょう。。。
投稿: モネ | 2007年11月 8日 (木) 21時45分
>モネさん
少しは読みやすくなったと思います。
白い字は(背景が濃い色だといいのですが)、じぶんでも目が疲れてつらかったのです。
パステルカラーは目にやさしくて好きです。
投稿: やまおじさん | 2007年11月 8日 (木) 21時57分
追記です。
モーツァルトのアルバムに、この鳥の絵と同じような絵がジャケットに使われていたものがありました。
それを思いだして、懐かしい気分です。
「鳥の歌」が好きです。
ずいぶん前に、このブログに書いたものですが・・・。
2006年4月22日 (土)
【楽】【読】三つの「鳥の歌」
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/post_6082.html
投稿: やまおじさん | 2007年11月 8日 (木) 22時11分
「鳥の歌」同じCD持っています。
カザルスのチェロ、大好きです。故郷への思い、平和への祈り、志のある人に惹かれますね。
投稿: モネ | 2007年11月 9日 (金) 08時41分
モーツアルトのアルバムは、グールドの「オイアノソナタ」ですね。あのアルバムのデザイン、私も好きです。
投稿: 玄柊 | 2007年11月 9日 (金) 21時27分
>モネさん
バッハの無伴奏チェロ組曲も好きです。
練習曲として長いこと扱われていたこの名曲を、よみがえらせたのもカザルス。
五木寛之『戒厳令の夜』にも登場。
カザルス、いいですね。
投稿: やまおじさん | 2007年11月 9日 (金) 21時33分
>玄柊さん
ピアノソナタ、ですね。
グレン・グールドの。
投稿: やまおじさん | 2007年11月 9日 (金) 22時36分