【演】枝雀落語を観るヨロコビ
正月休みがまだ続いているので、夜更けではあるが、枝雀落語のDVDを観ていた。枝雀落語大全 第二集
「くしゃみ講釈」 「鷺とり」
東芝EMI GSB1202
「くしゃみ講釈」
昭和54年11月25日収録 ABC「枝雀寄席」(ABCホール)
「鷺とり」
昭和58年1月30日収録 ABC「枝雀寄席」(ABCホール)
昭和54年の映像では頭にうっすらと髪の毛が残っていて、小米時代の名残りを感じさせるところがおかしい。
昭和58年の映像では、髪の毛がなくなっている。
そんなことはともかく、どちらの演目も私がレコードやカセットテープで聴いていたのとほぼ同じ話の運びで、この頃すでに枝雀一流の演出が完成されていたと思われる。
「鷺とり」は、私にとって思い入れのあるものだ。
桂枝雀というおもろい上方の噺家がいることを教えてくれたのは、私が勤めていた会社の後輩である神戸出身の女性だった。
その人が、枝雀の「鷺とり」や「壺算」のことをじつに懐かしそうに話してくれたのだった。
(神戸や大阪で、生の枝雀落語を体験していた人だった)
演目の内容までは教えてもらえなかったが、「枝雀さん」と呼ぶその人の嬉しそうな話しぶりだけで、私も聴いてみたいと思うようになったのが、枝雀落語にはまりこむきっかけだった。
今日観た映像では、いくつかのトチリはあるものの、聴衆をしらけさせるどころか、失敗までも芸に変えてしまう上手さに、あらためて感心した。
音源を耳で聴くだけではわからなかった身ぶり手ぶりの面白さも体験できて、枝雀落語を「観る」ことのヨロコビをあらためて感じることができた。
また、このシリーズには、どの巻にも「枝雀散歩道」と題して、愛弟子や兄弟弟子が故枝雀のエピソードを語る映像が収録されている。
桂ざこば(桂朝丸=枝雀の弟弟子)が語る思い出話がとてもよかった。
小米(枝雀襲名前の芸名)時代から細かい演出に気を配っていたという兄弟子「枝雀にいちゃん」の芸風を語りながら、当時を思いだしてしばし言葉に詰まるざこばを見ていると、こちらまでじーんときてしまう。
いいDVDを手に入れたと、あらためて思う。枝雀落語大全 第一期(第一集~第十集)
DVD10枚組:38,000円(税込)
東芝EMI
http://www.emimusic.jp/st/rakugo/sijaku/dvd/part1.htm
【参考】 Wikipedia 「二代目桂枝雀」 より
2代目枝雀襲名
1973年(昭和48年)10月に大阪道頓堀の角座で「2代目桂枝雀」を襲名。(笑福亭枝鶴、桂福團治とのトリプル襲名であった。)これを機にそれまでの落語を大きく変える。高座では笑顔を絶やさず、時にはオーバーリアクションを用い、それまでの落語スタイルの概念を大きく飛躍させ、どんな客も大爆笑させる落語であった。それまでの小米ファンには戸惑うものもいたが、客の受けは非常によく、枝雀の評判はどんどん上がっていき、米朝と時期を分けて独演会を行うようになっていった。
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