【読】うれしい復刻 宮本常一「私の日本地図」
十日ほど前のこと。
立川の駅ビルにはいっている大きな新刊書店(オリオン書房)で、こんな本をみつけた。
宮本常一の、ながいこと絶版になっていたシリーズだ。
私は図書館から借りて何冊か読んだが、最近、復刻刊行されはじめたことを知った。
二冊発売されていたので、思いきって買った。
こういう本は、みつけたときに買っておかないと後悔するのが、これまでの私の常だから。宮本常一 『私の日本地図』 全15巻
未來社 定価2200円(税別)
第一回配本 2008.3.31発行
9 瀬戸内海 III 周防大島
第二回配本 2008.7.31発行
10 武蔵野・青梅
「武蔵野・青梅」 は、以前、図書館から借りたときに、がんばって全ページをコピー(それも、じぶんの持っているスキャナーを使って)したほど欲しかった本。
手に入れることができて、とてもうれしい。
たまには新刊書店をのぞいてみるものだ、と思った。
ただし、衝動買いをするおそれが、私の場合は多分にあるが。
未來社 のサイトより
http://www.miraisha.co.jp/
私の日本地図10 武蔵野・青梅
「私はこの書を書きつつ、この書が武蔵野の挽歌のようになるのをどうしようもなかった。」
原書は昭和46年(1971年)11月刊。昭和36年、宮本常一は東京都府中市に家をもとめ、三田の渋沢敬三邸から居を移した。以後ほぼ20年、生涯を終えるまでの住処となったが、旅から戻りこの家にいるあいだに、時間があれば周辺を見てまわっている。一鍬一鍬おこして田畑にし、上水をつくり、道をひらき、ケヤキを植え、ほとんど人の住むことのなかった野を拓いて住み着いた人々がつくりだした武蔵野の風景の中をあるきながら、市に祭に集い寺社に詣でた人々のこころに思いをよせる。景観に映る往時の武蔵野の秩序とその後の変容の姿を写真308枚とともに語りつつ、宮本は言う「武蔵野人の心はいま失われようとしている」。
【2008/10/25追記】
「未来社」と書いたが、正しくは「未來社」なので訂正した。
また、宮本常一の略歴を書いておく。
平凡社 「別冊太陽」 2007年8月刊行
『宮本常一 「忘れられた日本人」 を訪ねて』 巻末の略年譜 による。
生きていらっしゃるときにお目にかかりたかった方である。
宮本常一 (みやもと・つねいち)
1907(明治40)年 8月1日
山口県大島郡家室西方村大字西方に生まれる。
1922(大正11)年
西方尋常小学校卒業。
同級生13人のうちただひとり村に残り、家で農業に従事。
1924(大正13)年
大阪逓信講習所卒業。
大阪高麗橋郵便局に勤務。
1926(大正14)年
天王寺師範学校二部を受験し合格。4月、入学。
1927(昭和2)年
天王寺師範学校卒業。
3月、大阪府泉南郡有真香村修斉尋常小学校に訓導として赴任。
4月、大阪第八連隊に短期現役兵として入隊。
同窓の有松佐一郎より柳田國男の名を知る。
この調子で引き写していくのはへんなので、Wikipediaより転載。
<山口県周防大島に生まれる。大阪府立天王寺師範学校(現大阪教育大学)専攻科卒業。渋沢敬三に見込まれて民俗学の道に入り、戦前から高度成長期まで日本各地をフィールドワークし続け(1200軒以上の民家に宿泊したと言われる)、膨大な記録を残した。宮本が所属したアチックミューゼアムは、後に日本常民文化研究所となり、神奈川大学に吸収されて網野善彦の活動の場となった。>
1981(昭和56)年
1月、府中病院へ再入院。
1月30日早朝、胃癌のために死去。
『私の日本地図』 全15冊は、1967年から76年にかけて、同友館から刊行された。
どのページにも、宮本常一が撮ったモノクロ写真が満載されている。
生涯、旅先・取材先で厖大な写真を撮った人であるが、周防市の「周防大島文化交流センター」が写真の著作権をもっているという。
参考サイト
宮本常一データベース
http://www.towatown.jp/database/
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コメント
未来社の本を、最近まったく買っていませんがHPを見ると、しっかりとやっていますね。宮本常一の本、本屋で見たいと思います。未来社HPでは、以前から興味のある高杉一郎の本に目を奪われました。
投稿: 玄柊 | 2008年10月25日 (土) 06時37分
>玄柊さん
高杉一郎という人を知りませんでしたが、私も未來社のサイトで見て、興味をもちました。
宮本さんのこのシリーズ、いいですよ。
北海道はありませんが、下北半島や京都、萩付近などの巻があります(今後刊行が続きます)。
投稿: やまおじさん | 2008年10月25日 (土) 07時31分