【読】星野道夫と見た風景 (星野直子)
こんな本もあった。
いつ手に入れたのかも覚えていないが、まだ読んでいなかったようだ。
『星野道夫と見た風景』
星野道夫 星野直子
新潮社 とんぼの本 2005.1.25
1993年に星野道夫さんと結婚した直子さんが、星野さんのことをこう語る。
― 本書 P.120- ―
01年の夏には、アラスカの海でクジラを追う道夫さんを長い間サポートしてくれた、リン・スクーラーの船に乗る機会がありました。 私と翔馬(注:星野夫妻の子息)、それに私の両親に、クジラを見せてくれるためです。
船上でのある夜、リンにも協力してもらってできた 『森と氷河と鯨』 の本を渡したとき、彼がおもむろに、私に尋ねたんです。
「ナオコはクマを許すことができたのか?」
私は、
「クマを許せないと思ったことはない」
と答えました。 なぜなら、カムチャッカに迎えに行ったときの道夫さんの表情には、苦痛の影が少しもなかったから……とても静かな顔でまるで眠っているようだったから。
もし、その表情に苦悶や痛みを見ていたら、クマに対する想いはちがったものになっていたかもしれません。
この本は、いい。
星野直子さんの文章も、好ましい。
フェアバンクス郊外の住宅地の森の一部を購入して、友人の大工に頼んで作った星野さんの家の写真がある。
落ちついた造りのログハウスのまわりに、花がたくさん咲いている。
「もともとは岩がごろごろしているような粘土質の斜面の土地で、どちらかいえばやせた土質」 だったところへ、「業者に頼んで肥えた土を運び込んでもらい、種をどっさり蒔いたのだ」 という。 (本書 P.12)
星野さんは、とてもいい場所で最後の数年を暮らしたのだった。
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コメント
直子さんの言葉に、星野さんの最後が安らかなものだったことが読み取れます。よかったです。
投稿: 玄柊 | 2008年6月30日 (月) 09時21分
これはいい本でした。
投稿: やまおじさん | 2008年6月30日 (月) 20時23分
星野さんの安らかな最期の表情。ほっとしました。
投稿: モネ | 2008年7月 1日 (火) 16時38分
この本のカバーに使われている星野道夫さんのポートレイトは、星野さんがカメラをセットして、直子さんがシャッターを押したものだそうです。
二人とも、いい伴侶に出会ったものですね。
投稿: やまおじさん | 2008年7月 1日 (火) 21時17分