【読】今年読んだ本 (上方落語)
年末近くになって、上方落語家が書いた本を二冊読んだ。
いずれも、桂枝雀の弟子が書いた本である。
半月ほど前に書いた内容と一部重複するが、あらためて書いておきたい。
→ 【演】【読】枝雀の弟子たち
http://yamaoji.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-13ab.html
桂 雀々 『必死のパッチ』
幻冬舎 2008/10/25発行
1300円(税別)
なかなか感動的な内容だった。
雀々自身のこんな公式サイトがある。
落語家・桂雀々の必死のパッチ - ほ~む -
http://www.jak2.net/
もう一冊は、まじめな落語の歴史の本である。
桂 文我 『落語「通」入門』
集英社文庫 2006/10発行
735円(税込)
枝雀のもとで桂雀司として修業していた頃、師匠の枝雀にこう言われたことがきっかけで、演芸関係の資料を収集し、研究するようになったという。
「最近は米朝師匠(枝雀の師匠)のように、落語の資料を集めながら、落語の歴史も熟知した上で本を著せるようなタイプの噺家がいないから、米朝師匠の万分の一でもいいから、そのジャンルを押さえなさい」
また、枝雀師に言われたこんなことばが忘れられないとも。
「アイデアに頼り過ぎると、知的には面白いかも知れんが、ハートに響いてこない。 見た目も普通のスタイルで、〝知恵のある声〟が出る噺家を目指しなさい」
枝雀らしい、温かみの感じられることばだと思う。
いい弟子をたくさん残した桂枝雀は、やはり偉大な落語家だった。
ところで、今日、ようやく待望の本を手に入れた。
はじめて見かけたのが、御茶ノ水の「丸善」だった。
気にはなったが買わずにいたら、次に寄ったときには売れていた。
その後、浜松町(モノレール乗り場近く)の書店に平積みされていたのを見たときも、迷った末、買わなかった。
ネットで注文したら、到着までずいぶん日数がかかった。
気になった本は、見かけたその場で買うべきものだなあ。
『上方演芸大全』
大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方)編
創元社 2008/11/20発行
535ページ 2800円(税別)
この分厚さで(35mmもある)この価格は、むちゃくちゃに安い。
内容も充実している。
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032165028&Action_id=121&Sza_id=G1
[要旨]
漫才、落語、喜劇、浪曲、講談、諸芸、メディア、作家・裏方、劇場・寄席―。上方演芸の総覧としてその歴史と魅力を集大成。笑いの芸、その源流から現在まで、そして未来をも展望する。
[目次]
第1章 漫才;第2章 落語;第3章 喜劇;第4章 浪曲;第5章 講談;第6章 諸芸;第7章 上方演芸とメディア;第8章 作家・裏方;第9章 劇場・寄席・小屋;資料編
[出版社商品紹介]
上方演芸の歴史と魅力を集大成した初の書。10章立てで、その全容と細部に迫った貴重な記録。図版、資料多数。
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