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2009年2月20日 (金)

【読】もうすぐ読了(船戸与一『満州国演義5』)

今日は、おかしな天気だったな。
冷たい雨、のち晴れ、のち曇り。
そして、今週はきびしかった、仕事がね。


なかなか読みおえることができないが、もうすぐ読了の見込み。

Funado_manshu5_2船戸与一 『満州国演義 5 ―灰塵の暦―』
 新潮社 2009/1/30発行 2000円(税別)
 469ページ

今のところ、この五巻目までしか刊行されていないが、著者の構想では全八巻になるという。
おおざっぱな言い方だが、長大な物語の起承転結の「転」にあたる部分にさしかかったように思える。
これまで読んだ巻のなかで、いちばん面白い。
この先が楽しみだ。
今年の冬、六巻目が出ると、帯に書いてある。


二・二六事件が起き、いよいよ戦時色が濃くなっていく時代。
いわゆる「盧溝橋事件」が勃発、日中全面戦争がはじまる。
さらに、第二次上海事変、そして、南京攻略という局面で、この巻は終わるらしいが、まだ100ページほど残っている。

興味ぶかかったのは、小沢開作という実在の人物が、間接的にだが登場することだ。
小沢征爾の父親で、この時期 「満州国」で重要な役割を演じた。
三男の名前「征爾」は、板垣征四郎と石原莞爾という二人の軍人から一字ずつとってつけられた、と、この小説にも書かれている。

小沢開作だけでなく、男装の麗人と呼ばれた川島芳子、石原莞爾といった著名な実在人物はいずれも直接登場することがない。
物語の主役はほとんど皆、実在しない人物であるところがこの小説の特徴。
あえてそういう方法を選んだと、著者も言っている。 (註)

それだから、どうしても登場人物の口を借りた史実の説明的な記述が多くなる。

やむを得ないのかもしれないが、ときに煩わしく感じられて小説としての面白さはいまひとつともいえる。
しかし、この時代を描くには、こういうフィクションの構成が有効なのかもしれない。
骨太で斬新な「歴史小説」といえる。


いろいろ感じるところの多い小説だが、気のきいた感想を書く筆力が私にないのが悔しい。
いまはただひとこと。
さすが、船戸与一。



(註)
船戸与一『風の払暁―満州国演義1―』『事変の夜―満州国演義2―』
 波 2007年5月号より
 [船戸与一『満州国演義』刊行記念] だれも書いたことのない満州を

http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/462302.html より

――船戸さんは、常に世の中を変えるようなメッセージを小説を介して読者に送り続けていらっしゃいますね。教科書では到底知り得ないようなことを。日本人はこんな状況ではこう行動するものだとか、歴史がこう動けば得てして結果はこうだとか。そのひとつひとつが意外でもあり納得もできる。船戸作品の醍醐味はそこにあります。

船戸 逆に言うと、小説でしかその部分は表現できないと思うよ。ノンフィクションは細部の細部まで事実を積み上げないといけないけれど、小説は仮説が可能だからね。資料を読めば読むほど、満州に関わった人物たちは多彩極まりない。魅力的な人間が多いね。でも、そういった実際に活躍した人物の視点で小説を書くことはやめた。実在の人物を自由に動かしたほうが書き手としてはラクかもしれない。でも、自分はその人物を知っているわけでも、その現場を見たわけでもないからね。例えれば、右手を縛って、左フックだけを頼りにリングに上るようなものだとは思う。でも、それで勝負できなければ、ただノック・アウトされるだけだろう? そうはならない自信がある(笑)。

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