【読】アイヌ語地名をめぐって(続)
大友幸男 著
『日本のアイヌ語地名 ―東北から沖縄まで―』
三一新書 1174 1997.10.31 900円(税別)
おおいに刺激をうけた。
これまで、なんとなく違和感のあった地名も、漢字表記に惑わされずに音(おん)に着目してみる。
すると、アイヌ語地名と驚くほど通じるものがある。
古代語――アイヌ語のつながりを、いろいろと想像してみる。
<目次より>
入門編(上)――「川」と「沢」/「泉」と「谷」/「山」と「野」/「海」と「岬角(こうかく)地名」 他
入門編(下)――アイヌ語と「五十音」/アイヌ語音節表/地名の分類法/「双子地名」の話 他
理論編――「白河境界説」の疑問/「縄文人=古モンゴロイド」説 他
歴史・民族編――「三内丸山」とアイヌ語/「巨木遺構」と「鳥居」/発見された「土屋根の家」/「梟神」と「遮光器土偶」 他
東日本編
西日本編
地名に関心のある方、アイヌ語やアイヌの伝統文化に興味のある方に、ぜひおすすめしたい。
<カバーより>
全国各地にアイヌ語を訪ねる旅――
地名はいつ、どういう意味でつけられたのか。
「大和語」では意味が通じにくい各地の方言の由来は。
関東以西にもアイヌ語地名は存在する――。
弥生時代の人々が使った古代語の名残りであるアイヌ語地名をたどる。
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コメント
アイヌ語地名に関しては、ただ現在の地名の音がアイヌ語の響きに近いというだけでなく、昔の正確な語形を知るために古文書にあたったり、歴史、類例の比較、アイヌ語文法や方言のチェック、そして現地調査など、いろんな方向から研究することが必要です。
アイヌ語地名解の権威、山田秀三の研究から、アイヌ語地名の分布には東北地方までで南限が存在することが示唆されていて、現地調査に基づく説得力があります。
日本全国の地名をアイヌ語で解釈するという説は、明治時代のチェンバレンやバチラーあたりから頻繁に出されていますが、その確からしさに関しては、知里真志保などの学問的な視点からの批判が何度もなされています。
アイヌ語の音節は短くても意味が成り立つものが多いため、よくあてずっぽうをされるのですが、それについては古い和語についても同様で、安易なアイヌ語地名解には日本語地名研究者からも異論が出されています。
この本については未読のため、私もチェックしてみます。
投稿: 浜田隆史 | 2008年4月 9日 (水) 11時37分
昨日、この本を手に入れました。山田秀三の研究を考慮しながら、私も読んでいきたいと思っています。
投稿: 玄柊 | 2008年4月 9日 (水) 12時43分
>浜田隆史さん
コメント、ありがとうございます。
私の、この本の紹介が中途半端だったため、内容をうまくお伝えできていなかったかもしれません。
浜田さんのおっしゃる通り、たんなる語呂合わせ的な地名解釈をしている本も多いのですが、この著者は、日本語地名のつけられた土地の地形と、アイヌ語地名をかなり綿密に比較しています。
アイヌ語についても、私が感じたところでは、かなり深い理解をもっている人ではないかと思いました。
山田秀三氏や知里真志保博士の業績も、じゅうぶん踏まえたうえでの、自説(仮説レベルですが)を展開している、と私は感じました。
個々の地名の比定については、現地踏査と十分な考察が必要と思います(山田秀三氏のように)が、あまり十分ではないようです。
(断定的な比定をせずに、すべて仮説の形で提示されています)
この本が、アイヌ語に詳しい方からどのように評価されるのか、知りたいところです。
著者の、古朝鮮語とのつながりを示唆する説も、私には興味ぶかいものでした。
ぜひ、ご一読のうえ、あらためてご感想をお聞かせいただけるとありがたいです。
投稿: やまおじさん | 2008年4月 9日 (水) 12時56分
>玄柊さん
内容の信憑性、考察の緻密さなど、ちょっと首をかしげる点もなきにしもあらず、ですが・・・。
けっして奇をてらっているわけではなく、内地の日本語地名の不思議を解くてがかりとして、示唆にとむ内容だと思います。
面白い本です。
いずれ、感想を聞かせてください。
投稿: やまおじさん | 2008年4月 9日 (水) 20時52分