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2009年1月13日 (火)

【読】南方熊楠という巨人

水木しげるのコミック 『猫楠 南方熊楠の生涯』 (角川文庫)がとても面白かった。

Mizuki_nekogusu『猫楠 neko-gusu 南方熊楠の生涯』
 水木しげる 角川文庫 1996年
 667円(税別)

コミックだから誇張も多いが、南方熊楠という類いまれな巨人の魅力がよく伝わってくる。
熊楠にまつわるさまざまなエピソードが上手にとりあげられている。
熊楠ファンだけでなく、水木しげるファンにもおすすめしたいと思うほど。

「猫楠」というタイトルは、熊楠が猫好きだったことから、猫を狂言回しの役割で登場させて、物語をすすめているところから付けられたのだろう。


ひさしぶりに、南方熊楠の波乱に満ちた生涯を追いかけてみて、熊楠にまつわる本や、熊楠自身の著作(難しいが面白い)も読んでみたくなった。

私が南方熊楠にであったきっかけは、古本市でみつけた一冊の文庫本だった。
それまで、南方熊楠の名前とウワサは聞いていたので、読んでみようかなと思って買ってみたのだった。

Hirano_kumagusu_gaiden平野威馬雄(ひらの・いまお)
 『くまぐす外伝』
 ちくま文庫 1991年 835円(税別) 472ページ

有名な熊楠の「履歴書」が巻末に掲載されている。
<「あなたの研究所設立のために、喜んで寄付をしたいが、あなたの事は、ただ、えらい学者だという事しかわかっていないので、このさい、ごくかんたんでいいから、あなたの略歴を、しらせてください」と、望んだ日本郵船重役矢吹氏は、この未曽有に長大な「リレキ書」を受け取ってどんなにおどろいたことであろう。>
(平野威馬雄 同書 P.369)
文庫サイズでも86ページにわたる、長大な履歴書だ。

今気づいたのだが、この文庫本の解説は水木しげるが書いている。
(解説 「霊的存在」 を見た熊楠 水木しげる)


神坂次郎が書いた伝記も面白かった。

Kousaka_kumagusu神坂次郎(こうさか・じろう)
 『縛られた巨人 南方熊楠の生涯』
 新潮文庫 1991年 667円(税別) 502ページ

「縛られた巨人」 というネーミングが、在野の、ほとんど無名な(国内では)民間学者として生涯をおくった熊楠をうまく表現している。
この文庫本の巻末対談は、北杜夫と神坂次郎による。
北杜夫も熊楠のことはよく知っていたのだ。




学術的な専門書だが、鶴見和子さんの書いた本がとてもよかった。

Tsurumi_kumagusu鶴見和子 『南方熊楠』  ―地球志向の比較学―
 講談社学術文庫 1981年 1100円(税別) 318ページ

私は、この本で鶴見和子さんという、信頼できる学者さんに出会った。
鶴見さんは、鶴見俊輔さんの姉上。

柳田國男を長く研究していた著者は、熊楠に出会ったことで大きなショックを受けたそうだ。
熊楠とがっぷり四つに取り組んでいる好著といえる。
内容は難しかったが、鶴見和子さんが生涯かけて取り組んだテーマに引き寄せて、熊楠の業績をたんねんにたどっている。

<南方熊楠について、わたしは晩学である。……この本を書かせていただいたことは、わたしにとって、眼から鱗の落ちるような経験であった。>
(本書 初版はしがき 鶴見和子)


南方熊楠は、膨大な、珠玉のような著作の魅力とともに、おそろしく人間的な魅力を持つ巨人である。


Kumagusu_jyuunishikouKumagusu_zuihitsu南方熊楠 『十二支考』
 岩波文庫(上・下) 1994年
 800円・760円(税別)

益川勝実編 『南方熊楠随筆集』
 ちくま学芸文庫 1994年
 1300円(税別)

どちらもまだ読んでいないが、そろそろ「原典」にあたろうかな、と思う。
古典にしろなんにしろ、原点に直接触れることの大切さを、近ごろ痛感している。

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コメント

南方熊楠の館(南方熊楠顕彰会のスタッフブログ)という興味深いブログを知りました。
http://minakuma.exblog.jp/

一度は訪ねてみたい場所です。

投稿: やまおじさん | 2009年1月23日 (金) 23時28分

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