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2009年1月25日 (日)

【読】再読 『満州国演義 1 ―風の払暁―』

船戸与一が今も執筆中の長編、『満州国演義』 (新潮社刊)。

今のところ第4卷まで出版されているが、3巻までしか読んでいなかった。
間もなく5巻目がでるということを知り、ここらで、はじめから通読してみようと思いたった。

第1卷を、四日かけて読み終えた。
四六判変形380ページという、厚手のハードカバーである。
鞄に入れて持ち歩くと、けっこう嵩張る。


Funado_manshu1_2船戸与一
 『満州国演義 1 ―風の払暁―』
 新潮社 2007/4/20発行 1800円(税別)

昭和3年6月4日 張作霖爆殺を中心に、混乱する中国大陸東北部(旧満州)を舞台にしたスケールの大きな歴史小説の開幕。
麻布の名家 敷島家の四兄弟、太郎、次郎、三郎、四郎が、それぞれの立場で、この混乱期に生きていく。

太郎は奉天日本領事館の参事官。
次郎は日本を捨て、満蒙の地で緑林の徒(いわゆる馬賊)の長となっている。
三郎は奉天独立守備隊の少尉。
四郎だけが日本にいて、早稲田大学に在学しながら無政府主義に傾倒、左翼的な劇団とかかわりを持っている。


激動の時代、大きな波にさらわれる小舟のように四兄弟が翻弄されていくさまが、じつに興味ぶかく、小説の醍醐味に満ちている。
第1卷に描かれたわずか二年ばかりの間で、四人の境遇も大きく変化する。

この先どうなるのだろう、という興味が尽きず、ぐいぐい引きこまれていく。
著者によると、全部で8卷になる構想なのだそうだ。
(下のブックレットの講演で、船戸自身が語っている)


ネット検索で、面白いブックレットをみつけて手に入れた。
船戸与一の小説は、どれも、たいへん綿密な調査の裏付けに支えられている。
『満州国演義』 も例外ではなく、よく研究しているなと感心する。


Funado_manshuu_booklet『満州国演義』に見る中国大陸
 船戸与一
 愛知大学東亜同文書院ブックレット5
 発行:株式会社 あるむ
 2008年3月31日 発行
 700円(税別) 43ページ

愛知大学東亜同文書院大学記念センター講演会での、船戸与一の講演録である。

愛知大学:東亜同文書院大学記念センター
http://www.aichi-u.ac.jp/institution/05.html

 【講演会】船戸与一氏(作家)「小説『満州国演義』にみる中国大陸」
  (2007年10月27日開催於東京)
 http://www.aichi-u.ac.jp/orc/Back09.html


―以下、Wikipediaより ―

「東亜同文書院」
1901年(明治34年)に東亜同文会(近衛篤麿会長)により中国に設立された日本人のための高等教育機関。日本人が海外に設立した学校の中でも古いもののひとつ。
1901年(明治34年)5月26日、上海に設立される。当初は政治科と商務科がおかれ、一時は農工科、中国人対象の中華学生部も設置されていた。1921年(大正10年)には専門学校令による外務省の指定学校となり、1939年(昭和14年)12月には大学令によって東亜同文書院大学に昇格し、予科、続いて学部が設置された。1943年(昭和18年)には専門部が付設された。
1945年(昭和20年)8月、日本の敗戦に伴い、閉学となった。
愛知大学との関係
東亜同文書院(大学)は、その閉鎖後に設立された愛知大学とは形式上は別の法人であるが、実際には愛知大の「生みの親」「前身校」としての性格が強調されている。
敗戦にともない東亜同文書院大学は廃校になり、経営母体の東亜同文会も解散を余儀なくされた。その後、残務整理を経て上海から引き揚げてきた本間喜一学長などの関係者は、1946年5月、旧学生・教職員を収容する新大学を国内に設立することを決定した。
しかし設立にあたって、GHQが東亜同文書院大学そのままの大学では認可できないと条件をつけたため、旧書院側は「新大学は東亜同文書院とは無関係」との声明をよぎなくされた。そして京城帝国大学・台北帝国大学を含め「外地の学校から引き揚げた学生・教職員を収容する大学」との位置づけで46年11月に愛知大学(この時点では旧制大学)が設立された。(この際に東亜同文会旧蔵の霞山文庫の受け入れがなされている)
設立時の学生・教職員の大半は東亜同文書院関係者で占められ、初代学長には東亜同文会理事の林毅陸(前慶應義塾大学塾長)が、ついで第2~4代学長にはかつての東亜同文書院大学教授が就任した。すなわち本間喜一(第2・4代)および小岩井浄(第3代)である。東亜同文書院時代に着手された『中日大辞典』編纂事業も愛知大に引き継がれた。さらに東亜同文会を継承する霞山会と愛知大は理事の相互就任など密接な関係を有している。
1991年独立大学院「中国研究科」新設、1993年には学内に「東亜同文書院大学記念センター」を設立して東亜同文書院関係資料の受け入れを進めている。

― 以上、Wikipediaから引用 2009/1/25 ―


この、東亜同文書院(上海)は、『満州国演義』 で、敷島家四男の四郎と深い関わりをもっていく。
四兄弟それぞれ魅力的に描かれているが、私は、次郎と四郎になぜか親しみを感じる。

歴史背景の記述が煩わしく感じられることもあるが、複雑怪奇なあの時代の中国大陸(支那)の輪郭が、読むほどにくっきりしてくるような気がする。

船戸与一は、もちろん歴史学者ではないから、作家の目であの時代の謎を解こうとしている。
そこが面白い。

しばらくのあいだ、この小説にかかりっきりになりそうだ。

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