【読】STEELY EYES
今読んでいる 『マイ・フィールド・オブ・ドリームス』 (W.P.キンセラ/井口優子訳・構成/講談社) に、いい言葉があった。
STEELY EYES 鋼(はがね)のような目
著者が、イチローの目を評して言ったことばだ。
<イチローの魔力とは、何なのだろう。
私がイチローを初めて見たのは、春季キャンプの時だった。 (中略)
私は、シーズンが始まる前から、野球にはほとんど興味がない女房を、イチローがテレビに出るたびに呼んで、
「この新人は有望かもしれないぞ」
と、言っていた。 マリナーズ活躍の原動力になりそうな雰囲気が、イチローにはあったのだ。
ことに目がいい。
英語では 「スティーリー・アイズ (STEELY EYES)」 という。 直訳すれば、「鋼のような目」。>
<ギラギラしているのではない。 澄みきっている。 集中している。 打席にいる時の彼の目には、向かってくるボール以外は何も入らない。
しかし、ファンに笑いかけると一転して涼やかな目になる。
その落差が、ファンを惹きつける。>
私も、イチローという選手が好きだ。
愛想がない、という声もあるけれど、キンセラも言っているように、メディアの過剰な取材を避けているところがイチローにはあると思う。
ふと洩らす笑みが、彼の素顔ではないだろうか。
「鋼のような目」。
これを言い換えると、「白眼」 に対する 「青眼(正眼)」 か。
邪心なく、まっすぐに物事を見つめる目。
人に媚びない。
けっして冷たい視線ではないが、かといって過剰な感情を込めない。
「涼やかな」 という日本語がぴったりだ。
私がイチローの目を見て感じていたことも、キンセラが感じたことと同じだったことに気づいた。W.P.キンセラ
『マイ・フィールド・オブ・ドリームス』
イチローとアメリカの物語
爽やかな本だ。
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コメント
私は持っていた「シューレス・ジョー」を先に読み始めました。
「雀を行きかえらせなさい」
はp.55にありました。その後、母はこう言いました。
「そうね。生きかえらさせるのが無理なら、食べるために必要のない生きものを撃ったりすべきじゃないわ」
私は、後者に論理的な説得力、日本人にはない感性を感じました。それにしても、何故、アメリカ(キンセラはカナダ人でしたね)にはこのように、子供が銃を持つようなことが簡単に許されているのか、このお母さんは先にそれを許すべきではなかったのではという疑問も残りました。
イチローの目・・STEELY EYESという表現に驚きました。本の到着しだい私も読んでみます。
投稿: 玄柊 | 2007年12月 3日 (月) 10時18分
>玄柊さん
『シューレス・ジョー』を読みはじめました。
「ぼくは拳銃を買ったのだ。・・・」(単行本P.54)
玄柊さんと同じように、子どもが銃を持っているということに、私もひっかかりを感じていました。
アメリカかカナダかわかりませんが、武器に対する感覚がちがうのかもしれませんね。
投稿: やまおじさん | 2007年12月 3日 (月) 21時28分