【読】五木寛之 「人間の覚悟」
タイトルからして、いかにも重そうなので敬遠していた本だったが、読んでみることにした。
五木寛之 『人間の覚悟』
新潮選書 287 2008/11/20
191ページ 680円(税別)
毎日読んでいる東京新聞朝刊連載小説 『親鸞』 にも、「覚悟」 ということばが出てくる。
範宴(はんねん=親鸞が九歳で得度したときの僧名)に、慈円が語りかけるシーン。
― 五木寛之 「親鸞」 第83回 暁闇の法会(11) ―
「そなたの父親のように、世を厭うて隠棲することをどれほど望んだことか。 去年、世を去られた西行法師のごとく、旅に歌をよむ暮らしにもあこがれた。 だが、名門、権門の子弟として生まれるのも、ひとつの業じゃ。 ちかごろつくづくとそう思うようになった。 そして覚悟をきめたのじゃ。 人の命は長くはない。 そう逃げてばかりの一生をすごすわけにもいくまい。 ……」
腰巻(帯)に、本書の内容を象徴するいくつかのキーワードが印刷されている。
いわく――地獄の門がいま開く/人はみな「悲苦」を抱えている/下山の哲学/人の生き方はいつも一本道/アニミズムとシンクレティズムの可能性/人間は引き裂かれた存在である/玄なる世界での関係性/親鸞が得た「自然法爾」/悪人ではないという傲慢/ボランティアは石もて追われよ/いかに生きるかを問わない
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コメント
五木は、旧作の再刊がいくつか出ていますね。懐かしい本もあります。
「人間の覚悟」本屋で是非見てみます。
投稿: 玄柊 | 2008年11月26日 (水) 17時08分
>玄柊さん
いい本です。
もう少しで読み終えます。
五木さんの言葉に、なにか肩の荷がおりるような気がします。
投稿: やまおじさん | 2008年11月26日 (水) 20時51分
書評が遅れましたが、『人間の覚悟』について感想をまとめました。同意するところと、異なる見解を持つところと、両方書きましたが、五木さんがますます凄みを増している点には、驚嘆の念を抱かずにはいられません。時代精神が、五木さんをして語らしめているのかもしれません。
投稿: ほめ屋 | 2008年12月13日 (土) 02時58分
>ほめ屋さん
コメント、ありがとうございます。
ほめ屋さんのブログの書評、拝読しました。
いつも、深く考えてからお書きになられるほめ屋さんの姿勢には、頭がさがります。
このところ、不景気という言葉をよく耳にしますが、「景気」とか「経済の発展」という幻想に惑わされず、地に足をつけて生きて行きたいと思います。
私にとって五木さんの思想は、ひとつの道しるべのようなものかもしれません。
生きにくい時代になっていますが、ひとつの「覚悟」をもっていれば生きのびていけると思っています。
投稿: やまおじさん | 2008年12月13日 (土) 08時58分