【読】今年読んだ本 (あの戦争)
今年は、先の世界大戦、なかでも日本が泥沼的に敗戦への道をたどった太平洋戦争にまつわる本を、集中して読んだ。
その動機は、じぶんでもわからない。
凝り性という性格的なものもあるかもしれないし、この年齢になって戦争というものがじぶんの問題として考えられるようになったせいかもしれない。
この一年に読んだ太平洋戦争(日中戦争)関連の本を内容で分類してみると、大きく三種類にわけられる。
【戦記もの、戦争体験記、それに類するもの】
【太平洋戦争を論じたもの、戦争論】
【太平洋戦争を題材にした小説】
【戦記もの、戦争体験記、それに類するもの】
奥村和一・酒井誠/私は「蟻の兵隊」だった―中国に残された日本兵―/岩波ジュニア新書
橋川文三・今井清一/日本の百年8 果てしなき戦線/ちくま学芸文庫
飯田進/地獄の日本兵 ニューギニア戦線の真相/新潮新書
蔭山次郎/ガダルカナル・ラバウル慰霊行/東洋出版
石川欣一/比島投降記 ある新聞記者の見た敗戦/中公文庫
青木正美/太平洋戦争 銃後の絵日記/東京堂出版
週刊朝日編/父の戦記/朝日文庫
小松真一/虜人日記/ちくま学芸文庫
【太平洋戦争を論じたもの、戦争論、軍隊論】
猪瀬直樹/日本人はなぜ戦争をしたか 昭和16年夏の敗戦/小学館
保阪正康/あの戦争は何だったのか/新潮新書
鍛治俊樹/戦争の常識/文春文庫
阿川弘之・猪瀬直樹・中西輝政・秦郁彦・福田和也/二十世紀日本の戦争/文春新書
【太平洋戦争を題材にした小説、ノンフィクション】
船戸与一/満州国演義3 群狼の舞/新潮社
渡辺一枝/桜を恋う人/集英社文庫
五味川純平/ガダルカナル/文芸春秋
山田風太郎/同日同刻/ちくま文庫 (再読)
吉村昭/戦艦武蔵/新潮文庫
吉村昭/零式戦闘機/新潮文庫
もっとたくさん読んだ気がしていたのだが、これだけだった。
やはり、というべきか、戦争体験記がいちばん印象に残っている。
なかでも、下にあげる二冊から、強烈な印象受けた。『私は 「蟻の兵隊」 だった』
―中国に残された日本兵―
奥村和一・酒井誠
岩波ジュニア新書
『虜人日記』
小松真一
ちくま学芸文庫
もう一冊、いい本に出会った。
女性らしい細やかな筆致ながら、強い意志を感じさせた本。『桜を恋う人』
― 二つの祖国に生きて ―
渡辺一枝 集英社文庫
渡辺一枝さんは椎名誠氏の奥様として知られているが、ご自身、ハルビンに生まれて父上を彼の地で亡くしている。
和服を着こなす上品なエッセイストというイメージをもっていたが、芯の強さはこの引き揚げ体験からきているのかもしれない。
そんな一枝さんが、数奇な運命をたどった一人の日本人男性にひかれてその体験を追ったものがこのノンフィクションである。
私がずっと抱いている疑問、それは、「人はなぜ戦争をするのだろう」 ということだ。
戦争は少数の指導者だけでできるものではない。
悪い(あるいは無能な)指導者にだまされて、いやいや引きずり込まれた、という単純な図式では語りきれないと思うのだ。
私たちのなかに、なにか戦争にのめりこむ魔物がひそんでいるように思えてならない。
答えは簡単にでそうもないから、私の一生の宿題である。
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コメント
いやあ、随分と読みましたね。私も、日露戦争から始まった戦争の歴史を読み直してみようと思っているので、参考になります。
やまおじさんは好きではないでしょうが、BOOK OFFで山岡荘八の「小説太平洋戦争」というのを見つけました。時代ものの印象しかなかったのですが、こんなものを彼は書いていました。
先日、NHKで「最後の戦犯」というものを観ました。知らない事実がまだまだあります。私も、少しづつ学んでいます。
投稿: 玄柊 | 2008年12月 9日 (火) 13時03分
>玄柊さん
山岡荘八は読んだことがないので、好きか嫌いかわかりませんが、機会があれば読んでみましょう。
戦犯といえば、「私は貝になりたい」が話題になっていますね。
「蟹工船」やら、こういったものがリバイバル・ブームになっているのは、私の理解に余るのですが、一時的なブームで終わってほしくないな、と思っています。
投稿: やまおじさん | 2008年12月 9日 (火) 21時00分