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2008年10月28日 (火)

【読】読了 「二十世紀 日本の戦争」

なかなか、ためになる本だった。

Nihon_no_sensou『二十世紀 日本の戦争』
 阿川弘之・猪瀬直樹・中西輝政・秦郁彦・福田和也
 文春新書 112 平成12(2000)/7/20
 205ページ 660円(税別)

読みながら、気になるページに付箋をはっていった。
読み終えてから、なぜ付箋をはったのかわからない個所もあるが。

そんな、気になる部分を、書いておこう。
もとより、読書感想文にもなっていない、私的な読書メモであるが、この記事を読んだ方が、面白そうだな、読んでみようかなと、参考にしていただけるなら、なおうれしい。


満州は「無主の地」だったのか
 (第三章 満州事変 P.73-)

私には、まだ「満州」のイメージがはっきりしない。
なぜ、よその国にあそこまで日本人(陸軍、民間人)がはいっていったのか。
満蒙開拓移民、満鉄、関東軍、軍閥、馬賊、……興味はつきないが、混沌としている。
もっといろんな本を読んでみたいと思う。
船戸与一 『満州国演義』 の続き(第四巻)も、はやく読まなくちゃ。

(猪瀬) 「ネガティブに捉えると軍部の独断専行によってできた満州国ですが、日本人が新たに国を作るという未曾有の体験でもあったわけですね。そこには軍事的ヴィジョンと経済的ヴィジョン、あるいは革新官僚による新しい国家組織のヴィジョンが含まれていたと思うんです。……」


目標なき百年戦争 (第三章 満州事変 P.102-)

かねがね不思議に思っていたことがある。
日米開戦の日(真珠湾攻撃の日)、当時多くの文学者たちが、あれほど高揚したのはなぜなんだろう。

(福田) 「……文学者の日記なんか見ると、真珠湾攻撃の日にみんな気持ちがさっぱりする。アジアの仲間のはずの中国とどうして戦争をしているのかという罪悪感が強かったから、英米との戦いが始まると、これはほんとうの敵だということで一気に解放感を持つことができた。」


「爽快感」の構造 (第四章 太平洋戦争 P.163-)

(猪瀬) 「開戦の日はどこで迎えたんですか。」
(阿川) 「東京の荻窪に下宿していたんですが、朝、まだ寝ていたら、かすかに『軍艦マーチ』が聞える。……ハワイ大空襲、それ聞いた途端に涙がぼろぼろ出てきた。いままでの鬱陶しい感じがすうっと晴れたような感じでした。これで自分も死ぬことになるかもしらんけど、仕方がないと思いましたね。……」

(猪瀬) 「これが不思議です。みんなそうなんですね。何かすっきりした、と。高村高太郎の詩が有名ですが。」
(阿川) 「志賀直哉、武者小路実篤、谷崎潤一郎、斎藤茂吉、みんなそうですよ。」
(福田) 「伊藤整とか、高見順とか、ああいう人たちでさえ日記はもう『万々歳』。やはりペリー以来の近代日本の歴史の中で、やっと米国に一太刀浴びせたという思いがあったのでしょうか。」

(猪瀬) 「……開戦時、国民が感じた爽快感というのはやはりシナ事変の陰々滅々というのが背景にあってのことではないでしょうか。」
(阿川) 「僕の場合、アメリカに対する憎悪とか反感とか、そういうものは全然なかった。むしろチャップリンの映画や西部劇など、米国産の大衆文化に親しみを感じていたくらいです。どちらかというと、ただただ泥沼が続いている中国大陸の戦線へ出されて、死んでしまうのはいやだなあという気持ちの方が強かった。それが急にすっきりした、それは確かにありました。」


原爆のお蔭で終戦にできた? (第四章 太平洋戦争 P.179-)

これも、かねがね引っかかっていることだ。
広島・長崎への原爆投下、無差別殺戮は、アメリカが犯した大きな戦争犯罪ではないか、という気持ちをずっと持っている。
なぜ、原爆を投下した国や指導者を憎まずに、原爆そのものを憎むのだろう。
「原爆許すまじ」という言葉にひっかかる。
原爆を投下したのは、人間である。
原爆そのものが悪だ、という言い方はどこかおかしい。
原爆を考え出して製造し、それを使った人間が悪いのだ。

(猪瀬) 「……広島、長崎に原爆が落とされ、ソ連が参戦してきて、やっと戦争が終わった。……エドウィン・ライシャワー元駐日大使などの知日派アメリカ人も、原爆投下は正しかったと言いますね。国民感情としては、そんなことを言われては困るんだけど、そう言わせてしまう状況が客観的にあったのではないか。」

(福田) 「しかし、言ってもしょうがないことですけど、原爆は富士山に落としても良かったんです。威力がわかればいいのだったら。都市に落として、何もあんなに一般人を殺す必要はない。実際アメリカ国内では、事前にそういう議論がされていたわけですね。日本の島でも山でも無人の場所に落とすべきだ、という。ところが、……ポツダム会議にトルーマン大統領が行って、ある種、スターリンに威圧されて帰ってきてから流れが変わる。目にものみせてやるという、ソ連への牽制の発想で、ああいう非人道的なことをしてしまう。……」


これぐらいでやめておこうかな。
阿川弘之が、軍隊体験者としての実感を淡々と述べていて、好感がもてた。

次のエピソードが、なかなかよかったな。

(阿川) 「僕の仲間で、『一億玉砕と言われますが、一億のなかには天皇陛下は入られるのでありますか、入られないのでありますか』って聞いて、上官に叱られたのがいますよ。聞かれた方も返事に困ったんでしょうね(笑)。」

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