【演】枝雀さんのDVD
一週間前のことだが、桂枝雀(1999年4月没)のライブDVDを手に入れ、その一巻目を観た。
ライブ映像は、いいなあ。
『枝雀落語大全 第一集』
寝床/代書
EMIミュージック・ジャパン GSB1201
3800円(税込)
http://www.emimusic.jp/st/rakugo/sijaku/dvd/part1.htm
寝床
昭和61年10月13日放送
TBS「落語特選会」(東京国立劇場)より収録
代書
平成4年8月14日放送
関西テレビ「トナリnoとなり(米朝一門会)」より収録
「寝床」
いろんなバージョンの音源や放送録画を聴いたり観たりしてきたが、これはちょいと危うさを感じるような口演。
もう少し完成度の高いものもあったはずなのにと、残念に思ったりもするが、これもライブの面白さなのだな。
やはり映像のちからは大きいものだ。
枝雀一流のアクションによって、浄瑠璃好きの旦那の心理の動きが表現されている。
会場を爆笑のうずに巻き込む演技はさすが。
「代書」 (「代書屋」とも呼ばれる演目)
これもいろんなバージョンがあって、ちょっと間抜けな主人公(代書屋に履歴書を書いてもらいにくる)の描き方がそれぞれ微妙にちがう。
私が聴いてきたものは、履歴書を「ゲレキショ」と言ったり、「あんたの本当の職業は何です?」という代書屋の問いに「ガタロー!」と答えるもので、私は好きだったが、この口演の「ポンでーす!」も爆笑もの。
「ガタロー」は、どぶ掃除の仕事。
「ポン」は、「ポン菓子」屋。私がちいさな頃にもまわってきたこの職業、「ドン」と読んでいたが、正式にはなんと呼ぶのだろう。
米やとうもろこしを持っていくと、釜に入れてポップコーンにしてくれる。
代書屋の、「ポンて何ですかあ?」と途方にくれる様子が、おかしくてたまらない。
名演である。
まあ、よけいな講釈はおいといて、二度と観ることができなくなった枝雀師の落語を楽しめる幸せに感謝している。
このシリーズ、全40巻という厖大なものだが、10巻ずつセットになっているので、少しずつ買い求めていこうと思う。
【おすすめサイト】
松本留五郎の部屋
http://www11.ocn.ne.jp/~tomegoro/
※松本留五郎……「代書」の主人公の名前
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コメント
桂米朝さんのご自宅に近いこちらでは、
毎年1月に米朝一門の落語会が市民センターであります。
5年ほど前に1度聞きに行きました。
枝雀さんを偲ぶ言葉を、
米朝さんがそのときおっしゃっていたことを思い出します。
DVDは宝物ですね。
投稿: モネ | 2008年12月21日 (日) 23時40分
>モネさん
いつもコメントをお寄せくださって、ありがとうございます。
ひと頃、米朝一門会、枝雀一門会が、上野の鈴本演芸場でよくひらかれていました。
私も、何度か足を運びました。
米朝師といえば、ご子息の小米朝が五代目桂米団治を襲名しましたね。
先日、NHKのスタジオパークという番組で見ました。
九代目林屋正蔵(こぶ平)にしろ、この米団治にしろ、若い人が襲名するのは、見ていてちょっと不安な気もしますが、世代交代なのでしょうね。
枝雀師は、米朝師の内弟子の頃、幼い米朝の息子(のちの小米朝)の子守をしていたそうで、自分のネタ繰り(稽古)に夢中になって、よくその息子さんを置いて帰ってきたというエピソードもあります。
投稿: やまおじさん | 2008年12月22日 (月) 22時27分