【読】吉村昭 「戦艦武蔵」
ひさしぶにに、本のことを書く。
三日ほど前から読み始めたこの本がおもしろい。
吉村昭 『戦艦武蔵』
新潮社文庫 438円(税別)
この本は、猪瀬直樹 『作家の誕生』(朝日新書/2007年6月)の中で紹介されていたのを読んで、気になっていたもの。
昭和13年(1938年)から三年近くかけて、戦艦大和と同時に建造された巨大な戦艦の、誕生から沈没までの物語だ。
吉村昭の書いたものを読むのは、これがはじめてだが、徹底した調査・取材に裏づけられた物語は、読み応えじゅうぶん。
いくつか文庫本で、この作家の書いたものを手に入れた。
全部読めるかどうか、わからないけれど……。
吉村昭 『史実を歩く』
文春新書 003 1998/10 680円(税別)
<「戦艦武蔵」「深海の使者」などの戦史小説、「長英逃亡」「桜田門外ノ変」「天狗争乱」「生麦事件」など幕末に材をとった歴史小説を精力的に発表してきた著者は、その綿密な取材と細部へのこだわりでも知られる。 作家はどのようにして素材と出会うのか、執筆にあたってはどのように調査を進め、いかにして歴史の〝真実〟に肉薄するのか――作家の史実への姿勢を、失敗も含めて率直につづった、とっておきの「取材ノート」。>
(本書カバーより)
とりあえず、『零式戦闘機』 『破獄』 『羆嵐(くまあらし)』 『間宮林蔵』 『赤い人』 『星への旅』 など、読んでみたいと思い、文庫で手に入れた。
いつものように、大型古書店で買い集めた。
このようにして、本がたまっていく……。
猪瀬直樹 『作家の誕生』 については、7月25日に紹介した記事がある。
【読】この本もおもしろい
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_8a85.html
吉村昭 『戦艦武蔵』 については、第9章のコラムで5ページにわたって紹介されている(P.227-232)。
この章(「自己演出の極限を目指す」)は、三島由紀夫を論じたものだが、三島由紀夫とはまったくちがうタイプの吉村昭のような作家の方が、私は好きだ。
<産業社会が高度化した結果、国家とか巨大なシステムなど、身体的な実感ではとらえられにくいブラックボックスが生活空間を支配しはじめる。>
<吉村昭は三島由紀夫より二歳下、1927年(昭和2年)の下町生まれ、繊維関係の工場を営む商家であり官僚エリートでもなければ教育や文学とも無縁の家系であった。 地味な短編作家としてスタートした吉村昭は、三島由紀夫が自衛隊へ体験入隊しようと考えはじめるころ、過去の戦争の姿を社会の一面として描くことに成功した。 1966年に新潮社より刊行さらた 『戦艦武蔵』 である。>
<『戦艦武蔵』『零式戦闘機』など戦史シリーズは、巧みな短編小説の書き手であった吉村昭の仕事を新しい方向へと大きく旋回させた。 七十年代から始まるノンフィクションの時代の幕開けを決定づけた。>
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