【読】大江戸テクノロジー事情
今週、読みはじめたのが、この本。石川英輔 『大江戸テクノロジー事情』
講談社文庫 1995.5.15
ひと頃、夢中になって読んだ 「大江戸○○事情」 シリーズの一冊。
電車の中で読むにはうってつけの、軽い読み物だ。
江戸時代って、ほんとうに不思議な時代だった。
<暦、和時計、からくり、錦絵、天文学、花火など江戸時代の様々な創意と工夫を紹介。 江戸の人びとが、科学知識や技術を軍事よりも遊びや楽しみの手段にそそいだ様子を生き生きと伝える。 目先の利益と効率ばかりを追うテクノロジー大国日本に警鐘を鳴らす好個の一冊。 大好評の「大江戸えねるぎー事情」姉妹編。>
(本書カバーのコピーより)
便利なモノや技術に囲まれて生活しながらも、本当にこれでいいんだろうか、と常々疑問を感じている私には、興味ぶかい内容。
「先進国」などと自らえらそうに言っている欧米諸国や日本など、このまま行くと必ず行き詰まるだろう。
著者は、まえがきにあたる 「部分的には正しいが・・・」 の章で、次のように言っている。
<アメリカのある学者は、地球の環境に影響を与えずに現在の平均的なアメリカ人の生活を維持しようとすれば、地球の人口は二億人が限度だという試算を発表した。 この説によれば、アメリカ人だけで、すでに地球は定員過剰だということになる。 進んだ科学技術は便利さ、快適さと引換えに、環境破壊によってわれわれの首をじりじりと締めつけているのだ。>
<なぜこんなことになるかというと、ある時点では文句のつけようもないほど便利で無害だと思われた技術が、便利であればあるほど、ある時間を経てからとんでもない結果をもたらす危険性があるからだ。 (後略) >
最近、問題になっているフレオン(フロン)も、1965年の『岩波理化学辞典』には、
「無色無臭のガス……不燃性不爆発性で無毒、化学的には非常に安定で、普通の金属を腐食しないから、理想的な冷凍剤として近時殊に小型の冷蔵庫に使われ始めた」
―― と書かれていたという。
悲観的すぎると言われるかもしれないが、すでに 「手遅れ」 の感が強い。
「洞爺湖サミット」 などというイベントにも、私はまったく期待していない。
はっきり言って、ああいう茶番劇はやめたほうがいい。
著者が言うように、江戸時代の知恵を今から学びなおしてもいいと思う。
次から次へと企業が出してくる 「新製品」 に飛びつくのも、もうやめにしたい。
高度消費社会の濁流から、抜け出さなくちゃ・・・と、つくづく思う。
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コメント
ブルーレイだの、後期・・・・。何かおかしいですね。と言いながら、私も携帯も、車も、コンピューターも人並みに使っています。江戸時代・・・明治も魅力或る時代でした。私も自分なりに、残された時間を自分の生き方を考えたいと思います。
投稿: 玄柊 | 2008年4月23日 (水) 07時26分
>玄柊さん
私も同様です。
クルマもケータイも使っていますし、PCもこのように。
でも、どこかに限度というか、歯止めが必要かなと思っています。
人間の欲望はキリがないですから。
今さら、仙人や世捨人のような生活、自給自足の生活もできないけれど、自分の欲望(物欲)は抑えたいし、このままじゃ、いつか大きなツケがまわってくることを、次の世代に伝えていきたいですね。
投稿: やまおじさん | 2008年4月23日 (水) 20時26分