【読】再読 『満州国演義 3 ―群狼の舞―』
三巻目も読みおえた。
一年前の今ごろ、いちど読んでいるので、わりと内容をおぼえていた。
船戸与一
『満州国演義 3 ―群狼の舞―』
新潮社 2007/12/20発行 1900円(税別)
417ページ
実在の有名な将校のなまえがたくさんでてくる。
そのなかでも、石原莞爾と甘粕正彦の影が不気味だ。
1932年(昭和7年)、「東京音頭」(西条八十作詞、中山晋平作曲)が、国内だけでなく中国大陸にいる日本人のあいだでも大流行する。
「満州国」には、ついに武装移民団が入植をはじめる。
といったところで、この第三巻はおわっている。
敷島家の長男 太郎は、外務官僚として奉天の領事館に勤務しているが、しだいしだいに、「国家を創りあげるのは男の最高の浪漫だ」という思いにとらわれていく。
そこが面白い。
敷島次郎は、じぶんが率いていた馬賊集団(緑林の徒)「青龍同盟」が壊滅し、ただ一人、満州をさまよい続ける。
三郎は、憲兵隊の将校として、謀略にもかかわっていく。
末弟の四郎は、武装開拓団の通訳となって、ややこしい立場に追いこまれていく。
間垣徳蔵という、これまた不気味な特務将校が、敷島家の四兄弟にまとわりつく。
この裏には、まだ明かされていない謎が隠されているような気がする。
一巻目のプロローグに、慶応四年八月、会津若松城下で繰りひろげられた凄惨な事件が描かれていて、どうやらそれが布石らしい。
が、その謎があかされるのは、まだまだ先のようだ。
いよいよ第四巻にとりかかる。
ここから先は、はじめて読むので、たのしみだ。
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コメント
だいぶ先へ進みましたね。満州というなかなかとらえきれない実体と謎の将校達・・・。馬族というものにも心惹かれます。私も、そんな遠くない時期に読みそうです。
投稿: 玄柊 | 2009年2月 6日 (金) 07時07分
>玄柊さん
この小説も面白いのですが、なんといっても『蝦夷地別件』がいいですよ。
日中戦争になだれこむこの時代の中国大陸は、とらえどころがないですね。
朝鮮半島へ、支那へ、満州へと、日本中が狂気のようになっていた時代。
どうやら日清、日露の戦争に勝ってしまってから、この国はおかしくなったようです。
投稿: やまおじさん | 2009年2月 6日 (金) 21時04分
船戸さんの本は読んだことないですけど、「河畔に標なく」という本を書くための取材に同行した高野秀行氏の本が面白いです。ミャンマーへの奇想天外な二人旅のノンフィクションです。「ミャンマーの柳生一族」という本です。
投稿: こまっちゃん | 2009年2月 7日 (土) 16時52分
>こまっちゃん
『ミャンマーの柳生一族』(集英社文庫 2006年)
こりゃまた面白そうな本ですね。
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031666646&Action_id=121&Sza_id=B0
船戸さんの『河畔に標なく』(2006年)も読んでいないので、あわせて読んでみようかな。
いつも、情報をありがとうございます。
投稿: やまおじさん | 2009年2月 7日 (土) 21時22分