【読】修験道・山伏
ようやく半分ほど読んだところ。
面白いのだが、地名がいっぱいでてきて、ちょっとつらい。
小型の日本地図帳を携帯し、ときどき引っぱりだしては、地名を確認しながら読んでいる。
石川英輔 著 『大江戸 泉光院旅日記』
講談社文庫 1997.5.15 第1刷
江戸時代、一人の老修験者(山伏)の、旅日記である。
(泉光院が遺した 『日本九峰修行日記』 の旅を再現したものだ)
修験道、山伏、といえば、独特のスタイルが思いうかぶ。
この本の主人公、泉光院(野田成亮)の場合は、剃髪していたらしい。
当時の修験道(修験宗)には、真言系の当山派、天台系の本山派、密教系の出羽の羽黒派、の三大宗派があったそうで、泉光院は当山派に属していた。
本山派の山伏は総髪、当山派は剃髪が原則だったとか。
いろいろ違っていたのだ。
江戸時代(文化文政期だが)、仏教の宗派のなかでも、日蓮宗と浄土真宗はひどく差別されていたという。
泉光院は修験道だから、加持祈祷が本業だが、さまざまな経典を読むし、各地の神社仏閣に詣でたりもしている。
宗派の垣根は、それほど厳しいものではなかったように感じられる。
基本的には、托鉢の旅である。
宗派に関係なく、たくさんの人々から喜捨を受けながら、旅を続けている。
宿泊は、ほとんど行く先々の民家。
こういう旅人を泊めてくれる家が、農村部にたくさんあったのだ。
彼は俳句が好きだったので、宿泊先で句をよんだり、俳句好きの人たちと交歓したりということも多かった。
頼まれれば、ほとんど何でもやっている。
この当時、地方でも文化的にはそうとうなものだったことがわかる。
一ヵ所に何泊もさせてもらったり、年末には 「年宿」 といって、長期宿泊していしょに年を越し、新年を祝う風習もあった。
旅人を泊める余裕が、当時の農村部でも、あったのだ。
山伏の十二道具というのがあるらしい。
「笈(おい)」 というのが、この本によく出てくる。
足つきの木製収納箱のようなもので、今なら、トランク・鞄・リュックサック、といったところか。
あんがい、便利なものに思える。
この中に、「本尊」 を入れて運んだというが、どういう本尊なのかはわからない。
『江戸商売図絵』 三谷一馬 著
中央公論社(中公文庫)
1995.1.18 初版 / 1997.11.20 4版
この中に、山伏の絵があった。
背負っているのが 「笈」 である。
山伏
<一般には出家在家を問わず、山岳や社寺に詣でる修行者を山伏といいます。 山野に起臥するので山臥とも書き、俗に法印とも呼ばれています。 有髪に独特の兜巾、袈裟、鈴懸と言う服装で、錫杖、杖、笈など十二道具の他、山野の起臥に必要な縄、斧、太刀などを持っていきます。 法螺貝を吹き歩くのも特徴的です。>
― 三谷一馬 著 『江戸商売図絵』 より ―
上の図版の出典 <狂歌本 『倭人物』 (安政頃) 歌川広重画>
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