【読】宮部みゆき 再読 (3)
宮部みゆき 『震える岩 霊験お初捕物控』 を読み終えた。
後半、がぜん面白くなって、いっきに読んだ。
主人公のお初は一種の超能力者で、他人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえてしまう。
その能力が不思議な事件を解決していく力になるのだが、お初にとって、じぶんの能力は大きな負担になっている。
超能力者ではあるが、優しく、気丈なこころを持った娘であり、そこが好ましい。
本編の謎解きもよくできているが、お初という主人公の魅力がこの小説を支えている。
続いて読み始めたのが、1994年に刊行された 『幻色江戸ごよみ』 (新人物往来社刊)。
新潮文庫から1998年に出ている。
12編の連作からなる。
まだはじめの2編しか読んでいないが、一月から十二月までの江戸の季節のうつり変わりを背景にしているようだ。
江戸の庶民がせいいっぱい生きる姿が、胸を打つ。
つらい話もあるが、現代のわれわれにも通じる 「人の情」 があふれている。
ミステリーじたての長編もいいが、こういう短編集にこそ宮部みゆきの才能がいかんなく発揮されているように思う。
【参考】
大沢在昌、京極夏彦、宮部みゆきが所属する、大沢オフィスの公式ホームページ
大極宮 (たいきょくぐう)
http://www.osawa-office.co.jp/
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コメント
宮部みゆきさんの本は読んだことがありませんが…
図書館のHPでも人気のある本のようですね。
一度読んでみようかな…
投稿: みゆう | 2008年1月16日 (水) 22時51分
>みゆうさん
コメント、ありがとうございます。
宮部みゆきは、いいですよ。
私は今、時代小説に限って読み直していますが、現代もの(例えば直木賞受賞作の『理由』など)もいいと思います。
機会があればぜひ、と、おすすめしておきます。
投稿: やまおじさん | 2008年1月17日 (木) 21時22分