【読】宮部みゆき 再読
今年は、無理をしないでじっくり本を読もうと思う。
年末から読んでいた本は、とうとう途中で投げだしてしまった。
興味ぶかい内容ではあったのだけれど、根気が続かなかった。
『増補 オフサイドはなぜ反則か』 中村敏雄 著
平凡社ライブラリー 415 2001.11.9
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582764150
この本は、また機会があったら続きを読もう。
そんなわけで、もっと読みやすい小説を読むことに。
宮部みゆきの時代小説を、古いものから順に読みなおしている。
宮部みゆきは大好きで、最近のものを除いて、ほとんど読んでいる。
下の二冊も、ずいぶん前に読んでいるはずだが、あらためて読みなおしても新鮮だ。
宮部みゆき
『かまいたち』 新潮文庫 1996.10.1
(単行本 新人物往来社 1992年1月)
『本所深川ふしぎ草紙』
新潮文庫 1995.9.1
(単行本 新人物往来社 1991年4月)
『かまいたち』 の方が発行は遅いが、宮部みゆきの初期作品を集めたもので、彼女の小説の原点と言えるだろう。
四つの短編が収録されている。
「かまいたち」「師走の客」「迷い鳩」「騒ぐ刀」
いずれも、宮部みゆきの優しさがあふれていて感じがいい。
著者あとがきによれば、「迷い鳩」「騒ぐ刀」の二作は、デビュー前の1986年、87年に初稿が書かれたという。
<本篇を御一読いただければ、上記の二作が同一キャラクターによる連作の形式をとっているということが、すぐにお分りいただけると思います。 ただ、この二作の初稿を書き上げた当時、私はまだまったくのド素人でして、将来作家になれる見通しなど一ミリもない時でありましたから、今思えば、ずいぶんと図々しいことをやったものです。> (あとがき)
いやいや、とんでもない。
デビュー前から力(ちから)のあったことがよくわかる。
この二作に登場する、歴史上の人物、根岸肥前守鎮衛(やすもり)という人物が興味ぶかい。
『耳袋(耳嚢)』の作者である。
この『耳袋』も、いつか読んでみたい。
【平凡社のサイトから】
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/
耳袋1(平凡社ライブラリー)
根岸鎮衛=著 鈴木棠三=編
品切 HL判 528頁 2000.05
ISBN978-4-582-76340-9 C0395 NDC分類番号 914
江戸後期に佐渡奉行から南町奉行を歴任した著者が見聞きし書きとめた随筆集。狐狸妖怪譚あり、庶民の悲喜劇あり、現代人に通じる不思議な話大好きの江戸人の姿が浮かび出る。
『本所深川ふしぎ草紙』 (全七話)のうち、三話まで読んだところだが、第一話 「片葉の芦」 で、早くもジーンときてしまった。
宮部みゆきの 「やさしさ」 と書いたけれど、現代もの、時代ものを問わず、この人の小説の主人公たちは、なにかしらのハンディ、弱さを持った者たちだ。
ときに、超能力を持っていたりもするが、そこにも 「超能力」 を持つ者の悲しさ、孤独がある。
彼らにそそぐ作者の限りないやさしさが、どの作品からも感じられる。
ミステリーじたての物語が多いが、最後に 「救い」 のあるところがいい。
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コメント
宮部みゆき、私も「理由」などを再読しています。彼女、藤沢周平が好きらしい。
投稿: 玄柊 | 2008年1月 9日 (水) 23時50分
>玄柊さん
『理由』は直木賞受賞作でしたね。
『火車』と並んで、すばらしい小説でした。
『龍は眠る』は読まれましたか?
これもいいですよ。
もちろん時代小説も。
投稿: やまおじさん | 2008年1月10日 (木) 20時54分