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2008年12月 4日 (木)

【演】【読】必死のパッチ(桂雀々)

先月末、北海道に帰ったとき、羽田空港の本屋で手に入れて北海道滞在中に読みおえてしまった。
いい本だった。

Jakujaku_hisshi_4桂 雀々 『必死のパッチ』
  幻冬舎  2008/10/25 発行
  194ページ  1300円(税別)

「必死のパッチ」とは、大阪弁で「必死のさらに上」、「必死」と「死に物狂い」を足して、さらに「がむしゃら」を掛けたようなもの、だそうだ。

小学六年生のときに、ギャンブル狂いの夫にあいそをつかして、母親がとつぜん家出。
(第一章「まずは一人いなくなった」)

その後、父親と二人暮らしになったものの、父親はほとんど仕事をせず(屋台のうどん屋だった)、ギャンブルに明け暮れる。
家には、ヤクザまがいの借金取りがしつこく押しかける。
(第二章「オトンという名の欠陥人間」)

あげくのはて、ある夜、父親から無理心中をせまられ、危うく殺されそうになる。
(第三章「人生で一番長い夜」)

そして、父親も家を出て行ってしまい、電器、ガスも止められるという市営住宅での一人暮らしを続けながら、中学三年間をのりきる。
(第四章「ひとりぼっちのサバイバル」)

話題になった 『ホームレス中学生』 (田村裕)にも負けないような過酷な体験には、驚くばかりだ。


身寄りのない孤独感をまぎらすため、松本貢一少年(雀々の本名)は、学校でモノマネなどをしてみんなを笑わせ、学校の人気者になったものの、やがてそんな自分にいやけがさしてくる。
ある日、級友に誘われてテレビの素人参加型バラエティー番組に出場し、好評を博す。
それでまた、一躍、学校の人気者になるのだが、孤独感は癒されない。
(第五章「孤独の出口」)

またある日、ラジオで聞いた落語に惹かれ、「狸の賽」という噺を演じられるように猛練習して、これをテレビの視聴者参加番組で演じたところ、審査員(藤本義一、香川登志緒、笑福亭松鶴)に認められる。
ここから、彼の落語家への道がはじまる。
(第六章「スタートライン」)

この本の最後は、師匠 桂枝雀との出会いでしめくくられる。


<そんな落語漬けの毎日を送るなかで、ボクはある落語家さんに興味を持った。 興味を持ったというよりも大好きになった。 ラジオから流れてくる独特の高い声、その人の落語に出てくる登場人物は、常に生き生きしていた。 一生懸命に今を生きている感じがした。>

<中入り前の一席。 ボクが会いたい人の出番だった。 『昼飯(ひるまま)』という出囃子に乗って登場し、高座に上がって頭を下げたその人を見た瞬間……。

 ――この人やったら、ボクにごはん食べさせてくれるんちゃうやろか。――

 またしてもボクの本能がそう囁いた。
 その人の落語を見に、聞きに行ったはずなのに、それどころではなかった。 ボクはただボーッとしたまま、落語だけではなく、その人が醸し出す大らかさ、優しさ、あどけなさ……そんな魅力に心を奪われてしまっていた。
 初めて落語に触れた時以上の衝撃だった。
 その人は「桂枝雀」という落語家さんだった。>


いい話だな、と思う。
枝雀さんの人がらがよく伝わってくる。


Shijaku_itimon_2枝雀一門
『笑いころげてたっぷり枝雀』 (レオ出版 1983年)
カバー裏写真

(左から)
む雀、雀司、雀三郎、べかこ、枝雀、雀松、雀々、九雀

べかこは、現・桂南光(三代目)
雀司は、現・桂文我(四代目)

この他に、紅雀(1995年入門)がいる
また、桂音也(1970年入門、故人、実質的な一番弟子)がいた

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