« 【雑】「武士の一分」 を観る | トップページ | 【読】蟻の兵隊 »

2008年1月29日 (火)

【読】『日本人の遺書』 勢古浩爾

勢古浩爾さんの最新刊を読んだ。
やや分厚い新書。本文300ページほど。
ずっしりと重い内容だ。
古今の遺書、遺言、辞世を網羅した内容なので、「面白い」というと語弊があるかもしれないが……人間の生き方について考えさせられる、なかなかいい本だった。

Seko_isho勢古浩爾 『日本人の遺書』
 洋泉社 新書y 186 2008.1.23

人間とはなんと悲しいものか。
<ゆえに、その死だけが悲しいのではない。 かれらだけが悲しいのでもない。 なんというべきか言葉を失いながら、結局、こんな凡庸な言い方に行きつくしかない。 なんと人間が生きることは悲しいことか、と。 人間全体の哀れさも愚かさをも呑み込んだ悲しさだ。>
(『日本人の遺書』 まえがき)

全12章の目次は、このようなものだ。
たくさんの人名があげられているが、その一部を転記しておこう。
丸括弧内は、勢古さんの原文にあるとおり。
あまりにも膨大な数なので、人名の一部を省略した。

第1章 煩悶
 藤村操(高校生)/村山槐多(画家・詩人)/原口統三(大学生)/原民喜(作家)
第2章 青春
 岩倉靖子(岩倉具視の曾孫)/岸上大作(大学生・歌人)/奥浩平(大学生)/山田修治(大学生)/高野悦子(大学生)
第3章 辞世
 在原業平/西行/太田道灌/細川ガラシャ/浅野長矩/乞食/良寛/被差別部落民
第4章 戦争
 佐久間勉(潜水艇艇長)/宇佐美輝夫(特攻隊員)他/阿南惟幾(陸軍大臣)他/近衛文麿/東條英樹
第5章 敗北
 山下奉文(南方方面軍司令官)/栗林忠道(硫黄島守備隊総司令官)/太田實(沖縄根拠地隊司令官)他
第6章 反俗
 乃木希典/森鷗外/永井荷風/白洲次郎/天本英世(俳優)
第7章 思想
 吉田松陰/北一輝(思想家)/三島由紀夫/森恒夫(連合赤軍委員長)他
第8章 疲労
 正岡子規/金子みすヾ(童謡詩人)/芥川龍之介/関谷敏子(声楽家)/火野葦平/太宰治/円谷幸吉(自衛官・マラソン選手)/江藤淳
第9章 憤怒
 箕浦猪之吉(土佐藩士)/磯部浅一(元陸軍主計大尉。二・二六事件首謀者)/野中将玄(ブリヂストン社員)
第10章 絶望
 鹿川裕史(中学二年生)/大河内清輝(中学二年生)/伊藤大介(機関士)/秋元秀太(大学生)/松濤明(登山家)/沢田義一(大学生・登山家)
第11章 悔悟
 島秋人(死刑囚)/森山太助(死刑囚)/二宮邦彦(死刑囚)
第12章 愛情
 有島武郎/尾崎秀実(新聞記者・ゾルゲ事件)/新井将敬(政治家)/太田八重子(ヌード・モデル)/岡田有希子(歌手)/河口博次(御巣鷹山遭難者)/谷口正勝(御巣鷹山遭難者)/大橋恭彦(沢村貞子の夫)

|

« 【雑】「武士の一分」 を観る | トップページ | 【読】蟻の兵隊 »

【読】読書日誌」カテゴリの記事

勢古浩爾」カテゴリの記事

こんな本を読んだ」カテゴリの記事

コメント

知らない人が大勢います。類書はあるでしょうが、よくこれだけ分類し調査しましたね。探してみます。

投稿: 玄柊 | 2008年1月30日 (水) 07時26分

>玄柊さん
なかなか面白い本です。
巻末の参考資料も役にたちそうです。
新書コーナーにあると思います。

投稿: やまおじさん | 2008年1月30日 (水) 21時51分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【読】『日本人の遺書』 勢古浩爾:

« 【雑】「武士の一分」 を観る | トップページ | 【読】蟻の兵隊 »