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2008年3月12日 (水)

【読】読中感想 静かな大地

「読中」なんてことばはないのかな。

Shizukana_daichi_bunko『静かな大地』 花崎皋平 (岩波現代文庫)

この本は、とてもいい。
松浦武四郎という、江戸末期から明治にかけて生きた人物は、なんと魅力的な人だろう。
こいう行動的な人を 「探検家」 というのだろう、と思う。
彼は、樺太へ二度足を運んでいる。
宗谷(現在の稚内)までは、むろん徒歩だ。
(一部、川を舟で遡ったりもしているようだが)

樺太の、当時の地図が載っている。
地名は、どれもアイヌ語地名である。
樺太アイヌは、蝦夷地(北海道)に住んでいたアイヌの人たちとは、微妙に生活ぶりがちがっていたようだ。
オロッコや、タライカ(これは初めて聞いた)といった北方民族、山丹と呼ばれたニブヒ、オロチ族とも交易が盛んだった。
(このあたりの民族名称をよく理解していないので、違っているかもしれない)

とにかく、当時の樺太やエトロフ、クナシリといったあたり、国境なんてものはなく、自由に動きまわっていたのだ。

【参考】
市立函館博物館のサイト内
 トップ > 収蔵情報 > 民族の窓
山丹服
http://www.museum.hakodate.hokkaido.jp/collection/minzoku/14.html

そういえば、トンコリという伝統楽器も樺太アイヌの楽器だったはずだ。
樺太・・・いちど訪ねてみたい島だ。

TonkoriOKI 「TONKORI」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0009OAW2I/

アイヌ音楽とレゲエ~ダブ、エレクトロニカを融合させたミクスチャー・スタイルでおなじみのOKIが原点とも言えるトンコリ(カラフト・アイヌに伝わるアイヌ民族の弦楽器)のみで作ったアルバム。


【2008/3/13追記】
ちょっとした間違いに気づいたので、訂正しておきたい。
1. 宗谷と稚内は、厳密にいえばちがう場所だ。
 樺太に渡るには、当時は宗谷岬から舟を出した。
2. 松浦武四郎が樺太へ行ったときは、陸路を宗谷までたどったようだ。
 その後、別の機会に石狩川を舟で遡行する探索をしている。
 歩いていくにしろ、舟を使うにしろ、今とはちがってたいへんな探検だった。
 その陰には、いつもアイヌの人たちの援助があったのはいうまでもない。

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コメント

懐かしい本ですね。今は文庫になっているのですか。
松浦武四郎を題材にした本は他にもいっぱいあるのですが、これは良著です。

武四郎自身の著書『近世蝦夷人物誌』の現代語訳を収めた『アイヌ人物誌』(更級源蔵・吉田豊)、または『北の国の誇り高き人々』(横山孝雄)あたりもお勧めします。

投稿: 浜田隆史 | 2008年3月13日 (木) 12時02分

>浜田隆史さん
コメント、ありがとうございます。
ご推薦の本のうち、『アイヌ人物誌』は知っていました。
持っていて途中まで読んだところでそのままでした。
今度は読み通したいと思います。

横山孝雄さんの名前は、ネットで検索してみて思いだしました。
知里高央さんの『アイヌ語絵入り辞典』や、知里むつみさんの絵本の絵を書いていらした方かと。

浜田さんご推薦の本ですから、間違いなくいい本でしょう。
『北の国の誇り高き人びと』、ネットで古本がみつかりましたので、手に入れて読んでみようかと思います。

投稿: やまおじさん | 2008年3月13日 (木) 20時39分

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