【読】もう一冊
ついでに書いておこう。
三十年以上も前のこと、親しい友人からもらった本がある。
途中まで読んだおぼえがあるが、最後までしっかり読んでいなかった。
「1974年9月、○○君より」 という書き込みがある。
本棚で、すっかり色あせていた。
今、ぱらぱらと読みなおしてみると、これがすごい内容なのだ。
一般には、ほとんど知られていない本である。
落ち着いたら、ゆっくり読んでみたいと思う。
小山俊一 『EX-POST通信』
昭和49(1974)年6月15日 発行
弓立社
巻末の著者略歴はいたって簡単だ。
1919年 福岡県に生れる
1941年 九州大学農学部卒業
主論文
「カウラの死臭」 (「試行」11号)
「中野重治ノート」 (「試行」13・14号)
「<教育現象>について」 (「教育労働研究」2号)
この本のカバーに、内村剛介の一文がある。
ちょっとびっくりする。
<小山の研鑽は執念深い。 かつ原理的である。 日本人は原理に即しつづける能力に乏しいから執念も浅いのだが、その点では小山は日本人ばなれしているといっていい。 小山はそのような能力に、別言すれば才能に、恵まれている。 だから彼については、「苦しむためには才能が要る」をひっくりかえして「才能があるからには苦しむのが当りまえだ」といってもいいだろう。 しかしお前さんが苦しむのはいい気味だとはいえない。 小山の「原理」は思弁癖とは全く縁のない生ま身の血のしたたる実践的なものだから放り投げるわけにはいかない。 彼の思考はメタフィジカルだがそれだけではない。 むしろフィジカルそのもので、血と死臭から離れようもないのだ。>
小山俊一は軍隊経験者であり(陸軍軍属としてボルネオで従軍)。
ネットでみつけた、あるサイトに、詳しい経歴が紹介されていた。
著作権があるので転載は控えることにしたが、詳細な年譜である。
スカラベの会
http://www.k3.dion.ne.jp/~scarabee/index.html
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コメント
スカラベ人名辞典の補足 『こをろ』について
小山俊一というと 島尾敏雄 矢山哲治などをおもいだし ちょっと調べてみました
島尾敏雄 [1917―86]
小説家。大正6年4月18日、横浜に生まれる。父は絹織物貿易商で、幼時はしばしば父母の故郷福島県で過ごす。のちに父母とともに神戸に移住し、県立第一神戸商業から長崎高商(長崎大学の前身)に進む。中学時代より同人雑誌を出し続けた文学少年であった。1939年(昭和14)に同人雑誌『こをろ』で矢山哲治、阿川弘之、真鍋呉夫を知り、九州帝国大学に進学(1940)して庄野潤三と親しくなる。九大は法文学部経済科に入学したが、のちに東洋史に変更、43年に庄野とともに堺(さかい)市の伊東静雄を訪ね、処女作『幼年期』を自家版で発行。(以下略)
いずれにせよ昔の同人誌にはいまとは比べられない何かがあります 以下のサイトで『こをろ』について触れています もちろん小山俊一の名前も出てきます
http://www5a.biglobe.ne.jp/~takeko/yayamatetuji1.htm
投稿: uji-t父 | 2008年8月30日 (土) 18時02分
うっかり記すのを忘れました「島尾敏雄」の出典は『日本大百科全書』http://www.japanknowledge.com/ からです
投稿: uji-t父 | 2008年8月30日 (土) 18時06分
>uji-t父さん
いつも、いろんなことを教えてくださって、ありがとう。
矢山哲治という人は知りませんでした。
とても興味ぶかいサイトですね。
投稿: やまおじさん | 2008年8月30日 (土) 18時40分