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2008年3月 9日 (日)

【読】静かな大地(花崎皋平)

ようやく読みはじめることができる。

Shizukana_daichi_bunko_2『静かな大地 松浦武四郎とアイヌ民族』
 花崎皋平 岩波書店(岩波現代文庫 2008.2.15)

花崎皋平 (はなざき・こうへい)
1931年東京生まれ。 東京大学文学部哲学科卒業。
哲学者。
64-71年、北海道大学文学部助教授。
北海道で市民運動にとりくみ、アイヌの人々との接触をとおして先住少数民族問題への思索を深める。
著書 『<共生>への接触』 『ピープルの思想を紡ぐ』 『マルクスにおける科学と哲学』 『生きる場の哲学』 『地域をひらく』 『解放の哲学をめざして』 『アイデンティティと共生の哲学』

どういう人なのか、よく知らないが、名前だけは知っていた。
友人が、この 『静かな大地』 (単行本1988年、その後、岩波同時代ライブラリー1993年) を教えてくれたことがあった。。
また、その後、別の友人が 『晴読雨読日記』 (岸本完司) という本の折り込み冊子として書いた 「素描――思い出となってしまった岸本完司のこと」 という追悼文の中で、花崎皋平に触れている。

Seidoku_udoku_nikki『書評エッセイ集 晴読雨読日記』 岸本完司
 2006.8.6 発行人 岸本暾
 発行所 (株)北のまち新聞社 「あさひかわ新聞」

  1996.3.12~2004.11.30 「あさひかわ新聞」に連載された
  書評エッセイを集成したもの

あさひかわ新聞ONLINE
 http://www.asahikawa-np.com/

1968年か69年、私たちが高校2年生のとき、「北大でマルクス主義哲学を研究する花崎皋平の旭川での講演」 というのがあり、岸本らはこれに参加したという。
私は当時、高校の 「社研」 (社会科学研究会) にも参加していなかったし、このあたりの事情をまったく知らなかった。

それにしても、何か不思議な縁を感じる。
この、岸本完司の本については、ブログで何度もふれ、カテゴリー 「岸本完司」 としてまとめているので、興味をもたれた方はご覧いただけると、うれしい。


花崎皋平氏が松浦武四郎の名前を知ったのは、三一書房の 『日本庶民生活資料集成 第四巻』 だったという。
(『静かな大地』 序章 静かなくに)
以下、花崎氏の記述を引用する。

<(前略) 1969年に出た同書に、松浦武四郎の代表作 『近世蝦夷人物誌』 が収録されていて、内容の一部紹介があったのである。 いまでもはっきりおぼえているが、天塩川の上流に住むエカシテカニという老人と松浦武四郎との交流の話であった(本書169ページ以下)。 私は、なぜかその話につよくひきつけられた。>

<しかし、私が実際にその 『近世蝦夷人物誌』 を手にして読んだのは、1973年7月初めのことである。 そのあいだの三、四年というものは、私の生活に百八十度に近い転換が生じた時期であった。>

<1971年に、私は七年間つとめた北海道大学をやめた。 ちょうど四十歳だった。 やめるきっかけは、当時、全国各地で、学問と政治のあり方について大学側に問題を投げかけ、大学をバリケード封鎖して回答をせまった学生運動への共感から、封鎖解除に導入された機動隊に抵抗して逮捕・起訴された北大学生の裁判の特別弁護人をつとめたことだった。 (後略)>

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コメント

花崎さんの生き方、考え方には何か心を揺さぶられる何かがあります。1960年代後半、彼は注目される若き知識人の一人でした。私も改めて彼に注目していきたいと思っています。

投稿: 玄柊 | 2008年3月 9日 (日) 21時12分

お久し振りです。
花崎皋平さんのお名前が出てきてビックリしました。
小樽でのイラク戦争反対ライブで、ご一緒させていただいたことがあります。
花崎さんの詩は読ませていただいてましたが、この本のことは知りませんでした。早速読んでみます。

投稿: Shinobu | 2008年3月10日 (月) 07時58分

コメント、ありがとうございます。

>玄柊さん
この本の序文とあとがき(3種類)を読んで、どういう人かだいたいわかりました。
まだ現役でご活躍のようですね。

>Shinobuさん
ごぶさたしています。
意外なつながりでしたね。
「静かな大地」で実際に暮らしていらっしゃる方には、この本をぜひ読んでいただきたいと思います。

投稿: やまおじさん | 2008年3月10日 (月) 20時37分

先日、北海道大学の学生運動家で、当局から指名手配され逃げていた弟がいる・・・という人からお話を聞いたばかりです。

その弟は8年たって大学からは除籍され、その後独学で司法試験を受け、現在は弁護士として働いています。
我々より3歳くらい年下の人です。

逃亡生活を詳しく聞いてみたいと思いました。
住所不定、親が銀行に振り込んでくれるお金で生活していたようです。

北大生の特別弁護人・・・とあったので、驚いて書きました。

投稿: モネ | 2008年3月11日 (火) 22時31分

>モネさん
コメント、ありがとうございます。

私たちの世代の青春期は、そういうことがあっても不思議ではない状況でしたね。
私も、似たような話を聞いたことがあります。

それにしても、きつい逃亡生活だったでしょう。
立派な方ですね。

投稿: やまおじさん | 2008年3月12日 (水) 05時50分

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